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2021/04/20

東南アジア発・Grabが示す、SPAC上場の変化とは

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今週のトップニュースはシンガポール発Grabの米国SPAC上場発表だ。同社は東南アジア最大の未上場スタートアップで、ソフトバンクをはじめ、東京センチュリー、トヨタ、三菱UFJなど複数の日本企業も出資する。今回はGrab米国SPAC上場の背景と今後の東南アジアスタートアップの動向を見通す。

他にも暗号資産取引所運営のCoinbase大型上場や、国内注目SaaSスタートアップのMagic Momentについても紹介する。

コラムでは、国内自動運転関連スタートアップの動向を取り上げる。

CONTENTS

INITIAL編集部が選ぶ、先週の注目ニュースは以下の通りだ。

東南アジア企業のデカコーン・Grab、過去最大規模のSPAC上場へ

4月13日、Grab Holdings (以下、Grab)が、SPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて、米国NASDAQ市場に上場することを発表した。Grabは東南アジア最大のデカコーン(企業評価額100億ドル以上)企業で、ソフトバンクをはじめ、東京センチュリー、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループなど数多くの日本企業が出資している。

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出所:Grab Holdings Inc. ホームページ

注目ポイント:競合・Gojekへの対抗と、SPAC投資家のコミット

Grabはすでに上場しているSPAC(特別買収目的会社)との合併で、通常のIPO審査業務を経ずに上場を行う予定だ。想定企業評価額は約396億ドル(約4.3兆円、1ドル=108円、以下同様)と、SPAC上場では過去最大規模となる。上場により、Grabは約45億ドル(約4860億円)の資金調達を行う予定だ。

GrabによるSPAC上場のポイントは2点ある。「競合・Gojek(ゴジェック)への対抗」「投資家コミット」だ。

Grabはシンガポールを拠点に、東南アジアで配車、フードデリバリーなど生活に関連する総合的なサービスをスーパーアプリとして1つのアプリ上でサービスを提供する。

今回のGrab上場は、同じく東南アジアでスーパーアプリを展開する、インドネシア拠点の競合・Gojekを意識したものと考えられる。2社はともにデカコーン企業で東南アジアでシェアを争っているが、GojekはインドネシアのEC最大手・Tokopedia(トコペディア)との合併協議に入るなど、Grabがまだ強みでないEC領域にまで拡大しようとしている。

もともと事業領域も重なることから、投資家の意向でGrabとGojekの合併も検討されていた2社だが、Grabは単独での成長を選択しGojekに対抗する形で上場を急ぎ、短期的に資金を獲得できるSPAC上場を選択したのだろう。

また、GrabのSPAC上場のもう一点の特徴は、投資会社からの3年間のコミットと長期投資家のサポートが見られる点だ。これまでのSPAC上場では、投資会社が合併後1年以内に売却するケースが一般的であった。

今回GrabのSPAC投資家であるAltimeterは最大で12億ドルの投資、3年間は売却しないことを発表した。Altimeterのほかにも、シンガポール政府系ファンドのテマセク(Temasek)や、ティー・ロウ・プライス(T.Rowe Price)、フィデリティ(Fidelity)などの長期投資家が私募増資を引き受けており、長期的成長を見込んだ投資家が参入している。

GrabによるSPAC上場の結果次第で、東南アジアのユニコーン企業のEXIT動向にも影響があるだろう。

これまで東南アジアのユニコーン企業は、現地株式市場の流動性が低いことから、未上場にとどまる傾向にあった。ユニコーン企業から上場した例では、Razer(ゲーミングデバイス製造販売、香港市場に上場)やSea(ゲーム開発、ニューヨーク市場に上場)など、海外市場が中心だ。

参考:デカコーンの創出、5つのキープレーヤーから読み解く

現在、Grabだけでなく、ECのBukalapak、オンライン旅行のTravelokaなど東南アジアのユニコーン企業は相次いでSPACとの合併で米国上場を探っていると報道されている。

Grabの上場は、SPAC上場を用いた東南アジアスタートアップの新たなEXIT事例となるだろう。

参考:INITIAL東南アジアスタートアップ特集

Coinbase(コインベース)、米NASDAQ上場。暗号資産市場を牽引

4月14日、暗号資産取引所を運営するCoinbase Global(以下、Coinbase)が米NASDAQに上場した。初値時価総額は、日本円で約8兆円を超える759億ドルだ。

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出所:Coinbase Global Inc. ホームページ

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