スタートアップの最新トレンドを発信する「INITIAL Briefing」。 今週は、ピックアップニュース解説とFinance Reviewのコンテンツをお届けする。
ピックアップニュースでは、1200億円のファンドを設立した国内最大のスタートアップ投資家、官民ファンドが初めて出資を発表したニュースを中心に、Food Tech領域での注目のファンド設立、FABRIC TOKYOの資金調達について紹介する。
Finance Reviewでは、11月の資金調達額上位10社を分析。下半期、最も大型調達が少なかった11月のファイナンス動向を解説する。
1200億円の官民ファンドが設立以来初めての出資。INITIALピックアップニュース3選
「INITIALピックアップニュース3選」では、INITIAL編集部が選定する先週の抑えておきたい3大ニュースを解説する。
今週は注目のファンド動向、資金調達ニュースを選定した。
1200億円の官民ファンドがついにスタートアップ投資開始。7社の出資発表
トップニュースは「JIC Venture Growth Investments」の出資発表だ。
2020年7月、産業革新投資機構(以下、JIC)の傘下にJIC Venture Growth Investments(以下、JIC VGI)が設立された。
ファンド総額は1,200億円と国内最大のスタートアップファンドだ。この額は2020年上半期の国内スタートアップ資金調達額1,969億円(2020年8月27日基準)の6割に値する。
シリーズBからレイターステージまでのスタートアップで、リスクマネーが不足している産業分野に出資する。
設立以降、出資先は公表されていなかったが、11月末を皮切りにスタートアップ7社への出資が発表された。
投資対象に掲げる10億円〜50億円程度の大型出資を、JIC単独で行ったのは7社中2社のみ。デジタルコンサルティング事業のモンスターラボ(30億円)とIoT事業のウフル(20億円)だ。
投資先として発表されたココン、iCARE、アソビューは10億円以上の調達をしているが、複数社からの調達や融資を組み合わせており、JIC VGIが10億円を出資したか不明だ。
12月に発表された「JIC新体制発足後1年間の取り組みについて」では、米国、欧州のVCと比較して国内VCには年金基金などの長期視点の安定的なLP投資家が少なく、事業会社が中心である課題を指摘している。JICはすでに医療、ヘルスケア分野に投資するBeyond Next Venturesのファンドに40億円を出資しており、今後さらに民間ファンドへのLP出資を推進する。
JIC1社で1200億円規模のファンドを運用するなど、スタートアップエコシステムへ与える影響は計り知れない。他国と比べた日本のリスクマネー不足に言及し、次世代産業を支えるリスクマネーの好循環の創出を目指している。
今後、リスクマネーの供給だけでなく、継続して運用していくために投資リターンを生み出せるのかが重要だ。
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