今週のトップニュースは、スニーカーフリマ「スニーカーダンク」を運営するSODAの62億円調達だ。
SODAは調達と共に国内の競合「モノカブ」を買収し、激戦区のアジア市場で本格展開を狙う。国内トップのスニーカーフリマを提供するSODAに立ちはだかる米国スタートアップとアジア市場攻略の課題について解説する。
そのほか、多言語翻訳サービスのWovn Technologiesの36億円調達、ネットスーパー立ち上げサービスの10Xの15億円調達ニュースを紹介する。
(OGP写真 : xMarshall / Shutterstock.com)
スニーカーフリマのSODAは、約62億円の調達と競合のモノカブ買収を発表した。リード投資家は韓国NAVER子会社のKREAM Corporationで、韓国のAltos Ventures、SoftBank Ventures Asia、ジャフコ グループに加え、全ての既存投資家が出資した。累計調達額は約87億円で、会社公表によると調達後評価額は約240億円だ。
ニュースの注目ポイント:評価額4000億円超えの米スタートアップに立ち向かう
SODAが運営するスニーカーフリマ「スニーカーダンク(SNKRDUNK)」のサービスサイト
SODAが運営する「スニーカーダンク(SNKRDUNK)」はスニーカーを軸とするマーケットプレイス、いわゆるメルカリのスニーカー版。2021年2月からはアパレルの取り扱いを開始し、月間利用者は約半年で50万人増加し、約300万人以上となっている。
SODAは2020年9月以降、3度にわたって著名人を起用したテレビCMを放映したことを機に急成長を遂げている。ユーザーが毎月数万件以上のスニーカーを着用したコーディネート写真やスニーカー情報を投稿するコミュニティも運営し、コアなファンを育ててきた。
国内ではすでに一定の市場シェアを獲得したものの、米国のStockXやGoat Groupも日本展開を強化するなど競争が加速している。
StockXは200カ国、2億人以上(2020年末時点)に、Goat Groupは170カ国、3000万人以上(2021年6月時点)にサービス提供するなどグローバルで急成長しており、StockXは38億ドル(4180億円)、Goat Groupは37億ドル(4070億円)という高い企業評価額がついている(1ドル110円で算出)。
そんな状況下、SODAは国内だけでなく、アジア市場でのシェア獲得のため、国内スタートアップの競合である「モノカブ」を買収した。今後のサービス連携の詳細は未定ではあるものの、すでにモノカブ代表の濱田航平氏を筆頭にしたグローバルチームでインドネシア、フィリピンを中心とするアジア市場の攻略に動いている。すでに中国のスニーカー売買サイト「nice」や、今回の投資家でもある韓国のスニーカー再販サービス「KREAM」との連携も発表した。
アジア市場攻略のカギ
SODAがアジア進出で最初に狙うインドネシアとフィリピンには大きな共通点がある。インドネシアの人口は世界第4位の約2.7億人でその約半数が30歳未満の若年層、フィリピンも人口約1億人のうち、19歳未満が約44%を占める。最初の市場として2国を選んだ背景には、メインユーザーとなりうる若者の割合がアジアで最も高いことにありそうだ。
一方で、両国は複数の島からなる島国であることから、物流面では大きな課題を抱える。
インドネシアの場合、島と島の輸送手段に海上輸送が使われることから配送コストが高くなる上、配送時間もかかる。同国のECサービスでユニコーン企業となり、Gojekと合併したTokopedia(トコぺディア)の場合、複数の物流業者と提携し、購入者に配送業者を選択させることで、配送業者間に競争を生み出し、課題を解決した。そのTokopediaはSODAの投資家であるSoftbank Ventures Asiaの出資先でもあることから、今後のサービス連携も考えられる。
フィリピンにおいては、経済発展やECの普及拡大により急速に物流業務が増加しているが、物流・交通インフラの整備が十分ではない。基本的に配送を請け負うのは零細企業や個人のドライバーで信頼性が低い。
両国ともに成長の可能性は大きいものの、上記のような物流面での課題がある。逆に言えば、SODAが事業展開に成功した場合には大きな参入障壁を築くこともできるだろう。
今後、SODAはモノカブとの連携で商品数、カテゴリーを増加させて国内で新規顧客を開拓する一方で、中国の「nice」と韓国の「KREAM」との連携でアジア市場に攻め込む。企業価値を大幅に上回るStockX、Goat Groupに戦いを挑み、まずはアジアをターゲットにトップへの君臨を目指す。
無料トライアルに申し込むと、すべてのコンテンツをご覧になれます。