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2020/08/19

1200億円規模の官民ファンド設立。調達の大型化を支える、レイター投資家

  • #資金調達記事
  • #VC/CVC

2020年下半期も7月から8月にかけ、レイターステージのスタートアップで複数大型調達の発表があった。特に今回取り上げる大型調達3社の事例ではスタートアップ側が資本政策を軸に投資家を選ぶ動きが見られた。

大型化する資金調達を支える投資家サイドでも大規模ファンド設立が観測されている。官民ファンドのJIC(産業革新投資機構)は1200億円のグロースファンド設立を発表。投資対象はシリーズBからレイターステージで、国内最大規模のスタートアップファンドだ。

本記事では、7月に行われた大型調達の3事例、大規模ファンドの設立動向、調達の大型化を支えるレイター投資家の「厚み」の変化について解説する。

CONTENTS

2020年7〜8月の大型調達。今後の成長が期待される注目スタートアップ3社

2020年7〜8月の大型調達から、特に今後の成長が期待されるヘイ、Mobilty Technologies(旧社名:Japan Taxi)、アンドパッドの3社の事例を紹介する。

①ヘイ、シリーズEで70億円以上を調達(8/4)

中小事業者向けに決済やECサイトプラットフォームを展開するヘイは8月4日、シリーズE調達を発表。引受先はプライベートエクイティ(PE)のBain Capital(米、ベインキャピタル)、機関投資家のAnatole(香港)やGoldman Sachs(米)、決済会社のPayPal(米、ペイパル)等だ。

同社は過去、2018年6月のシリーズC、2019年8月〜2020年6月にかけて複数回シリーズDラウンドで資金調達を実施。シリーズD最終ラウンド時の評価額は約297億円だ(出所:INITIAL、2020年8月17日基準)。

総調達額は非公開だが、ベインキャピタルからの投資額は70億円、総額は100億円規模と複数のメディアが報じている。

創業者の佐藤氏、佐俣氏の連続起業家としての経歴や、市場の成長性が評価されて大型投資につながったと推測する。同業他社であるBASEの上場後の成長2点が考えられる。

ヘイの競合他社である個人・小規模事業者向けECプラットフォームを提供するBASEは、2019年10月上場時の時価総額は232.7億円から、1338.4億円(2020年8月12日時点)まで、10ヶ月で約6倍近く上昇している。

上場する類似企業がマーケットから高く評価されていることで、ヘイに投資するリターンの蓋然性が高まり、大型投資に繋がったと考えられる。

②Mobility Technologiesが125.8億円を調達(7/13)

タクシーアプリを中心にモビリティ関連事業を展開するMobility Technologies(旧Japan Taxi)が、NTTドコモ、東京センチュリ―、電通グループから計125.8億円を調達した。累計調達額は計295.4億円に達する。(INITIAL、2020年8月12日基準)

同社はこれまでも事業会社を中心に資金調達を行っており、2018年2月にはトヨタ自動車から75億円を、2020年3月にはKDDIから22.5億円の調達を行っている。

NTTとトヨタ自動車は2020年3月、スマートシティ実現に向けて資本業務提携を発表している。Mobility Technologiesは既存株主のトヨタとの関係から、今回NTTドコモからの出資を受け入れたのではないだろうか。

同社は2020年2月にDeNAの配車アプリ事業「MOV」と事業統合を行い、DeNAの持分法適用会社となっている。4月にJapan Taxiからの社名変更と、DeNAでモビリティ事業を統括していた中島氏が代表取締役社長に就任し、川鍋氏との代表二名体制となった。

事業統合に伴い、9月から新しいタクシー配車アプリ「GO」をリリース予定だ。

③アンドパッド、シリーズCで約40億円を調達(7/20)

建築・建設プロジェクト管理SaaSを提供するアンドパッド(旧社名:オクト)は、既存投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下GCP)、DNX Ventures、Salesforce Ventures、BEENEXTから約40億円のシリーズC調達を発表。本ラウンドの評価額は320億円だ(INITIAL、2020年8月12日基準)。

同社の調達の立役者は、2020年4月からアンドパッドに入社したCFOの荻野氏。荻野氏は過去ミクシィでCFOを務め、時価総額を約5000億円への成長を牽引した利き腕のCFOだ。

アンドパッド入社の理由は「3兆円企業になるポテンシャルがあり、世界で勝てる会社をつくることに挑戦したかったから」と、COMPASSのインタビューで述べている。

今回の資金調達は、CFO着任後の萩野氏が牽引したラウンドだろう。将来の数兆円企業を目指すために、SaaSへの投資実績と知見が豊富な投資家を選んだと推測する。

同社はANDPADと併用できるサービス案内・システム連携を行う「ANDPADアライアンス」構想を掲げており、施工管理以外の領域でも事業を展開することで、アンドパッドが狙う20兆円の建築市場において更なる顧客獲得を狙う。

レイター大型調達3社の共通点。資本政策によって、最適な投資家を変える

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