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ホームオリジナル記事レガシー領域×サブスク。成功の鍵は「メッセージング」と「バランス感覚」
2019-04-25

レガシー領域×サブスク。成功の鍵は「メッセージング」と「バランス感覚」

#対談#LegalTech#SaaS

音楽、飲食、乗り物など、あらゆる領域において、月額課金の「サブスクリプション(サブスク)モデル」への転換が進んでいる。

その一方で、まだまだノウハウが共有されていないことも多い。

サブスクモデルに挑戦する2人の起業家に、導入する上で外せない「ツボ」について語ってもらった。

CONTENTS

今回は、先輩起業家対談というところで、hubbleの酒井さんとおかんの沢木さんに来ていただいております。

おかん 沢木さん(以下、沢木) よろしくお願いします。

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hubble 酒井さん(以下、酒井) よろしくお願いします。

僕らは、契約書などの法務に関するドキュメントの「作成、編集、締結」までのすべての過程を一元管理できるようなプラットフォームをSaaSで提供しております。

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沢木 ドキュメントの管理はめちゃくちゃ大変ですよね。

去年、資金調達の実務を私もやっていましたが、バージョン管理が凄く大変で、デスクトップの中に同じような名前のドキュメントが大量に並んで、混乱したことがありました。

なので、このサービスがあったらいいなと思います。

酒井 ありがとうございます。

沢木さんがおっしゃったように、とりあえずデスクトップにファイルを保存しようと思っていたら、デスクトップがファイルだらけになってしまったり、最新版のファイルがどれか分からなくて、昔のバージョンで作業を進めてしまうことがあったり、このあたりの部分を法務の方に説明すると、「あるあるだよね」と共感をいただくことが多いですね。

おかんさんはフード、われわれはリーガルという全く違う領域のサービスですが、サブスクリプションという課金スタイルと、レガシーな領域で新しいことをやるというところで、何か通じるものがあるのではないかと思っているので、その辺りの苦労などを今日は聞きしたいと思っています。

レガシー領域こそ「PR」が重要

とくに、リーガルの領域はまだまだ本当に非効率なことをやっていて、そこに対して問題意識を持てていない人たちもまだいます。

その人たちにサービスの価値をいかに気付いてもらうかという、いわゆる啓発活動が大事になってくると実感していて。

もしそういったご経験があったり、こういうトライをしたらすごく効果があった、業界が変わっていくのを感じたというものがあれば、ぜひ聞きたいです。

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沢木 我々のサービスも、営業の方なども顧客にはなってきますが、管理部や総務部の方々がメインターゲットになります。

営業する上で難しいのが、たとえば「総務の方のKPI、あるいは、目標にオフィスおかんの取り組みがどう寄与するか?」というのはとても説明しづらかったりします。

おそらく、法務もいくらか近しい部分があって、「このサービスを取り組んだときに彼らの評価にどうつながるのか?」や「どうKPIに影響があるのか?」という説明がすごく難しいのではないかと思います。

営業サイドのプロダクトだと、これを導入すればリードがこれだけ獲れますとか、これだけ受注率が上がりますという説明が効きますが、管理部や総務部の方々に対してはすごく難しいです。

われわれのお客さまの場合、「総務が直接動く場合」「経営側からの指示で動く場合」「実際の働いている皆さん側からの突き上げで動く場合」の3パターンあるんですね。

たぶん、御社のサービスも、法務の方が直接動く場合と、経営側がより効率を上げるためにこれ使おうよと動く場合と、営業サイドが課題感を感じて動く場合があると思っていて、この3つの中でどこかだけ狙ってピンポイントにマーケティングするのは難しいなと思っています。

そこで僕たちは、「マスに認知してもらえれば、課題を感じている人が自発的に動いてくれるだろう」ということで、創業初期からPR専任担当をちゃんと置いてPR活動を一生懸命やっていました。

PR活動をやっていく中で、使いたいと言ってくださる従業員の方が出てきて、実際に導入されることがありました。

なので、啓発も含めて、やっぱりPRは重要だなと思っていますし、PRの役割を代表や役員がやるとだいたい進まないので、専任担当を絶対置いたほうがいいと思っていますね。

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酒井 ちなみに、チームが何名の時にPR専門の方を初めて雇いましたか?

