（OGP写真 : xMarshall / Shutterstock.com）

<Image type="full-column" src="//images.contentful.com/bdepgd648nl9/785k4DvOpdt1jUTlnfxGGK/b92dd17711904ef5882b9cf799e01c9a/20210803_Briefing37_01.png" />

<Image type="full-column" src="//images.contentful.com/bdepgd648nl9/8zKJMmYwaYiMSMYFsfv8t/f6534fd283ef6441c25d0d6b52eb70aa/20210803_Briefing37_02.png" />

スニーカーフリマのSODAは、約62億円の調達と競合のモノカブ買収を発表した。リード投資家は韓国NAVER子会社のKREAM Corporationで、韓国のAltos Ventures、SoftBank Ventures Asia、ジャフコ グループに加え、全ての既存投資家が出資した。累計調達額は約87億円で、会社公表によると調達後評価額は約240億円だ。

__ニュースの注目ポイント：評価額4000億円超えの米スタートアップに立ち向かう__

<Image type="full-column" src="//images.contentful.com/bdepgd648nl9/165mO3p8rvMYdArwbgU3fV/bd28d2a593c894a76f2b9acad1d36509/20210803_Briefing37_05.png" />

> SODAが運営するスニーカーフリマ「スニーカーダンク(SNKRDUNK)」のサービスサイト

SODAが運営する「スニーカーダンク(SNKRDUNK)」はスニーカーを軸とするマーケットプレイス、いわゆるメルカリのスニーカー版。2021年2月からはアパレルの取り扱いを開始し、月間利用者は約半年で50万人増加し、約300万人以上となっている。

SODAは2020年9月以降、3度にわたって著名人を起用したテレビCMを放映したことを機に急成長を遂げている。ユーザーが毎月数万件以上のスニーカーを着用したコーディネート写真やスニーカー情報を投稿するコミュニティも運営し、コアなファンを育ててきた。

国内ではすでに一定の市場シェアを獲得したものの、米国のStockXやGoat Groupも日本展開を強化するなど競争が加速している。

StockXは200カ国、2億人以上（2020年末時点）に、Goat Groupは170カ国、3000万人以上（2021年6月時点）にサービス提供するなどグローバルで急成長しており、StockXは38億ドル（4180億円）、Goat Groupは37億ドル（4070億円）という高い企業評価額がついている（1ドル110円で算出）。

そんな状況下、SODAは国内だけでなく、アジア市場でのシェア獲得のため、国内スタートアップの競合である「モノカブ」を買収した。今後のサービス連携の詳細は未定ではあるものの、すでにモノカブ代表の濱田航平氏を筆頭にしたグローバルチームでインドネシア、フィリピンを中心とするアジア市場の攻略に動いている。すでに中国のスニーカー売買サイト「nice」や、今回の投資家でもある韓国のスニーカー再販サービス「KREAM」との連携も発表した。

__アジア市場攻略のカギ__

SODAがアジア進出で最初に狙うインドネシアとフィリピンには大きな共通点がある。インドネシアの人口は世界第4位の約2.7億人でその約半数が30歳未満の若年層、フィリピンも人口約1億人のうち、19歳未満が約44%を占める。最初の市場として2国を選んだ背景には、メインユーザーとなりうる若者の割合がアジアで最も高いことにありそうだ。

一方で、両国は複数の島からなる島国であることから、物流面では大きな課題を抱える。

インドネシアの場合、島と島の輸送手段に海上輸送が使われることから配送コストが高くなる上、配送時間もかかる。同国のECサービスでユニコーン企業となり、Gojekと合併したTokopedia（トコぺディア）の場合、複数の物流業者と提携し、購入者に配送業者を選択させることで、配送業者間に競争を生み出し、課題を解決した。そのTokopediaはSODAの投資家であるSoftbank Ventures Asiaの出資先でもあることから、今後のサービス連携も考えられる。

フィリピンにおいては、経済発展やECの普及拡大により急速に物流業務が増加しているが、物流・交通インフラの整備が十分ではない。基本的に配送を請け負うのは零細企業や個人のドライバーで信頼性が低い。

