amiライブでは、毎回、日本最大級のスタートアップデータベースentrepedia(アントレペディア)のデータを利用し、定量的なデータから見えてくるスタートアップの事実を「STARTUP CHART(スタートアップ チャート)として、解説と共にお届けします。
CONTENTS
投資家タイプ別の投資額推移
今回は投資家タイプ別の投資額推移について解説します。2018年までの10年間の投資の推移は下図のようになっています。
2018年は投資額合計が4,481億円となっている一方、2018年の調達額合計は3,880億円と差分があります。弊社のデータの定義として、調達額の他に「買収」と「株式の移動」を投資額追加しているために、差分が生じています。 事業法人は事業法人による直接投資を指すため、CVCは含まれません。CVCはVCに含まれます。
日本は過去より事業法人による直接投資の割合が大きかったことも見てとれますが、2018年では事業法人の直接投資が1,963億円、VC(ベンチャーキャピタル)による投資が1,615億円でした。この2タイプの投資家が日本のスタートアップを支えているという構造が1つのポイントです。
もう1つのポイントは、2016年から2017年に拡大するときに、事業法人の割合が大きくなっていることです。 これは投資サイドには、「買収」が入っていることも影響しています。しかし、それをいれても2016年までは事業法人の直接投資よりVCの金額の割合のほうが大きかった。
M&AによるExitは金額が判明するケースが非常に少ないのですが、判明しているケースだけみると買収金額が、10億円未満であることがほとんどです。
シリーズAぐらいの早くに買収してしまうんですね。
2017年は、KDDIがソラコムを推定200億円で買収しており、その金額が大きかった。また、トヨタ自動車がPreferred Networksに超大型投資をしていることも影響しているでしょう。
事業法人の大型投資化は良い側面もありますが、バリュエーションなどに負の影響を与えているのではないかという懸念もあります。
しかし、スタートアップが成長し、新しいイノベーションの創出が目指すべきところかと思います。
そのためには、まず事例が多く世に出て、スタートアップも投資家をはじめとして全体のリテラシーが向上することが近道の1つではないでしょうか。