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2019/08/26

創業から11ヶ月でEXIT。CAMPFIREの一員となった起業家が語る、事業譲渡のリアル

  • #起業ストーリー
  • #HRTech

スタートアップ最前線

スタートアップを語る上で見逃せないEXIT戦略。2018年はメルカリ、2019年はSansanのユニコーン企業の上場が話題になったことから、新規上場(IPO)を目指すスタートアップ経営者も多いのではないか。

しかし、上場までの年数の中央値は12.2年(出所:entrepedia”Japan Startup Finance2018”)と容易ではない。そこでEXITのもう1つの選択肢としてあげられるのが、事業売却などのM&Aだ。IPOと比較して短期間でEXITができる傾向にあり、売却先に創業者が残って事業成長を狙うケースもある。

仲間集めのプラットフォームを運営するTOMOSHIBI(トモシビ)は、会社設立からわずか11ヵ月、異例のスピードでEXITしたスタートアップだ。

シード調達も考えていた同社は、なぜCAMPFIREへ事業譲渡を決めたのか。

事業譲渡のリアルに迫る。

CONTENTS

スタートアップの事業譲渡などによるEXITの状況

スタートアップのEXITは、日本では市場での株式公開(IPO)と買収・子会社化・主要株式取得・事業譲渡(広義のM&A)に大別される。

直近5年間(2014-2018年)件数ベースでは、IPOよりM&Aの方がやや多く、IPO4に対し、M&A6の割合である。(出所: entrepedia”Japan Startup Finance2018”

対して、米国はIPOとM&Aが1対9の割合である。上場要件の違いも大きいが、日本はIPOでのEXITが多い。

国内スタートアップのIPO以外のEXIT状況を見てみよう。

件数ベースでは、被買収・子会社化・主要株式取得によるEXITが9割以上を占め、事業譲渡は少ない。2018年では、株式会社BasecampがSNSを活用したソーシャル募集サービス「bosyu」を株式会社キャスターに譲渡した例があげられる。

exit 1

(出所: entrepedia”Japan Startup Finance2018"

EXITするまでの年数(中央値)は、下記の図から設立後4-6年前後であることが多い。2018年の被買収で買収金額が大きいと推定される企業群(EMTG、LCL、トラストバンク、コインチェックなど)では、EXITまでに6年以上かかっているケースもある。事業を生み出し、軌道に乗せるまでに一定程度の期間を要することを鑑みれば、違和感はないだろう。

exit 2

(出所: entrepedia”Japan Startup Finance2018"

2019年4月、ある事業譲渡のニュースが舞い込んだ。

「仲間集めプラットフォームを運営するTOMOSHIBIが、クラウドファンディングのCAMPFIREに事業譲渡を決定」。設立わずか一年以内での事業譲渡は、EXITまでにかかる平均年数が4-6年であることを鑑みると異例のスピードだ。

2019年5月にシリーズCで22億円の調達を発表したCAMPFIREにとっては、事業譲受は初めてのケースではない。すでに地域特化型クラウドファンディングFAAVO、コミュニティウォレットGojoなどスタートアップから事業譲受をしており、自社サービスの強化につとめている。

CAMPFIREの例に見られるように、レイターステージにある未上場企業が、シード期スタートアップの事業を買収するケースが今後増えるのではないか。

今回、事業譲渡側のTOMOSHIBI 田中氏にインタビュー。シード資金調達も考えていたが、なぜCAMPFIREへ事業譲渡を決めたのか。譲渡後の変化や今後の展望を伺った。

仲間集めサービスをCAMPFIREに事業譲渡した最大の理由

TOMOSHIBIは、仲間集めのプロジェクトチーミングプラットフォームです。フリーランス・会社員・起業家の立場に関係なく、何かやりたいことがある人がプロジェクトをつくって仲間を集めることができます。(サービスについて詳しい記事はこちら

tomoshibi service 190823

(画像:TOMOSHIBI提供)

2018年8月にβ版リリース後、創業2期目を控えてシード資金調達の準備をしていました。当時は事業譲渡を考えておらず、早くても2年後くらいの時系列で考えていたんですね。

