世界から起業家が集まるスタートアップの聖地、シリコンバレー。
EXITに成功したシリコンバレーの起業家は、売却資金を元に新たな起業や、エンジェル投資家としてのキャリアに挑戦するケースも多く、いわば「イノベーションと優秀な人材の連鎖」が起こっている。
そのイノベーションと人材を自社事業に取り入れようと、世界の企業や起業家が進出を狙うが、日本企業のシリコンバレー進出を支援するジェトロ・サンフランシンスコ事務所次長の樽谷範哉氏は、「自国で培ったネームバリューは基本的に通用せず、ゼロから関係性を構築することは容易ではない」と、進出の難しさを説く。
今、日本企業がシリコンバレー現地で関係を築くためには何が求められるのかーー。
樽谷氏に、日本企業のシリコンバレーにおける立ち位置と、日本のスタートアップが学ぶべき米国スタートアップの考え方について話を聞いた。
シリコンバレーにおけるCVC投資額は日本が世界1位
日系企業によるシリコンバレーへの投資はどの程度行われているのでしょうか。
樽谷 範哉氏(以下、樽谷) ベイエリアにおけるCVCの投資額・投資数のデータを国ごとに見てみると、日本は2015年から2019年の5年間の累計で、281億ドル、288件の投資を行っており、件数、金額ともに第一位です。
世界各国のCVCと比較しても、日系CVCはシリコンバレーで多くの投資を行っています。2位の中国も同程度出資していますが、それ以下の国は大きく引き離しています。
投資以外の目的でも、シリコンバレーに進出する日本企業は増えているそうですね。
樽谷 日系企業がシリコンバレー現地で行っている活動は、「Corporate Innovation Antenna」「Corporate Innovation Lab」「R&D Center」「CVC」の4つに分けられます。
Corporate Innovation Antennaは主にシリコンバレーの情報収集、Corporate Innovation Labは新たなアイデアの実証実験を行い、協業可能性を検討する拠点です。R&D Centerは、特定分野の研究開発を行い、CVCは、現地スタートアップへの投資活動を行います。
無料トライアルに申し込むと、すべてのコンテンツをご覧になれます。