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2021/06/15

ECのスタンダードへ。急成長のSUPER STUDIO、18億円調達の舞台裏

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今週はサービスリリース1年で年商10億円を突破したD2Cの黒子企業、SUPER STUDIOの資金調達を取り上げる。設立7年目にして初の本格的な資金調達を行った背景についてSUPER STUDIO代表取締役の林 紘祐氏に話を聞いた。コラムではラテンアメリカで誕生した3兆円のFinTechスタートアップが展開するデジタルバンクについて紹介する。

EC/D2C支援のSUPER STUDIO(スーパースタジオ)はALL STAR SAAS FUND、シンガポール政府系ファンドのPavilion Capitalなど計5社から18億円を調達した。

SUPER STUDIOは設立7年目の企業ながら、昨年、協業を目的にポーラ・オルビスホールディングスから資金調達したのを除くと、初めての本格的な資金調達となる。

SUPER STUDIOはEC・D2C事業者向けに商品企画から広告運用、売上のデータ分析、CS対応や出荷など、あらゆる業務を自動化する基幹システム「ecforce(イーシーフォース)」とD2Cの立ち上げからオペレーションまでを支援・コンサルティングする「ecforce teams」事業を展開する。

参考:D2Cが示す「ユーザーとの関係性」。スタートアップと大企業のトレンドを見る

今回の資金調達の背景についてSUPER STUDIO代表取締役の林 紘祐氏に話を聞いた。

設立直後のSUPER STUDIOはDIYの動画メディアを展開していたものの、マネタイズポイントなどに苦戦し、受託開発などをしていたという。その際に同時に行っていたのがECシステム・広告運用。自社が欲しいサービスを開発したところ、相次いで導入したいという声が上がり、さらに導入企業に自社サービスとして展開することを勧められたことがきっかけで2017年にEC基幹システム「ecforce」正式版をリリースした。

「ecforce」リリース後は10ヶ月で導入企業100社を超え、わずか1年で年商10億円を超えてプロダクトマーケットフィット(PMF)に至った。

その理由についてSUPER STUDIO林氏は「サービスリリース時から自分たちが欲しいシステムを開発してきました。現在もアパレル・コスメ・食品などあらゆるカテゴリーの自社ブランドを立ち上げ、R&Dとして試行錯誤することで『ecforce』の新機能開発やコンサルティングサービスの『ecforce teams』に活かすことができています」と語る。

2021年4月末時点での「ecforce」導入数は約400ショップで「ecforce」のARRは2桁億円ほどであるという。現在の顧客は平均年商2億円の中規模〜大規模メーカーで、SUPER STUDIOのサービス導入でさらに事業拡大を目指す企業が中心である。

成長の背景には、近年のEC市場の急速な拡大に伴い、自社EC立ち上げニーズが相次いだことにある。自社ブランド運営する上での課題を機能として実装したプロダクトは評判が評判を呼び、サービスリリースから昨年まではPRなしの口コミのみでユーザーを獲得してきた。

そんな急成長中のSUPER STUDIOだが、今回資金調達を行った理由について、「これまでも何度か創業者4名で『会社が目指す姿になるために今のままでいいのか』を議論したことはありますが、2020年の11月頃からより本格的に議論するようになりました。きっかけは社外役員の小笠原さんと冨岡さんとの会話で『経営者は登る山を明確に決める必要がある』と言われたことです。これまでは営業利益を重要KGIとした黒字経営で順調に業績が伸びていたことに満足し、明確に登る山を決めていないことに気づきました」

EC業界のスタンダードとなるシステムを提供するためによりスピードと成長率を重視した経営をしなければいけないと思い、2021年2月から本格的に資金調達に動き始めました。20社近くの投資家と面談しましたが、自社ブランドを運営して生じた課題をプロダクト開発に反映している点や、顧客との距離が近いハイタッチなサービスであることを評価していただき、想定以上の調達額となりました」と語る。

資金使途には人材採用だけでなく、従来力を入れていなかったタクシーサイネージ広告やマーケティング施策などサービス認知拡大に力を入れ、より幅広い事業フェーズの企業への支援を掲げる。

また、今回の投資家であるシンガポール政府系ファンドのPavilion Capitalなどからの支援により海外展開も視野に入れる。サービスリリースから口コミでユーザーを拡大してきたSUPER STUDIOがマーケティング施策に投資し、今後どのような成長を遂げるのか期待がかかる。

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