沢木 厳密に言うと、最初は外部の企業にいるメンバーに副業というかたちでジョインをしてもらったので、創業して正社員が入る前の2人目のメンバーがPR担当でした。

営業より前にPR担当が入っていますね。

待ちの姿勢に取材は来ない

酒井 そうなんですね。ちなみに、PRをして問い合わせがあった場合、問い合わせは企業のマネージメント側の人と従業員のどちらからが多かったですか?

沢木 基本的には、総務の担当の人か経営者の方が多いです。

エンドユーザーである従業員の方が直接ということはなく、社内でこういうサービスを使いたいという話が挙がってから問合せいただけるので、契約や商談には必ずつながっていました。

酒井 勉強になります。

沢木 PRはプッシュすれば絶対広がっていきます。逆に待ちの姿勢では、取材なんて基本的に来ないです。

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一方で自社のプロダクトの機能だけをどんどんプレスリリースしても、メディアの方にとってはそれが知りたい情報ではないので、取材は増えません。

なので、当社のPR担当は社会的時流に合わせて、「今、こんなことが起きています」という大きなテーマを掲げ、それに繋がるプロダクトをキュレーションしていました。

その上で、「こういうプロダクトが今増えているので、社会でこういうムーブメントが起きています。そのムーブメントに我々のプロダクトは取り組んでいます」というパッケージした状態でメディアに持っていくんですよ。

そうすると、そのままこれを企画としてやりましょうとやっていただけることがありました。

なので、機能的なプレスリリースをうつというよりは、社会的時流に合わせた企画を考えてメディアに持ち込んでいました。

これを役員がやるのは時間もかかるし、泥臭さも必要なので無理だということになり、専任を置く意思決定をしたという経緯です。

「PR専任を雇う」は重要な意思決定

酒井 僕らも機能をアピールするよりも、「どういうものをつくって、どういう世界を実現したいか」を届けるためにPRを使いたいなと思っています。

たとえば、1つの場所に情報を一元化していくと、次に入ってくる人や引継ぎも楽になったりして、自分がやってきた業務がそのまま次の人のためになる世界をつくりたい、ということをアピールしていきたいんですね。

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ただPRってどこにフォーカスするかで全然違うように伝わるので、そこが難しいと思います。

そういう点でも、専任の担当者を雇うというのは1つ重要な経営者側の意思決定かもしれないですね。

沢木 そうですね。すぐお金に繋がらなさそうとか、KPIとして見えづらいという印象もあり後回しになりがちですが、取り組んだ企業さんは必ず成果が出ているので、ぜひやるべきだなと思います。

PRするとしても、実際に触れることができるプロダクトに比べて、SaaS系はそれができないのですごくPRの絵を描くのが難しいんですよ。

おそらく、お客さんの事例やシーンを見せていくことで、実現したい世界観を絵として映せるのかなと思います。

なので、専任担当者が事例作りや企画から、メディアへのアプローチまでをやり、そのアクションやKPIをマネージメントサイドが追っていければ成果に繋がるんじゃないかと思います。

酒井 すごく具体的なアドバイスをありがとうございます。

もう1つ、お聞きしたいのが組織づくりのことです。今おかんさんは何名ぐらい社員の方がいらっしゃいますか?

