日本の基幹産業の1つ、素材産業。スタートアップに目を向けると、2019年評価額ランキング上位10社の中に素材系のTBMとSpiberの2社がユニコーンとしてランクインするなど存在感を発揮している。
しかしその裏で、素材系スタートアップで新規上場(IPO)に至った事例は未だない。上場事例が多い情報・通信業とは異なり、高いハードルが存在していることも垣間見える。
なぜ素材系スタートアップは上場事例がないのか。産業特有の難しさと、その解決策はどこにあるか。事業化に至るまでのファイナンスの特徴から紐解いていこう。
「50億円」が分水嶺となる、素材系スタートアップの資金調達
素材系スタートアップとは、大学や企業等での研究成果を事業化する研究開発型スタートアップの中でも、新素材やマテリアル、デバイスの開発を行うスタートアップを指す。
構造タンパク質素材を開発するSpiberと、紙やプラスチックの代替素材を開発するTBMを筆頭に、総調達額100億円を超えるスタートアップも登場している。新素材としての機能性だけでなく、その資金調達額の大きさにも注目が集まる。
しかし、全体で見ると多額の調達を行っているスタートアップは少なく、調達額上位2社が抜きんでているのが実態だ。
素材系スタートアップの設立後経過年数と総調達額の分布には、その特徴が顕著に表れている。
この続きを見るには
有料契約限定のコンテンツです。
無料トライアルに申し込むと、すべてのコンテンツをご覧になれます。
無料トライアルに申し込むと、すべてのコンテンツをご覧になれます。