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2020/10/05

政府、海外からの動きで真のスタートアップエコシステムへ

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スタートアップの最新トレンドを毎週発信する「INITIAL Briefing」。今週は、スタートアップ3大ニュース解説、独自取材による注目スタートアップ紹介、マザーズ・IPO企業動向を紹介するEXIT Reviewのコンテンツをお届けする。

9月3〜4週目のピックアップニュースでは、政府、海外起業家、スタートアップ出身者、海外機関投資家など、さまざまな主体による新たなスタートアップエコシステムの兆候について解説する。

注目スタートアップは、音声解析AI電話「MiiTel(ミーテル)」を提供するRevComm(レブコム)を紹介。本日10月5日にシリーズAで7億円の追加資金調達を発表。セカンドクローズの背景についてCFO・鈴木氏に話を聞いた。

IPO企業動向では、ある共通点を持つ10月の新規上場企業2社について解説する。

CONTENTS

スタートアップ・エコシステムの強化へ 。INITIALピックアップニュース3選

「INITIALピックアップニュース3選」では、資金調達など抑えておくべき3大ニュースを解説する。

今週は、9月21日から2週間分のニュースから、スタートアップに関連する政府の予算強化、大型資金調達、新規組成ファンドのニュースを選定した。いずれも、今後のスタートアップエコシステムに変化を与えそうなニュースだ。

トップニュースは、政府による大学発スタートアップ創出強化の発表だ。 文部科学省が発表した来年度予算案の概算要求によると、科学技術イノベーション・システム構築の予算が前年度比80億円増の386億円に増額。そのうち約半分の46億円が大学発スタートアップ・エコシステムの推進予算にあてられている。

拡充するのは、大学内での起業支援プログラム(約8機関に年間3億円、5年間の支援)と、VCなどの民間人材と共に大学発スタートアップ創出を目指す研究開発プロジェクト推進(約30課題に年間4〜6千万円、1〜3年の支援)の2点だ。

また、事項要求のため本決定はしていないが、大学の研究や若手人材を支援する仕組みとして大学間で連携した約10兆円規模のファンドの創設も内閣府と共同で検討されている。運用益を研究支援やスタートアップ創設基盤にあてる。新政府になった今、大学発スタートアップ創出に向けた予算増額はさらなる追い風になりそうだ。

参考:2020年、大学発スタートアップを取り巻く環境の今

大型調達発表と同時にユニコーン入りを果たした企業も誕生した。インスタントプレイゲーム開発のPlaycoだ。Playcoは日本・米国出身の共同創業者4名で設立され、東京を本拠点に置くグローバルスタートアップだ。

リード投資家は、米国著名VCセコイアキャピタルが母体の、セコイアキャピタル・グローバル・エクイティ(Sequoia Capital Global Equities)。上場企業を中心に投資する同社がシリーズAで出資した点は、将来の上場見込みが高いことを示唆する。その他、日米シンガポールの投資家からも資金を集めた。

INITIALシリーズAでは調達額中央値が2.3億円、企業評価額の中央値が11.8億円だ。Playcoの調達額約100億円(1億ドル)、評価額1000億円以上は、これまでの日本のシリーズA調達水準を大幅に超える。

共同創業者のジャスティン・ウォルドロン氏は、日本のスタートアップエコシステムにも貢献している。東京都渋谷区スタートアップ事業のアドバイザーにも就任。渋谷区はグローバル拠点都市に選出されたことを受け海外スタートアップ企業招致を強化している。今後Playcoをきっかけに、世界から日本で起業する人たちが集まるか注目だ。

参考:Playco、セコイアなどから100億円の大型調達。 日米ゲーム界のレジェンド集結

メガベンチャーから転身し、新たにスタートアップエコシステムを支える動きも見られた。 メルカリ元CFOの長澤啓氏と、元モルガン・スタンレー出身の村島健介氏が共同でグロース投資ファンドを設立。香港の資産運用会社プレイアド・インベストメント・アドバイザーズ(Pleiad Investment Advisors)と共同で運営する。海外投資家の資金を背景に、日本発・次世代グローバルスタートアップ企業創出を目指す。

ファンドサイズは150億円だ。レイターステージに特化し、未上場スタートアップのプレIPO投資(1投資案件あたり10-30億円)のほか、上場企業のPE投資も視野に入れる。レイター投資に特化したファンドの事例は、2019年に設立されたシニフィアンの「THE FUND」(運用額200億円)があげられる。