投資家もほぼ決まっていたのですが、出資のお願いをしにいったCAMPFIRE代表の家入さんとの面談時に「一緒にやらないか」とお声がけ頂いたことが事業譲渡のきっかけです。

プロジェクトを進めるには、お金・仲間集めの仕組み両方が必要です。

TOMOSHIBIを運営する中で、プロジェクトオーナーから「手伝ってくれる人が集まってくるのは嬉しいが、十分なお金を払えないことが苦しい」といった声を多く貰いました。

TOMOSHIBIのユーザーは仲間集めで資金が足りない悩みが、資金を集めるプラットフォームのCAMPFIREは人がほしいという悩みがあり、相互の悩みを補完できる関係にあることに気づきました。

tomoshibi profile

田中 駆 (たなか・かける)/ 株式会社TOMOSHIBI創業者・代表取締役。新卒で株式会社ベネフィットワンに入社し、営業・経営企画・事業企画・DX推進担当を歴任。フリーのフォトグラファーとしても活動。2018年5月に株式会社TOMOSHIBI創業後、2019年4月に株式会社CAMPFIREに事業譲渡。(写真:ami)

TOMOSHIBIをつくったきっかけにも、クラウドファンディングが関わっているんです。友人がクラウドファンディングを募集していた時に、貧乏すぎて3,000円払えなかったことがあったんですよ。毎日パンの耳を食べていたくらい(笑)。

お金は出せないけど、何か自分ができることをしたいと思って、カメラマンとして友人のプロジェクトに参加しました。資金はなくてもスキルは提供できる。クラウドファンディングを補完する意味で、仲間を集める”ヒト版クラウドファンディング”をつくったとも言えます。

CAMPFIREと一緒になることでサービスをより良いものにしていき、多くのユーザーに届けられる。それがユーザーにとっても一番良い方法だと思い、事業譲渡を決断しました。

CAMPFIREとはイベントを共催していたこともあり、目指す世界観にも共感してくださったので、事業譲渡はスムーズに進みました。社員とも共通したビジョンを持っていたので、異議の声があがることもなかったですね。

tomoshibi x campfire

(写真:CAMPFIRE社 プレスリリースより)

事業譲渡はスタートライン。今後も起業家であり続ける

今はCAMPFIREの社員として、TOMOSHIBIの運営をしています。プロダクトオーナー・事業責任者の位置付けですね。

CEOから社員になって、働き方は変わりました。コーポレートの部分を考える必要がなくなり、プロダクトをより良いものにするために100%の時間を注ぎこめる。これ以上の幸福はないんじゃないかと思うぐらい働くのが楽しいです(笑)。

入社してからのギャップはあまりないですね。

唯一のギャップは、CAMPFIREにいる仲間たちが優秀で、「CAMPFIRE=家入さんの会社」というイメージが覆されたことです。

CTOが20代だったり、年下の20代若手が事業責任者をやっていたり。優秀な人たちが自分なりの意識とか動機を持ってプロジェクトを動かしているので、刺激を受けています。

「CAMPFIREで最初から事業をやっていたら早かったのでは」と聞かれることもありますが、後悔はありません。自分たちで全責任をもってTOMOSHIBIを一年弱やってきたからこそ見えてくる世界がありますし、経験が糧になって今のプロダクトにつながっていると感じます。

事業譲渡は終わりではなく、スタートラインです。

CEOであることにこだわりはないですが、今後も起業家ではあり続けたいです。私の定義では、起業家は「課題に対して自分なりの方法でプロダクトをつくって届ける」”あり方”です。CEO=起業家ではありません。

TOMOSHIBIは6月にフルリニューアルをして、フレンドファンディングアプリ「polca」と連携し、資金集めを行えるようになりました。今後もプロジェクトオーナーをサポートする機能が増えていく予定です。

今後CAMPFIREのもとで誰でもやりたいことを発信して、人・お金・場所・物資など適切なリソースが集まるという世界観をつくっていきたいです。

tomoshibi last

(聞き手:松岡遥歌、編集:藤野理沙)


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