「起業家」から「経営者」になる瞬間

沢木 60人います。

酒井 人数が増えていくと、起業家であることから脱却しなきゃいけない時期があると伺ったのですが、その考えに至った背景として、どういう苦労があったのか、それは具体的にどういうフェーズだったのかをお聞きしたいです。

沢木 僕らの場合はサプライチェーンを含む物流や、エンジニアリング、マーケティングなどいろいろな職種がありますが、チームが10数人ぐらいまでは、1職種1人で、それぞれが一生懸命やっていれば基本的に事業は伸びました。

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その時は、起業家としていかに良いビジネスモデルを考え、その実現のために必要な機能を切り出してチームに任せていくかというフェーズでした。

その後、各機能の担当が複数名になったり、そもそも必要な機能が多くなってきて、いかに組織としてパフォーマンス高くそれぞれを機能させるかを考え始めると、よく言われる30人の壁、50人の壁みたいなのを実感し始めるんですね。

たとえば、起業家自身の役割も、ビジネスモデルを考えるより、いかに組織がパフォーマンス高く意思疎通できるか、共通の認識を持てるか、共通言語を持てるかというところにシフトをしていくなと思います。

その過程で、借り物の言葉では伝わらない部分があるので、哲学的に自分なりの言葉で考えて、それを組織に丁寧に伝えていくことが必要になってきます。

そして、そういった部分は起業家の仕事ではなく、おそらく経営者の仕事なのではないかなと感じています。

やはり10数人ぐらいから経営者の役割を徐々に感じ始め、30人ぐらいで何かやらなきゃまずいなということでまず取り組み始めます。

一旦その時は、表面的な取り組みでも何とかなりますが、また50人ぐらいになった時に、表面的ではなく根本的にやらなきゃダメだと感じ、必死にまさに今取り組んでいますね。

ティール型組織への変更

酒井 30名の壁を感じたとき、会社として何か施策を打ちましたか?

沢木 1つ分かりやすい例として、組織形態を変えました。 それまでマネージャーがいて、メンバーがいてというピラミッド型の組織形態を取っていたんですね。

そのため、トップダウンで話が下に伝わっていきますが、30人の時点で話がきちんと伝わりきらなかったり、認識のずれで同じことを違う部門が同時に取り組んでしまっているといったことが出てきました。

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そこで、全員に同じ情報を共有し、全員が意思決定に関われるような体制をつくろうということで、『ティール組織』に近しいような組織体制にガラッと変えました。

トップダウンでの意思決定はしづらくなりましたが、社内の議事録も財務諸表も全部共有し、メンバーそれぞれが意思決定に関わることによって、コミット意識も高まり、自然と情報共有がなされるので、円滑なコミュニケーションが取れるようになっていきました。

一方で、今度は1人1人が意思決定しなきゃいけないので、若手メンバーをどう育成していくかとか、情報が氾濫してしまうので、いかに共通解、標準解をつくりにいくかということを、今は取り組み始めているという感じです。

酒井 けっこう勇気のいる取り組みですよね。トップダウンで決めていけない環境を敢えてつくるということですもんね。

沢木 そうですね。カルチャーが変わるので、辞めた人もいました。

もちろんその辞めてしまったメンバーたちも、アジャストして残ってくれれば一番よかったですが、いまの組織を見ると、精度もコミット感も推進力もより上がった組織になったと実感しているので、やってよかったなと思っていますね。

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酒井 プロダクトの発達とともに、どんどん人数を増やしていくフェーズになり、どういう人を採って、どういうチームをつくるか悩んだ際に、「こういう人を採る」という確固たる基準が、おかんさんにはありますか?

沢木 当社は圧倒的に「ミッションファースト」と謳っているので、ミッションステートメントのために意思決定をできるかに重きを置いています。

たとえば、自分のスキルを高めたい、自分の地位を守りたいということが最上位の価値になってしまうと、1人1人の意思決定の基準がブレブレになってしまうんですね。

権限移譲をどんどんしなければならない今の組織体制では、意思決定の基準がブレてしまうとスピードも落ちてしまうので、それを上げるためにミッションをもとにした意思決定をその人ができるかを採用段階で見ています。

酒井 それは10数名ぐらいの会社の規模のときからずっとですか?

