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2021/09/15

ユニコーンの卒業でどう変わる?東南アジアのスタートアップの未来

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スーパーアプリのGrabやECのBukalapakなど、東南アジアを代表するユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)が2021年以降、続々と上場を果たそうとしている。

創業から10年ほどで企業価値を大幅に引き上げてきたこうしたユニコーンたちは、東南アジアにおいてどのようなエコシステムを作り上げてきたのか。また、こうしたユニコーン達がスタートアップから”卒業”することはどのような影響を及ぼし、どのようなスタートアップが新たに成長を遂げようとしているのか。

シンガポールでスタートアップ投資などの最前線に立つ識者へのインタビューを通し、Grab後の東南アジアを占う。

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ユニコーン・デカコーンが次々上場

2021~2022年は東南アジアのスタートアップ業界にとって、1つの大きなターニングポイントになりそうだ。

他社に先駆ける形でインドネシアのEC大手、Bukalapakが2021年8月6日にインドネシア証券取引所に上場。配車サービスから始まってフードデリバリ―や決済などの機能を次々と加えてスーパーアプリ化し、8カ国で事業展開するデカコーン(企業価値100億ドル以上の未上場企業)、GrabもSPACとの合併を通じて米国上場を目指す。Grabの想定企業評価額は396億ドル(約4.3兆円)、上場時に予定している調達額は45億ドル(約5000億円)に達する。

Grabの競合として知られるインドネシアのデカコーン、Gojekは2021年、EC大手のTokopediaと経営統合し、巨大IT企業、GoToGroupが誕生した。このGoToGroupも2021年以降、米国とインドネシアで上場を計画しているという。その他にも、インドネシアのオンライン旅行代理店Travelokaやベトナムのソフトウエア開発のVNGなどが足元で上場を計画していると伝えられており、東南アジアを牽引していたユニコーンの上場ラッシュとなりそうだ。

こうしたユニコーン達がこれまでにもたらした効果や上場の影響について、シンガポールで東南アジアのスタートアップへの投資や日本企業とのシナジー創出に関わってきたKK Fundのジェネラルパートナー斉藤晃一氏、ICMGシンガポール ディレクター / ICMG本社 執行役員 辻悠佑氏、Krollシンガポールのシニアバイスプレジデント、川端 隆史氏に聞いた。

Grabなどのユニコーンが成長してきた10年で東南アジアのスタートアップ事情はどのように変化してきたのでしょうか。

KK Fund ジェネラルパートナー斉藤晃一氏(以下、斉藤) ここ1~2年で特に東南アジアのスタートアップに対する投資額は大きく増えています。2020年はCOVID-19の感染が拡大する中でも、2019年と同レベルとなる82億ドル(約9000億円)が流入しました。2021年の上半期は既に44億ドル(約4900億円)に達しています。

これまで伸びてきたGrabやGojek、シンガポールのSeaなどは、もともとライドシェアリングやゲーム事業を手掛けていて、その巨大なユーザー基盤を利用し、EC、マーケットプレイス、決済やレンディングに参入を果たしています。データを活用した現代版の高度なコングロマリッド化が進んでいる、という印象です。

GrabやGojekは多国展開に成功していますが、その過程ではかなり地道にローカル化を進めてきました。例えば、Grabはベトナムに進出する際にタクシーの運転手が集まるガソリンスタンドに張り付いて営業したといいます。Eコマースやライドシェアなどはオンラインで完結するSNSと違い、地場のプレイヤーと組まざるをえません。グローバルプレイヤーが進出しにくく、多国展開が難しいからこそ成功すれば高く評価されます。

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