月に1度お届けする「海外ニュース丸わかり」では、世界で続々と誕生するユニコーンに着目。足元ではどんなスタートアップが順調に資金を調達し、企業価値を拡大しているのか。ユニコーンの動向を読み解くことで、今後、日本のスタートアップ業界に起こるであろうトレンドをいち早くキャッチする。
今月のテーマは「BtoBマーケットプレイス」だ。世界各地で大型調達が相次いでおり、注目が集まるBtoBマーケットプレイス。そのトレンド急成長の背景とビジネスモデルの特徴を、同領域のビジネスを手がけるラクスルCOO福島 広造氏のコメントともに解説する。
そのほか、デカコーンが生まれたwithコロナビジネスや、引き続き成長が続く暗号資産系サービスについて、注目ユニコーンやそこから見えてくるトレンドを紹介する。
BtoBマーケットプレイスの大型調達トレンド
「ユニコーンから見る注目テーマ」では、2021年8月に資金調達した海外ユニコーン企業(調達後企業評価額10億ドル超)から注目テーマとその動向について解説する。
今月取り上げるテーマは、マーケットプレイス、withコロナビジネス、暗号資産だ。
今月は世界的なBtoBマーケットプレイスの大型調達トレンドに着目する。8月はインドのZetwerk Manufacturing Businesses(以下、Zetwerk)が1.5億ドル(約165億円)を調達してユニコーン企業となった。同社はインドを拠点に製造業やインフラ企業向けの受発注プラットフォームを提供している。
このマーケットプレイスの売り手は製造、機械加工、鋳造のOEMメーカーやEPC(Engineering・Procurement・Construction)建設会社などのサプライヤーだ。売り手にとっての顧客である航空宇宙・自動車・石油・鉄鋼企業(買い手)などとのマッチングを提供する。機械部品やプラントなどカスタマイズが必要な買い手に対して、対応可能なサプライヤーを世界中から見つけられる。同社の事業内容は、8月に80.3億円の大型調達を発表した国内スタートアップのキャディと近い。
参考:キャディ80億円調達、Facebook見出した海外投資家が出資
大型調達トレンドが見られるのは、製造業向けに展開するZetwerkやキャディだけではない。2021年に大型調達しているスタートアップをみると、インドネシアではGudangAda(1億ドル、約110億円)が日用品サプライチェーンのデジタル化を中小企業を中心に解放しており、フランスではAnkorstore(約1億ドル、約112億円)が独立系ブランドとセレクトショップをつなぐ。インドではBizongo(5100万ドル、約56億円)がパッケージやカスタマイズ商品を強みに事業を展開している(カッコ内は2021年の調達額)。これらのスタートアップに共通するのはビジネスモデルが「BtoBマーケットプレイス」であることだ。
では、なぜ今BtoBマーケットプレイスがトレンドになっているのか。解説の前に、マーケットプレイスのビジネスモデルを整理する。
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