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2021/05/11

ファンズが20億円調達。ソーシャルレンディングから狙う巨大市場

今週のトップニュースはソーシャルレンディングのファンズによる20億円調達だ。上場企業の資金調達の選択肢としての定着を狙うファンズが今後ターゲットとする76兆円市場について解説する。

他にもみやこキャピタルが142億円のファンド組成を完了したニュースや米国の注目スタートアップ、Geniesについて紹介する。

GLOBAL EYEコラムでは、海外主要VCアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)の特徴と注力分野について解説する。

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INITIAL編集部が選ぶ、先週の注目ニュースは以下の通りだ。

ソーシャルレンディングのファンズ、76兆円の社債市場に挑む

ネット経由で個人から集めた資金を企業に貸し付けるソーシャルレンディングサービスを手掛けるファンズは総額約20億円を調達し、累計調達額は約32億円となった。既存投資家6社が引き続き投資していることから、成長期待の高さが伺える。

ファンズは社債や銀行融資と並ぶ資金調達手段の1つとして選ばれるようソーシャルレンディングのサービスを進化させ、76兆円の社債市場に挑む。

ファンズが展開するソーシャルレンディングはクラウドファンディングの一種で、「資金を借りたい企業」と「資金を貸したい、投資したい人」を仲介するサービスだ。

ソーシャルレンディングは年間5%前後の安定した利回りが得られる投資手段として急速に盛り上がった反面、2018年には当時最大手のmaneoマーケットが、その他にも5社が行政処分を受けている。さらに2021年に入ってもSBIソーシャルレンディングが運用するファンドで債権の一部または全部が回収不能になり、最大約150億円の損失が発生すると発表するなど、相次いで問題が生じている。

一般的にソーシャルレンディングの貸付先は不動産会社や個人、あるいは銀行融資が難しい企業であるため、利回りは銀行を大きく上回る一方で高い投資リスクを抱える傾向がある。ファンズはこうしたリスクを抑えることで実績を伸ばしてきた。

1番の特徴はファンズの貸付先。85%は上場企業であり、不動産業だけでなく、小売業、サービス業と業種は多岐にわたる。最近ではアドテクのフリークアウト・ホールディングスやメルカリなどIT企業もファンズを通じて資金調達をした。ファンズは上場企業の場合でも独自の審査基準を満たさない場合は貸付しない方針を掲げるなどリスク管理を徹底しており、2021年3月末までに募集した29社、73本の貸付ファンドでは分配遅延・貸し倒れは1件も発生していない。

ファンズの貸付ではリスクが抑えられるというメリットがある一方で、平均利回りはが1~3%と一般的なソーシャルレンディングの水準(5%)よりも低い。

それでもファンズが立ち上げるファンドのうち、約8割が3時間以内で満額になるなど、一部の個人投資家からは圧倒的な人気を集めている。

複数の金融商品に投資している30-40代が分散投資を目的として投資しており、3割が900万円を超える資産を保有する。一人あたり平均累計投資額は104万円となっている。

ソーシャルレンディングから上場企業の資金調達の選択肢へ

ファンズで資金調達をする上場企業のメリットは何か。

先に挙げたようにファンズで資金調達する企業の85%は上場企業だ。銀行融資や公募増資、社債での資金調達も可能だろう。

銀行融資では予め資金使途が制限されるが、ファンズは柔軟性が高い。格付け取得や社債管理者、目論見書作成などの情報開示など、各種手続きが必要な社債と比べても、着金まで最短約3週間のファンズはスピーディーに資金調達が可能というメリットがある( ※初回募集は着金まで約2ヶ月)。

さらに、企業にとっては資金だけでなく、個人投資家による認知を獲得できる点も魅力となっている。企業はファンズを通じて個人投資家と接点を持ち、自社のファンや将来の株主づくりにつながることを期待している。

ファンづくりの一環として、一定額を投資した投資家を対象に優待特典を付与する企業もある。中華料理チェーン「大阪王将」を展開するイートアンドは店舗での割引券、メルカリは最大9,000円分のメルペイポイントを付与した。

ファンズは従来の資金調達手法と比較したメリットを生かし、個人向け社債の代替として76兆円の社債市場に挑む(2021年2月時点/日本証券業協会公開の普通社債現存額)。今後、ファンズのプラットフォームで優れた上場企業が相次いで資金調達すれば、それに伴い知名度が上がって貸付する個人投資家数も増加するであろう。

みやこキャピタル、当初の目標を大きく上回る総額142億円で2号ファンドの組成完了

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