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2021/06/08

ESGファイナンス最前線。ユニファ、40億円調達

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海外投資家も注目する、ESGを重視したスタートアップである保育テックのユニファは、6月2日にシリーズDで約40億円の大型調達をしたと発表した。調達後企業評価額(以下、評価額)は推定約160〜180億円前後と見られる。同社のファイナンスの特徴は、上場後を見据えた海外投資家、ESG・インパクト投資家を株主に迎えている点だ。

総額7兆ドルを上場・未上場企業に投資する世界的資産運用会社のブラックロックが2020年に、ESGを重視した運用に移行するなど、ESG・インパクト投資は世界的な潮流となっている。日本は出遅れているものの、スタートアップにおいてもESG投資の流れが今後強まるのは間違いない。

日本のESGファイナンス先駆けとも言えるユニファはどうやってこうした投資家の支持を得たのか。「企業価値を最大化するための資本政策」と語るユニファのCFOの星 直人氏、リード投資家のMinerva Growth Partners長澤 啓氏のインタビューより、今回のファイナンスの狙いと同社の戦略に迫る。

CONTENTS

上場後を見据えた「海外長期投資家とESG投資家」中心のラウンド

保育施設向けに保育支援サービス「ルクミー®」を展開するユニファ株式会社(以下、ユニファ)は、シリーズDで40億円の調達を発表した。累計調達額は約88億円で、調達後企業評価額は約160〜180億円前後とみられる。

ユニファは2013年に土岐泰之氏が設立した企業。「家族の幸せを生み出す あたらしい社会インフラを世界中で創り出す」をパーパス(存在意義)にかかげ、「スマート保育園®」など保育関連業務のデジタル化を推進している。

今回のシリーズDラウンドの投資家は非公表の投資家を含めて9社で、海外投資家やESG/インパクト投資家など、長期視点・ESGを重視した株主の顔ぶれとなっている。

 ユニファ、シリーズDの投資家一覧(ユニファプレスリリースより)

ユニファCFOの星氏は、シリーズD調達のテーマを「クロスオーバー投資家、及びESG・インパクト投資家を中心とした資本政策」と置いて調達活動に励んだという。2019年のシリーズC調達を終えてから、約1年以上かけて計画的に進めてきた。

クロスオーバー投資家とは未上場の段階で投資したのち、上場後も継続保有、追加出資も視野に入れる投資家で上場後の株価形成にあたって重要な役割を担う。

今回の投資家ではMinerva Growth Partners、MPower Partners、第一生命保険、創発の莟ファンドを共同運営する鎌倉投信、非公表の海外独立系資産運用会社(ロングオンリー)が該当する。

リード投資家としてMinerva Growth Partnersを選んだ理由は、「香港の独立系資産運用会社、Pleiad Investment Advisorsの存在を含め、クロスオーバー投資家として未上場株・上場株双方での知見があり、長期投資家として上場後も成長を支えてくれる」ためだ(ユニファ星氏)。

ESG・インパクト投資家には第一生命保険、MPower Partners、Salesforce Ventures、GLIN Impact Capitalなどが該当する。第一生命保険は2023年までに全資産の約36兆円をESG投資に組み込むことを発表しており、ESG投資に積極的な姿勢を見せる。

同じくMPower Partnersも、ESG重視型のグローバルVCだ。元ゴールドマン・サックス証券で日本副会長を務めたキャシー松井氏などが2021年5月末にファンド設立を発表し、約160億円規模のファンドを運用すると見られる。

ユニファは「企業価値を最大化するため」の資本政策を逆算していき、既存投資家からの追加出資は、調達のテーマに合致する第一生命保険のみを受け入れた。

保育業界に特化したBtoB SaaS

ユニファはこうした海外長期投資家やESG投資家からどのように支持を得たのか。

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