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2021/08/11

月面輸送のispace、23・24年の開発に向け50.7億円調達

  • #資金調達記事
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  • #宇宙
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今週のトップニュースは、月面輸送サービスispaceの資金調達だ。

今回のispace資金調達のポイント、国内宇宙スタートアップの調達額ランキング上位から見える共通点を探った。

そのほか、スパークス・グループが総額1000億円を目標とする「未来創生ファンド3号」を設立したニュースや、家庭料理配達サービスを提供するAntwayによる約15億円の調達について解説する。

月面輸送サービスの提供を目指すispaceはインキュベイトファンドをリード投資家とするシリーズCで約50.7億円を調達した。同ラウンドには元ソフトバンクグループ副社長の佐護勝紀氏、SBIインベストメント、イノベーション・エンジンなど7者が出資。ispaceの累計調達額は約192億円となった(融資除く)。

ニュースの注目ポイント:23、24年の開発に向けた大型調達

ispace コーポレートサイト

ispaceは小型のランダー(月着陸船)と月探査用のローバー(月面探査車)を開発し、低コストで高頻度に月面に物資を輸送するサービスの提供を目指す。同社は2007年にGoogleがスポンサーとして開催した月面無人探査コンテスト「Google Lunar XPRIZE」に参加したことを機に設立された。日本で唯一、同コンテストに参加しただけでなく、最終選考に残った5チームのうちの1チームとなったことで国内外から注目を集めた。

すでに2022年後半には日本の民間企業では初めて、月着陸船を用いた月面着陸を予定している。

今回調達した資金は、現在計画されている2023年と2024年の月面着陸と月面探査ミッションに向けての開発投資に充てる。

宇宙事業は収益化までの時間軸の長さが課題となり、資金調達が困難を極める。ispaceは2022年の月面着陸で、レゴリス(砂)を採取し、NASAに販売することを予定している。さらに、月着陸船に他社の貨物を搭載することでフィーを得るなどにより、収益化を図る。しかし、安定的な月面着陸が実現できるまでは、月面データの調査販売や月面輸送サービスの実現はできないため、ほかの宇宙事業と比べても特に収益化へのハードルは高い。

今回の資金調達で3度の月面探査ミッションに充てる開発資金を得られたことで、月面輸送サービス実現に大きく近づくと言える。

国内宇宙スタートアップを支える特化型ファンド

多額の投資が必要で、ディープテック(研究開発型)のスタートアップの中でも特に資金調達に苦戦しがちな宇宙事業だが、足元では国内でも大型の調達が相次いでいる。

現在、宇宙関連で総調達額が100億円を超えているスタートアップは、アストロスケールホールディングス、ispace、アクセルスペースホールディングス、Synspectiveの4社だ。

この4社の資金調達の共通点としては、創業期は独立系VCが中心で、直近は事業会社やスパークス・イノベーション・フォー・フューチャーの「宇宙フロンティアファンド」、エースタートの「スペーステックファンド」など宇宙特化型ファンドが株主に名を連ねていることがあげられる。

収益化に時間がかかる宇宙関連のスタートアップは、ファンド運用期間内に投資リターンを回収できないリスクが高い。そのため、ファンドのLPへの説明責任が課題となる。

それに対応すべく、例えば、インキュベイトファンドがispaceのシリーズBで出資した際には、特定企業への出資を目的とするSPVファンド(Special Purpose Vehicle)のスキームにより出資している。

宇宙特化型ファンドもSPVも、投資テーマを絞り、関心があるLPを募ることで、リスクをとって投資することができる。

また、SBIインベストメントはアクセルスペースの2018年のシリーズBでは、4つのファンドから出資した。これは1ファンドあたりが抱えるリスクを抑える目的があったと推察できる。

世界で戦える日本の宇宙系スタートアップが徐々に育とうとしている背景には、こうしたVCの新たな投資戦略があると言える。

国内宇宙スタートアップ一覧(INITIALタグページ)

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