スタートアップの最新トレンドを発信する「INITIAL Briefing」。 今週は、ピックアップニュース解説と注目スタートアップのインタビューをお届けする。
ピックアップニュースでは、株取引アプリを運営する米スタートアップ、ロビンフッドが34億ドル(約3500億円)の資金調達を行ったニュースに注目した。同社がわずか4日で大型調達を行った背景を解説する。また、ソフトバンクグループ傘下の買収目的会社(SPAC)の米NASDAQ上場申請や、オープンエイトの資金調達を紹介する。
注目スタートアップでは、大企業のDXを支援するArent社を紹介する。同社はコンサルティング×SI事業で黒字化しているにも関わらず、2020年11月に総額10億円を調達した。背景には6.5億円を出資して千代田化工建設と折半で合弁会社を設立したことにある。共同出資でリスクをとって事業展開する理由を、同社代表取締役社長 鴨林 広軌氏に聞いた。
米ロビンフッド、わずか4日で34億ドル調達。INITIALピックアップニュース3選
「INITIALピックアップニュース3選」では、INITIAL編集部が選定する一週間の抑えておきたい3大ニュースを解説する。
今週は注目のニュース、資金調達ニュースを選定した。
米ロビンフッド、わずか4日で34億ドル(約3500億円)の資金調達
株取引アプリを運営するロビンフッド(Robinhood)がリビットキャピタル(Ribbit Capital)をリード投資家として、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)やセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)など既存投資家から34億ドル(約3500億円)を調達した。
わずか4日で大型調達を行った背景には、急激に売買が増加したことで清算機関からの補償金請求が30億ドルに達したことにある(同社が一部銘柄を取引制限することで補償金は減額され、現在は全ての返済が完了している)。今回の調達はすでに数億ドルの収益を上げる同社への既存投資家からの救済措置の側面が大きい。
ロビンフッドは資産運用のゲーム化を謳っている。売買手数料は無料で、投資未経験の若者が多く使うサービスだ。収入源はユーザーへの資金貸出手数料、ユーザー預金の運用手数料、取引発注業者への仲介手数料だ。
同サービスのユーザーがSNS上で集団売買を募ったことで、1月29日にゲーム小売店のGameStopなど一部銘柄の株価が急騰し、株式市場に混乱を招いた。
ロビンフッドはユーザーが株式の売買を行う際、一定の保証金を決済機関に預ける必要がある。今回、売買が急増したことで保証金の支払い資金が不足し、ロビンフッドは取引制限措置を余儀なくされた。
その結果、個人投資家からの集団訴訟だけでなく、米マサチューセッツ州も投資家保護に関する州法違反で同社を提訴している。
2020年6月にも同社ユーザーが一部銘柄に殺到したことで株価が乱高下したことやゲーム感覚での投資により自殺者を招くなど、投資家保護の観点で問題になっている。
Bloombergでは同社が2021年のIPOを予定していることが報道されていたが、投資家保護や米国金融市場の問題が浮き彫りになったことで、ビジネスモデルの転換が迫られているのではないだろうか。
ソフトバンクグループ傘下の特別買収目的会社(SPAC)、米NASDAQ上場申請
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