沢木 そうですね。先ほど話した、従業員規模が30人程度のときの組織形態の変更時には、かなり強固にそれを基準にした採用をしました。

酒井 そうなんですね。

沢木 結局、カスタマーサクセスやセールスをいかに効率的にやるかといった、オペレーショナル・エクセレンス的な要素にフォーカスしていると、どうしてもオペレーションにミッションなどが埋没してしまいます。

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そうすると、意思決定がすごく消極的になったり、小さいところでの判断になってしまうと思い、何のためにやっているのかをちゃんと伝え続けて、組織として目線を上げられるようにしています。

主観的な判断ができる組織

酒井 なるほど。僕は、サブスクリプションに踏み切ったというところが、おかんさんの最初の大きな意思決定だったかなと思っていて。

サブスクリプションモデルでこれまで会社を経営してきた中で、沢木さんが感じられた重要な視点があればぜひお聞きしたいです。

沢木 基本的には、サブスクリプションのSaaSは、ユニットエコノミクスやメトリックスといった知見が溜まってきているのでやりやすくなっているなと思っています。

サブスクリプションのメリットとして先々の売上が読みやすかったり、先行投資をしやすいといったメリットがあるので、社内的に基本的には数字を見て、そのKPIに沿って客観的な意思決定をできるようにしていますね。

その上で、主観的な判断で「今、投資するのちょっと怖いからしない」といったことにならないように、必ずKPIを明確にして、常に全員がそれを見られるようにして、それを基準に判断することを徹底するようにしています。

酒井 なるほど。

ユーザーさんと継続的な関係を作っていくために、ご契約いただいた後のフォローアップがすごく重要なのかなと思っているのですが、具体的にどういう取り組みやフォローアップをしていますか。

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沢木 ビジネスモデルやプロダクトによって違ってきますが、われわれの場合、月額5万円がミニマムで1,500社という中で全てをハイタッチ(個別対応)で仕切ることは難しいんですよね。

逆を言えば、ロータッチ(集団対応)で成り立つような設計とか、そもそも、タッチなしでプロダクトだけが独り歩きをしても成り立つように設計するほうが重要だなと思っています。

サクセスのチームもあれば、リアクティブなサポートの対応もありますが、プロダクトをどれだけちゃんとつくり込んで、プロダクトだけでも価値が伝わるような状態にしていくかは、ビジネスモデルとか価格戦略によって判断するべきところじゃないかなと思いますね。

もちろんサクセスに頼って人為的に何とかすることもできますが、どこかのタイミングでスケールしなくなるんですよ。

単価を上げていくのももちろん必要なので、一部の企業さんにハイタッチというのはあると思いますが、どこをハイタッチにするかのバランス感覚は重要だと思います。

とりあえずサクセスだけやっておけばいいというものでもないかなと。

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酒井 現状、その考えはうまくハマっているという感覚がありますか?

沢木 そうですね。なので、社内には企業に対するコンサルティングを含めたハイタッチチームと、ロータッチ、あるいはテクニカルな管理画面とかの開発でサポートするようなチームに別れてそれぞれ動いていますね。

酒井 そういう体制はどの段階で作りましたか?

沢木 お客様の会社の規模や、タッチの深さに動きを変える体制を始めたのはここ数カ月ですね。 それまでは、むしろ、ハイタッチをあまりしないという意思決定をしてきました。

徐々にハイタッチをしてニーズに応えなきゃいけない層と、適切に品質高くご提供しなきゃいけない層というのを分類して、対応し始めているという感じです。

酒井 ありがとうございます。

今回、僕自身、SaaSのプロダクトは、個別のユーザーさんから聞き取ったニーズをある程度抽象化して、プロダクトに落としていくことで初めて使われるようになると感じていて、そこが難しさでもあり、面白さでもあるなと思っていて。

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その点で、一歩先を進まれているおかんさんからこういうアドバイスを聞けて、大変勉強になりました。

沢木 ありがとうございます。

最初のPRの話じゃないですけど、とにかくメッセージングをどうするかが重要だと思います。

そこは数字で見えづらいからこそ、経営層が意思決定しなきゃいけないところだと思っています。

酒井 そうですね。ありがとうございました。

沢木 ありがとうございました。

#対談#LegalTech#SaaS

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