アドバイザリーボードには、メルカリ会長小泉氏、freee CEO佐々木氏、ラクスルCFO永見氏など上場企業メンバーが揃う。元CFOとしてメルカリの成長を支えた長澤氏が、今後投資家サイドで日本発グローバルスタートアップを創出できるか期待したい。

RevComm、シリーズAで7億円追加調達。11社からの調達をスムーズに進めた理由

注目スタートアップを紹介する、「INITIALピックアップインタビュー」。 今週は、音声解析AI電話「MiiTel(ミーテル)」を提供するRevComm(レブコム)社だ。本日、シリーズAのセカンドクローズで7億円の調達を発表。調達の背景を中心に、CFOの鈴木 悠介氏に話を聞いた。

ミーテルは、主に電話営業やコールセンター業務で利用される。通話内容をAIが解析および可視化し、商談獲得率・成約率向上を実現する仕組みだ。ビジネスモデルは月額課金のサブスクリプション(継続課金)型だ。

同社の特徴は、国内外で課題となっている営業生産性の向上に着目し、市場規模が大きく拡大する可能性が高い音声、インサイドセールス(内勤営業)に焦点を当ててサービスを展開している点だ。

2018年10月にサービスリリース後、働き方改革やリモートワーク拡大が追い風となり、導入企業は400社以上、ユーザー数は10,000人を超える(2020年9月現在)。2020年3月対比でユーザー数は2倍に拡大した。

音声解析AI電話MiiTel(ミーテル)のプロダクト画像(出所:RevComm 公式HP)

順調に成長しているRevCommの資本政策をみてみよう。

本日、シリーズAセカンドクローズで7億円の調達を発表。ファーストクローズの8億円を含むシリーズA総調達額は15億円、調達後企業評価額(以下、評価額)は86.7億円だ。(※評価額はINITIALによる推定額、RevCommにより決定または追認されたものではない)

ファーストクローズに続いてWiLがリード投資家を務め、NTTドコモベンチャーズやKDDIなど事業会社系CVC、独立系VC、金融系VC、事業会社など新たに10社の株主が加わった。

主な資金用途は新サービス開発・サービス品質向上のための研究開発、海外進出、人材採用だ。

前回のシリーズA調達の際にも言及したが、RevCommのシリーズAは異例の高評価額だ。今回の評価額86.7億円は、INITIALシリーズAの評価額中央値11.8億円を大きく上回り、INITIALシリーズCの中央値58.7億円をも上回る水準だ。

参考:スタートアップの平均的な成長モデルを知る

シリーズAの2回のファイナンスについて、同社CFOの鈴木氏は「3月のファーストクローズ(開示は5月)では時間軸を優先し、WiLさん一社から調達しました。実は今回のセカンドクローズで迎え入れた株主とは、すでにファーストクローズの段階で、フォロー投資の関心の有無を相談していました」と語る。

今回セカンドクローズがスムーズに進められた理由として、鈴木氏は「投資家間での条件統一」をあげる。

通常資金調達の際は、出資金額や各投資家の個別事情などに応じて、投資家ごとに異なる条件で投資契約を結ぶことも多い。あえて条件を統一した背景は何か。

「ファーストクローズの段階で、リード投資家のWiLさんが投資条件に合意いただき、セカンドクローズでは当該条件に賛同する方々に参画いただきました。投資条件は評価額だけでなく、取締役会の参加権や情報の開示請求権などを含みます。

基本的な条件を決めた後に細かな調整を行ったため、投資家数の多さ(新規10社)に対して調整の時間を極力抑えることが出来ました。また、投資家からは『リード投資家が条件を決めた方が出資しやすい』との声もありました」(鈴木氏)

今回新たに株主に迎えたのは、事業会社系CVC、独立系VC、金融系VC、事業会社など多様な顔ぶれだ。特にNTTドコモベンチャーズやKDDI、ソフトバンク(ディープコアの100%親会社)など、通信事業大手系の企業とは、どのようなシナジーを想定しているのか。

「もともとセカンドクローズでは、事業面でのシナジーが見込める投資家を中心に出資いただくことを目指していました。通信キャリア3社とは、サービス開発や顧客開拓面での事業提携を考えています」(鈴木氏)

現在の従業員数は74名、業務委託メンバーを含めると約100名だ。今後急ピッチで組織が拡大する中で、カルチャーの浸透にも積極的に取り組む。

将来は海外展開も視野に入れるRevComm。1兆円企業を目指し、営業分野で日本有数のSaaS企業を目指す同社の動きに注目だ。

RevCommについてもっと知るにはこちら

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