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2019/06/11

「小さなカフェが大手と共存できる世界をつくる」カフェ文化の再興に心血を注ぐ理由

  • #飲食
  • #対談

最近、個人経営のカフェに行きましたか?

日常生活の中で、スターバックス、ドトール、コメダ珈琲といった、大手チェーン店を利用している読者も多いだろう。

大手チェーンの利用頻度の増加に伴い、その店舗数も増加している一方で、カフェ業界全体の8割を占める個人経営のカフェは、毎年その数を減らしている。

そんな中、個人店の新たなカフェ需要を掘り起こそうとしているサービスがある。定額制カフェサービス「CAFE PASS(以下、カフェパス)」だ。

チェーンとは異なる価値を提供する個人店を通して、カフェ文化の再興を目指すサービスを作った理由や、目指す世界についてCEO 二方さんに話してもらった。

今回は、カフェパスでデザインを担当する田中さんと、資金調達の際に利用されたファンディーノを提供する日本クラウドキャピタルCOO 大浦さんにも、社内と社外から見たときのカフェパスへの期待とこれからの見通しを聞いた。

CONTENTS

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個人経営のカフェに特化した、カフェのサブスクサービス

カフェパスはどのようなサービスですか?

カフェパス 二方さん(以下、二方) カフェパスは、小さなカフェに特化したサブスクリプションサービスです。月額定額制で、国内で100店舗以上ある加盟店のドリンクを規定杯数まで飲むことができます。

現在は、4,860円で30杯のプランと、900円で3杯の2つプランがあり、プランごとに加盟店で使えるドリンクチケットが、杯数分付与される仕組みです。

スマホの注文画面を見せるだけでコーヒーなどを受け取ることができるので、キャッシュレスで手軽に飲むことができます。

なぜカフェパスを作ったのですか。

二方 昔ながら続くカフェ文化の衰退を身近に感じたことがきっかけです。

私は大学を卒業するまでカフェや喫茶店の文化が盛んな愛知県にいました。

愛知県では毎朝のようにカフェや喫茶店へ行き、モーニングを楽しむ文化があります。400円でコーヒーとトーストとサラダが付くので、多くの喫茶店が満席になります。

しかし、愛知県に帰省するたびに、今まで行っていた喫茶店がなくなったり、「店舗存続のために営業時間を延ばしていたら体を壊してしまった」というマスターの声を聞くことが増えてきたんです。

大手チェーンに比べて個人店が弱い部分はどこですか。

二方 ユーザーからすると、個人カフェは店舗毎に価格帯や雰囲気が大きく違っていて情報が分かりづらいことと1杯あたりの単価がハードルになってしまいます。

ネットで検索しても、大手チェーンなら電源やWi-Fiなどの情報まで出てきますが、個人店だとそういった情報が出ていません。

「1杯1,000円だったらどうしよう」「コーヒーの知識がないけど行っても大丈夫かな」「外から中が見えにくい」といった情報不足による不安もあります。

その点、カフェパスは事前課金制なので、どのお店でメニューをオーダーしても課金した金額以上に代金を支払うことはないという安心感を感じていただけます。

また、メニューだけでなく、お店の外観や内観を写真で見たり、電源やWi-Fiの有無も載せているので、「情報がないので行きにくい」というハードルも下げられると思います。

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(写真:公式サイト)

どのようにサービスを作られたのですか。

二方 まずは個人店の課題を明確化するところから始めました。単純に1杯あたりの価格で大手チェーンと比較してしまうと、400~500円でコーヒーを提供している個人店は勝てません。

その差をなくす方法を調べていたときに、アメリカのCUPS(カップス)というアプリを知りました。

月額定額制でニューヨーク内の個人カフェのドリンクが飲み放題というサービスでした。この仕組みを元に、オーナーにヒヤリングをしながらカフェパスの基盤をつくりました。

さらに個人店の課題としてリピート顧客をつくる方法に、頭を悩ませているお店が多いことが分かりました。

その点、複数回分をまとめて事前課金制にし、課金したからには何回もリピートしてもらいやすくなるサブスクリプションモデルは、相性がいいことにも気づきました。

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(写真:Art_Photo/Shutterstock)

サービスアイデアを思いついてから、どのような流れで進めましたか。

二方 アイデアを思いついた月から会社で働きつつも友人を巻き込んで開発を始め、半年後に起業してまずはカフェの情報検索サイトをリリースしました。

検索サイトの運営をしつつ喫茶店にヒアリングを重ねて、手数料の適正値や許容できるオペレーションを探りました。

整理すると2017年7月に検索サイトをオープン、2018年3月にサブスクリプションモデルのβ版でクラウドファンディングを実施してユーザーニーズを調査してから、2019月の4月にカフェパスをスタートし、同年11月に東海エリアでもサービスを開始しています。

創業1年目にうまく資金調達をして開発メンバーを正社員で採用できていれば、もっとスピードは出せたかなと思います(笑)。

サービスを作っていく中で難しかったことはありますか。

二方 店舗とユーザーの需要バランスをとるのに苦労してきました。

例えば、「カフェの席を予約できるようにして欲しい」と、ユーザーから要望がありましたが、実装するとお店側のオペレーション負担が増えてしまうため採用は見送りました。

他にも「事前にオーダーして、行ったらすぐに飲める機能が欲しい」といった声も、多くいただいていますが、こちらも採用を見送っています。コーヒーが冷めてしまったり、氷が溶けて薄まったりと、質の担保が難しいことが理由です。