両国ともに成長の可能性は大きいものの、上記のような物流面での課題がある。逆に言えば、SODAが事業展開に成功した場合には大きな参入障壁を築くこともできるだろう。

今後、SODAはモノカブとの連携で商品数、カテゴリーを増加させて国内で新規顧客を開拓する一方で、中国の「nice」と韓国の「KREAM」との連携でアジア市場に攻め込む。企業価値を大幅に上回るStockX、Goat Groupに戦いを挑み、まずはアジアをターゲットにトップへの君臨を目指す。

参考：[海外ユニコーンから見る、ECとEdTechの最新トレンド（StockXとGOAT Groupの動向）](https://initial.inc/articles/world-news-202107)



<Image type="full-column" src="//images.contentful.com/bdepgd648nl9/45Kg7Mfpl6oOK4IftW3q99/3f94f775eff3e2566f52a08967e39139/20210803_Briefing37_03.png" />

多言語翻訳サービスのWovn Technologies（ウォーブンテクノロジーズ）は、香港とサンフランシスコ拠点のTybourne Capital Managementをリード投資家に約36億円を調達した。MPower Partners、米国のロングオンリー型機関投資家、既存投資家4社が出資した。累計調達額は約54億円となる。

__ニュースのポイント：調達資金を知名度獲得へ集中投資__

<Image type="full-column" src="//images.contentful.com/bdepgd648nl9/6ZPeaikJ0ST9ij6RxsZLVZ/2c50786848d68dee092384ad93869f13/20210803_Briefing37_06.png" />

> Wovn Technologies プロダクトサイト

Wovn Technologies（以下、Wovn）はWebサイトとアプリを最大43言語に多言語化することができるサービスをSaaSのビジネスモデルで提供する。Google翻訳のようなサービスだが、より精度が高く、専門用語まで瞬時に変換できるイメージである。すでにWebサイトの多言語化サービス「WOVN.io」は銀行、旅行、小売など幅広い業界の大手企業を中心に18,000サイト以上で導入されており、開発なしにユーザーがワンクリックでWebサイトの言語を変更できることが評価されている。

Wovnの強みは今回の投資家、MPower Partnersの代表パートナーであり、翻訳者でもある関 美和氏がプレスリリースで評価しているように、単なる翻訳ではなく、（文脈や文化的な意味までを考慮する）ローカライズをしていることにある。AIや専門家、用語集を組み合わせた自動翻訳に加え、用語の定義などを登録することにより導入企業は独自の多言語データベースを構築することができる。

ローカライズしているからこそ、Wovnは難しいと言われるSEO（検索エンジン最適化）にも対応もできている。SEOにおいては、より自然な翻訳でなければ検索結果の上位に表示されにくい。Wovnの高い翻訳精度が顧客に重宝されているのだ。

業界特化の翻訳サービスやアウトソーシングなどの翻訳サービスを提供する企業は数多あるものの、リアルタイムでの翻訳ができるサービスは少ない。国内上場企業のロゼッタや翻訳センターが競合と見なされがちだが、Wovnはそれぞれと業務提携、パートナー契約を締結するなど、住み分けができている。

これまで、Wovnは金融機関や公共交通、旅行業、ECプラットフォームなど、顧客になりそうな約30社と戦略的に業務提携し、事業拡大をしてきた。一方、今回の大型調達の資金については採用とマーケティングに費やすとしている。広告宣伝を増やすなど、マーケティング戦略を転換する方針を掲げており、マスで知名度を高めてより一段の成長を目指す。

<Image type="full-column" src="//images.contentful.com/bdepgd648nl9/3UWvEi70IGRdbxFcrM8SCI/ab9cad6f33f9103ac8e30a56d98d6aa4/20210803_Briefing37_04.png" />

ネットスーパー立ち上げサービスの10Xは既存投資家のDCMベンチャーズとANRIから総額約15億円を調達した。累計調達額は約21億円となる。

__ニュースのポイント：自社サービス拡大とともに巨大な潜在市場を開拓__

<Image type="full-column" src="//images.contentful.com/bdepgd648nl9/1eu1E3mfaOKPA19qVS5irP/34f50ecc40e17d6a3ca115d0fd3b703b/20210803_Briefing37_07.png" />

