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2021/01/22

上場前後の壁をなくす。機関投資家ハヤテ、MS-JapanがCVCを始める理由

  • #VC/CVC
  • #資金調達記事

機関投資家がついに、CVC運用に参入した。

独立系資産運用会社・ハヤテインベストメントは2021年1月、管理部門・士業特化型の人材紹介会社であるMS-Japan(東証1部上場企業)と共同でCVCファンド設立を発表した。機関投資家がCVC設立支援・運用サービスに関わるのは、日本では珍しい取り組みだ。

ハヤテインベストメントは今後、事業会社とのCVCファンド運用を強化していく動きだ。上場企業への投資信託事業を中心に行っていた機関投資家が、なぜCVC事業を強化していくのか。なぜコロナ禍の今なのか。

INITIAL編集部は、ハヤテインベストメント代表取締役・杉原 行洋氏と、CVC共同運用を決意したMS-Japan代表取締役の有本 隆浩氏にインタビューを敢行。

過去のスタートアップ投資実績の紹介とともに、ハヤテインベストメント・MS-JapanがCVC運用に参入する理由と意図に迫る。

CONTENTS

ハヤテインベストメント(以下、ハヤテ)は、2005年8月にゴールドマンサックス証券出身の杉原行洋氏により設立された資産運用会社だ。「挑戦者を支え、挑戦者を増やし、挑戦者になることで社会の温度を上げる」をミッションに掲げ、投資助言・運用業務など金融事業のほか、新規事業としてAIの研究などFinTech・ディープテック関連事業も手がけている。

資産運用会社にとどまらない活動を行うハヤテだが、なぜ今日本のマーケットのためにCVC事業を本格的に開始するのか。

ハヤテ代表の杉原氏、ハヤテと共同でCVCファンド設立を発表したMS-Japan代表の有本氏に、CVC設立までの経緯や今後の狙いについて話を聞いた。

(写真:ハヤテインベストメント提供 / Credit: Mario Suzuki)

独立系投資会社ハヤテ、スタートアップ投資の実績は10年以上

まずハヤテ設立についてお伺いします。どのような思いでハヤテを立ち上げたのですか。

ハヤテインベストメント 杉原氏(以下、杉原) 経営者と一緒にビジネスを作りたいと思って立ち上げました。なぜなら、投資家として経営者から一番近いところにいたからです。

やっぱりプレIPO(上場前)とポストIPO(上場後)を両方見ることができる人間ってなかなかいないんですよね。

上場前と後では求められるものが違います。上場前はドキュメンテーション、例えば、投資契約書のつくり方とか経営者との交渉、ファンド関連の知識などが求められます。

上場後はバリュエーションや、市場心理を理解する部分も求められ、上場前と違う要素が入ってきます。

なかなか両方の知見を持っている人間がいない中、上場前後の企業を両方見て経営者と事業をしたいという私の思いに賛同したメンバーと一緒に始めました。立ち上げた10年前は、4人のメンバーでした。

普段上場企業に投資する資産運用会社が、スタートアップ投資を始めるのは珍しいですね。

杉原 積極的に開示していませんでしたが、実はこれまでに10年以上スタートアップ投資の経験があります(笑)

ファンド投資ではサムライインキュベイトやサイバーエージェント・キャピタル、インキュベイト・ファンドにLP出資(正確にはファンドから別のファンドに投資するファンド・オブ・ファンズ形式)をしていましたし、直接投資もしています。

ファンド投資を積極的に行なっていた理由は、LP出資を通じて何百近くの企業情報にアクセスができるからです。企業情報をリサーチするのに、レバレッジが効く方法だと思います。

機関投資家であることを生かして、ほぼ全ての新規上場企業の情報も手に入れています。中小型株式投資信託をハヤテグループで組成・運用しているので、新規上場時に行われるロードショー(機関投資家向けに行われる会社説明会)にはほぼ全て参加をしています。

また、2007年にはユナイテッド(博報堂DYホールディングスのグループ企業)と共同でCVCファンドの運用も行なっていました。ユナイテッドが大半の資金を拠出するLP投資家、ハヤテがGP運営者で投資組合をつくるスキームです。

当時はまだCVCが今ほどブームになっていない中で、いち早く上場企業と一緒にはじめました。運用だけでなく、会計上、上場企業の連結子会社であるCVCの監査法人対応などガバナンス対応の経験もあります。

未上場、上場企業を分け隔てなくなく見ていること、CVC運用の実績があることが、われわれハヤテの強みです。

ステージに関係なく資金が必要。コロナ禍でCVC事業本格始動を決意

コロナ禍を受けて、新たに始めるビジネスについて教えてください。

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