個人店と利用者のどちらの課題を解決するサービスなのかをまず定義した上で、両者のニーズを満たすバランスを見定めて維持しなければいけないのは難しい点ですね。

共感で事業をつくる

最近調達されましたが、株式投資型クラウドファンディングを利用したのは何故ですか。

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株式投資型クラウドファンディングサービス「ファンディーノ」 日本初の株式投資型クラウドファンディングサービス。スタートアップが資金調達をする際に活用。投資を希望するスタートアップは、企業情報を掲載するだけで、往訪などをせずにファンディーノに登録している投資家から資金調達が可能。カフェパスも資金調達に利用。(出所:公式サイト)

二方 共感で資金調達をするコンセプトとカフェパスの相性がいいからです。

カフェパスは世界観を最も大事にしているサービスなので、そこに共感していただける方に応援していただきたいと思っています。クラウドファンディングも以前利用しましたが、資金調達もそのコンセプトを大事にしたかったので、今回の方法をとりました。

VCやエンジェル投資家からの調達は考えなかったのですか。

二方 最初は、エンジェル投資家さんやベンチャーキャピタルさんを回ってお話をさせていただきました。

しかし、最終的にはコーヒーやカフェが好きで、投資基準とは別にプロダクトが好きな人や世界観に共感してくれた人を巻き込んで、カゴメのようなファン株主制度をもつ会社にしたいと思ったので、今回の調達方法にしました。

ファンディーノ 大浦さん 大口の投資家からの調達に比べ、株式投資型クラウドファンディングではサービスへの共感が重要なため、資金だけでなく良質なユーザー層の獲得にも繋がりやすいです。

エンジェル投資家から最初に数千万円を集める企業も多いですが、1人の投資家が10%の株式を持っていたりすると、その人の意見を聞かざるを得なくなったりします。

その点株式投資型クラウドファンディングでは、1人当たりの株式保有比率が低いため、そういった点は少ないかと思います(笑)。

今後カフェパスのビジネスモデルを大きく展開するには、数億、数十億円単位の調達が必要になると思います。良質なユーザーを獲得できるクラウドファンディング方式の特徴を生かして、検証PDCAを回していけば、勝ちパターンを見つけられると期待しています。

店舗数やユーザー数の伸びと、ARPU(ユーザー1人あたりの平均売上金額)を積み上げられるかが、非連続な成長をするためには重要になると思います。

その部分に対してPDCAを回して、利益を稼げるビジネスモデルを見つけて欲しいです。勝ちパターンが分かった時に、資金調達ができれば必ずうまくいくと思っています。

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日本クラウドキャピタルCOO 大浦さん(写真:ami)

株主が急激に増えましたが、心理的に負担にはなりませんでしたか。

二方 負担にはならなかったですね。

ファンディーノを通して興味を持っていただいた投資家の方から、メッセージがたくさん来ましたが苦は感じませんでした。

投資家の方はもちろんサービスの成長性も見ていて、的確に弱点と提案もいただけたので、サービス設計を見直す良いきっかけになりました。投資家とのコミュニケーションを、プラスに捉えている人には向いているんじゃないでしょうか。

プロダクトや新しい機能を作る上でも多くのフィードバックをもらえるので、作ってから大コケする前に改善できるのはエクイティ要素を持ったファイナンスならではのメリットだと思います。

社員の田中さんにお越しいただきました。どのタイミングで田中さんは入社したのですか。

カフェパス 田中さん(以下、田中) 最初は業務委託としてジョインし、2019年4月から正社員になりました。

カフェパス全体のデザインやUI設計を中心に担当しています。

なぜジョインしようと思ったのですか。

田中 カフェパスの世界観に共感して大きくしたいと思ったのと、二方のもっとも近いフォロワーになりたかったからです。

サービスの世界観と二方のボーダレスな人柄に惚れています。フルタイムで入れば、改善やグロースのスピードを早めることができ、加速的にサービスを成長させることができるビジョンが僕なりに見えたことも入社の決め手になりました。

また、いろいろなカフェを横断的に繋ぐ定額制のサービスがまだ日本にはなかったので、自由に0から事業をつくれる楽しさがあり、ワクワクしたのもあります。

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カフェパス 田中さん(写真:ami)

自宅でもユーザーとカフェのつながりをつくる

カフェパスをどのように大きくしたいですか。

二方 今は定額制でリアル店舗とユーザーの接点をつくるモデルですが、自宅に加盟店の豆を届けるサービスも考えています。生活圏内にある店舗との繋がりだけでなく、遠方の店舗との繋がりであったり、自宅の外でも中でもカフェと繋がれる形をつくりたいです。

また並行してコーヒー豆に特化したAmazonのようなマーケットプレイスをつくり、オンラインからオフラインへと繋げれば、個人店とユーザーの新しい出会いからファンになるまでの流れをもっと作れると思います。

店舗とユーザーを繋ぐサービスとしてカフェ業界全体を盛り上げていきたいです。

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カフェパス 二方さん(写真:ami)

田中 僕がやっていくことは大きく3つあります。1つ目は、サービス自体を応援してくれるファンの獲得です。

新しい市場をつくるためにはコーヒー好きな人だけでなく、世界観に共感していただける様々なジャンルのファンを巻き込むことが必要です。例えばカフェとファッションを組みあわせたりと多様な層へアプローチを仕掛けていきます。

2つ目は、想い世界観をUXまで落とし込むこと。世界観は言葉だけでは中々ユーザーに伝わりません。メンバーの想いや目指している世界を正確にサービスまで落とし込んでユーザー体験を昇華させます。

3つ目は、純粋に会社を拡大させて仲間を増やしていくこと。デザインを担当するだけでなく、自ら受託案件取ってきてキャッシュを作ったりとフレキシブルにやっていきます。

二方 特にフロントに強いエンジニアがあと1人欲しいので、少しでも気になった方はぜひTwitterアカウントにご連絡ください。

文・写真:ami編集部


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