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ホーム/オリジナル記事/リテールにもシェアリングの時代が来る。シリコンバレーで気づいた「ユーザーとの接点」の価値とは
2019-07-16

リテールにもシェアリングの時代が来る。シリコンバレーで気づいた「ユーザーとの接点」の価値とは

#起業ストーリー#シェアリングエコノミー

ITの聖地シリコンバレーで目にしたのは、意外にもオフラインでのプロモーションを手がけるECスタートアップの姿だった。

「すべての人に自由なリテールを」というミッションを掲げるSpace Engine(以下、スペースエンジン)は、世界初の店舗シェアリングサービスを提供している。物を売りたいユーザーは商品の販売スペースを提供するユーザーとマッチングすることで、自由に商品を販売できる。

シリアルアントレプレナーである同社CEO野口さんは、一社目での失敗から「徹底的に仮説を検証する」ことで現在のスペースエンジンのビジネスモデルを確立していったという。

2社目を立ち上げるまでの経緯と、今後実現したいリテールの姿とは。

CONTENTS

自分の商品を店舗に置けるプラットフォーム

スペースエンジンはどのようなサービスですか。

スペースエンジンは「すべての人に自由なリテールを」というミッションに掲げています。お金がない、与信がない、立ち上げたばかりといった理由でリテール活動に制約があるのはおかしいよねという思いで立ち上げました。

「商品を持っているブランド側のユーザー」と「その商品を売ってくださる店舗側のユーザー」の2者に対してサービスを提供していますので、それぞれの視点からサービスの流れを説明していきます。

まずは商品を売りたいブランド側ですが、店舗の方々に事前に「自分たちの店舗で商品を売れますよ」と登録していただいているので、アプリを使って店舗を探し発注をかけていくという流れになっています。

アプリを立ち上げると、トップ画面にはキャンペーンが来るようになっています。スタッフが決めたお勧めの店舗の紹介などが掲載されています。

無題のプレゼンテーション (1)

(写真:公式ページ

店舗を選ぶ際は、「ペットショップ」「家電量販店」「渋谷」といった、いろんな条件から検索することができます。

ブランド側は「自分の商品に合う店舗はどこかな?」と探しながら、「今回ここで売ってみよう」と決めます。そうすると店舗側であらかじめ登録した画面が出てきて、「この店舗はこういう特徴で、こういうお客さんがいます。設備はこういったものが貸し出せます。」という情報を知ることが出来ます。

そして「この店舗で売りたい」となったら、あらかじめ登録しておいたブランドの商品を選択し、店舗で売ってもらう商品を決定します。

スペースエンジン プロダクト紹介

(写真:公式ページ

最後に「申請する」というボタンを押せば、店舗へ販売申し込みが完了します。店舗への販売依頼は1件15秒程度で完了します。

ビジネスモデルはどういった仕組みですか。

たとえばある店舗が時計を取り扱うというマッチングが成立したとします。実際に店舗で販売してこの時計が売れたとすると、利益の内35%が店舗の販売手数料として収益になり、15%がスペースエンジンのサービス利用料としていただくため、最終的にメーカーさんには50%のお返しになります。

何もコストをかけずに、5掛けの卸で今まで取り扱いがなかった店舗に卸せるので、リーズナブルなのではないかと考えています。

今は一律でこの料金設定になっていますが、私たちの企業努力でメーカーさんにお返しできるパーセントをこれから増やしていきたいですね。

売上の5割という設定については、業界的には標準的な数値なのでしょうか。

世の中の卸というのはだいたい5掛けとか6掛けといった設定になっています。スペースエンジンの場合は人件費や設備投資が不要です。また売れた時点でお支払いが発生するので、売れるか分からないのに売り場を構えないといけない、というリスクも回避できます。

5カ月間で650店舗を超える店舗がスペースエンジンさんに参加しています。「私の店を使ってほしい」というニーズは想定内だったのでしょうか。

そうですね。消費者のニーズはすごく多様化してきていますから、売れ筋の商品だけを卸すというよりも様々な商品を店頭に入れることで、店舗としてアクティブな雰囲気を醸し出す必要もあると思います。

またスペースエンジンを利用しても店舗側には費用が一切かからないので、ある程度店舗側にニーズがあることは想定内でしたね。

店舗の方から利用料としてお金を頂くタイミングはないので、スペースエンジン上に店舗を掲載しておくだけでいろんな商品の申し込みが集まってきます。その中からいい商品を店頭に誘致して販売することができます。

ECを展開しているブランドさんは、InstagramのようなSNSをやっていてフォロワーがたくさんいらっしゃる方も多いんですね。そういうブランドさんの商品が店頭に出ると、実際の商品を自分の目で確かめたいという理由でファンの方が店舗に来店されます。

単に卸で商品を店頭認知するというよりも、店頭に来てもらって一緒に店頭を盛り上げていくという使い方ができると思っています。

シリコンバレーで見たオフラインの可能性

リテールに着目されたきっかけがあったのでしょうか。

アメリカのパロアルトに滞在しているときに、ECショップのスタートアップがオフラインに進出をしてプロモーションをしている光景を目にしました。

どういう状況なんだろう?と思い調べたところ、ネット上でブランドを立ち上げたり、ネット専業で販売をしている方々がいることが分かったんですね。

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(写真:v74 / Shutterstock.com)