> チェーンストアECの垂直立ち上げプラットフォーム「Stailer（ステイラー）」（出所：10Xのプロダクトサイト）

10Xが提供する「Stailer（ステイラー）」は、多店舗を展開する小売・流通企業がECを立ち上げることを支援するサービスだ。在庫・ピッキング・配送などのオペレーションから、消費者向けのアプリ提供までワンストップで支援する。導入企業はサービス利用料と、EC上での売上に連動した手数料を10Xに支払う。

サービスリリースから1年程度で、イトーヨーカドー、ライフなどのスーパーや、ドラッグストアの薬王堂など大手企業が導入する。10Xは国内市場だけで25兆円の流通取引総額（スーパー16兆円、ドラッグストア9兆円）をターゲットにしており、現時点で20%程度の5兆円超をカバーする。

流通総額が大きく、コロナ禍の外出自粛の追い風も吹く食品EC市場の成長期待は大きい。だが、食品スーパーなどが既に展開しているリアル店舗を軸にEC事業を手掛けようとすると、在庫管理やピッキング作業の人員確保などが難しかった。一方、Stailerを使って効率化を進めればEC専用倉庫などを新設することなく、すぐにEC事業を始めることができる。

10Xがサービス展開する日本の食品、飲料、酒類のEC化率は約2.9%（2019年度）と、BtoC全体のEC化率6.76％よりも低く、市場の成長余地が大きい（出所：[経済産業省：電子商取引に関する市場調査](https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html)）。Stailerを導入した企業のサービスを利用する消費者の約70%は翌月も購入を継続しており、1ヶ月の平均購入金額は約2万円とリアル店舗での購入と同じように使われ始めている。

今後2年間で自社サービスを通じた流通総額を10倍にすることを狙う10X。献立アプリや自社運営のネットスーパーの開発の経験をもとにリリースしたEC立ち上げサービスで、食品を中心とした小売業のデジタル化を進めていく。

（取材・文：平川凌、編集：藤野理沙、デザイン：山浦隆史）

株式会社SODA

株式会社モノカブ

株式会社10X

Wovn Technologies株式会社

企業名	設立年月日	最新ラウンド調達日	スピーダ調達シリーズ	調達後評価額（千円）
ポケトーク株式会社互いの言葉を話せない人同士が自国語のままで対話できるAI通訳機「ポケトーク（POCKETALK）」の開発。音声とテキストでリアルタイムに翻訳して理解でき、専属の同時通訳者がいるように相手の話が分かるサービス「ポケトークライブ通訳」の提供。聞き手側のソフトウェアインストールが必要なく、多言語での会議をAI技術によって簡単に通訳することができるソフトウェア「ポケトークカンファレンス」の提供。「言葉の壁をなくす」をミッションに掲げる。 #BtoC #人工知能 #アプリ #多言語翻訳 #翻訳	2022/02/01	2024/07/05	シード	25,462,600
株式会社Oyraa 通訳者及びマルチリンガルを擁するグローバル人材ネットワークの運営・管理。プロフェッショナルな通訳者をアプリで即時に呼び出せる遠隔通訳アプリ「Oyraa（オイラ）」を展開。「あらゆる言語の壁を取り払い、誰もが好きな場所で生きられる多文化共生社会を実現する」をミッションに掲げる。 #BtoB #オンラインサービス #モバイルアプリ #BtoC #多言語翻訳 #翻訳 ...	2017/03/09	2024/06/10	シード	1,027,683 （推測）
Mantra株式会社マンガに特化した機械翻訳技術の研究・開発。マンガ翻訳に特化した法人向けクラウドサービス「Mantra Engine」の提供。マンガを英文多読の教材として活用する学習サービス「LANGAKU（ランガク）」の展開。「世界の言葉で、マンガを届ける。」をミッションに掲げる。 #BtoB #オンラインサービス #画像認識 #人工知能 #ビッグデータ #自然言語処理 ...	2020/01/28	2024/05/31	シード

多言語翻訳

国内スタートアップ

オリジナル記事