そういったネット上で販売活動をしている方でも、今後はオフラインとオンラインの分け隔てなく、ユーザーさんと常に接している状態を作ることが企業の成長に必要だとわかりました。それは裏を返せば、たとえオンラインのブランドであったとしても、オフラインの施策を取らないと成長できないということです。

そうは言っても誰もが不自由なくオフラインで活動ができるかというと、それはなかなか難しい。店頭で自分の商品を販売しようとしたときに取れる方法としては次のようなものですよね。

・自社で店舗を構える

・ポップアップショップや期間限定のショップを立ち上げる

・既存の店舗に商品を卸す

ただ、このどれを実施するにしてもお金がかかるんですよ。

自社店舗をつくろうと思うと、だいたいテナント契約がついて回りますし、ポップアップショップを立ち上げるとすると費用は100万円から1,000万円ぐらいまでかかってしまいます。

卸すといってもすごく熾烈な戦いで、まずは広告を打って認知度を高めた後、営業の人を店舗に派遣する必要があります。

結局どの選択にしても人的、資金的なハードルが高いことは課題ですよね。

こだわり抜いた仮説検証

ご自身でポップアップショップを展開するほど検証を重視していますが、課題のヒアリングはどの程度やられたのですか。

会社を立ち上げたのは昨年の5月末ですが、ビジネスモデルが固まったのは10月末なんです。5カ月間はビジネスモデルをつくり、検証するというサイクルを繰り返し、今のスペースエンジンのモデルにたどり着きました。

この検証には一番時間をかけたほうがいいと思いますね。それこそ今はネットにいろんな情報があるので、ググれば課題自体は簡単に設定できてしまうんですよ。それでも実際にサービスが本当に使われるのか?と言うとそうではない。

1社目で経験したのは、頭の中で勝手に課題とソリューションをつくってサービスを出すという失敗。実はそれを必要としている人はいなかったというケースはよくあります。

そういった反省を活かし、2社目では課題の仮説検証に一番時間を使いましたね。私はお金をかけてポップアップショップもやりました。

ショップを開く前に、「こういうショップがあったら売りたいメーカーさん、ブランドさんいらっしゃいますか?」という募集を先にかけたところ、応募が沢山集まってきました。そこで、実際にテナントを借りて検証していたんです。

サービスメリット

スペースエンジンが提供するサプライヤーへのメリット(写真:公式ページ

サポートしてくださっているエンジェル投資家とか、支援をしてくださっている方々には相談させてもらっていました。しかし、基本的にはフルタイムの私1人と仲間のエンジニア達で、いろんなところでスペースエンジンのショップをやってモデルの検証をしていました。

検証の結果見つかった課題に対する解決策が、スペースエンジンというわけですね。

初期費用のコストがなく、販売や営業の人材も必要ない。長期間お店を構えたり、卸すべき商品数が決まっていたりなどの重い契約も存在しないのがスペースエンジンの特徴です。

ネットショップで簡単に商品を売るのと同じような感覚で、店頭で商品が売れることを目指したソリューションにしています。

今抱えている問題として、店舗数が多過ぎると、メーカーさん側がどの店舗に商品を販売お願いしているか分からないというものがあります。一方で店舗側にとっても、今まで売ったことがない商品のお申し込みが入るので、どういう売り方をしていいか分からないという問題もあります。

それらの問題を解決するために、スペースエンジンが「この商品とこの店舗は売上の相関が高いですよ」という風にお勧めする機能を検証しています。

実際に店舗で取得できるデータはとても多いんですよ。そもそも何のデータを取ったら有効なのかを見るために、実際にスペースエンジンでも銀座にお店を構えています。

最終的には店舗側からも「こういう商品が売れましたよ」という報告をいただきたいんですけども、それで店舗の方のオペレーションを増やすわけにはいきません。そこでデータを自動で取れる装置は何かないか考えました。

対象となるデータを取れるように、人の流れを計測するカウンターを入れたり、カメラを入れたり、スタッフがiPadを持ってお客さんのところに行ったりと、様々なツールを入れて対応しています。

スペースエンジンで実現したいのはどんな世界でしょうか。

それこそ僕がシリコンバレーに住んでいるときは家も車も持たず、1年半ぐらいAirbnb(民泊サービス)やUberを利用していました。そして日本に帰ってきたらタイムズカーシェアといったサービスも進んでいて、シェアリングが当たり前になるなと思ったんですね。

何かものを売りたいと思ったときにも、スペースエンジンをスマートフォンに入れていて、立ち上げれば好きなところで何の制約もなく自分の商品が店頭で売れる世界をつくっていきたいですね。

そして、それを面白いと思ってくださる方々と一緒にその世界をつくっていければと思っています。

20190613スペースエンジン野口さん1 (1)

文・写真:ami

#起業ストーリー#シェアリングエコノミー

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