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2019/04/25

「僕が考える最強のサービス」を避け、スケールするビジネスをつくる徹底したユーザーインタビュー

  • #対談
  • #シェアリングエコノミー

サービスを作るにあたって、「どうやってユーザーの隠れたインサイトを見つけ、それを正しい形にするのか?」と疑問を持つ方は多いのではないだろうか。

フリル創業者の堀井さんが、今まで実践してきたユーザーヒアリングの方法論や、プロダクトを作るためのポイントを徹底的に聞いた今回の対談。

そこには起業家として歩む上で、見逃せない金言の数々が詰まっていた。

CONTENTS

まず自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか。

堀井 堀井と申します。2012年に日本で一番最初のフリマアプリのフリルというサービスをつくった、Fablicという会社を創業・経営していました。

2年前に楽天に買収されて、その後2年楽天で働きましたが、また新しいサービスをつくりたいなと思い去年退任したので、今は無職の状態です。(笑)

エンジェル投資家としても活動していますが、新たに今はANGEL PORTを作ったりしています。

「僕が考える最強のサービス」をつくってしまった

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他の記事で、「自分の感性は信じず、人が本当に欲しいものをつくれ」と言われていましたが、なぜその考えに至ったのですか。

堀井 もともと学生の頃から起業したいなと思っていましたが、実際に会社を設立して起業するまでに、1社目を一緒に創業したメンバーとプライベートでサービスをいくつかつくっていました。

フリマアプリをつくる前にも、2つぐらいサービスをつくってリリースしましたが、ほとんど使われなくて、最大でも200~300人のサービスにしかなりませんでした。

そのサービス自体、完全に僕や一緒に作っていたつくり手の思い込みでつくったサービスだったので、現実の誰かの問題を解決するというよりは、自分の頭の中にある仮想のユーザーに対して「僕が考える最強のサービス」をつくってしまうという経験をしました。

自分で考えてつくった2つのサービスがほとんど使われなかった経験が、「自分の感性を信じないで作ろう」という考えに至ったきっかけとして大きかったと思います。

今もよくやりますが、情報収集の部分は一番やり方を変えました。

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まず、何か問題があってそれを解決したいときに「どういう状況で、どういうユーザーが、どういう課題を解決するために使うのか」について高い解像度で仮説をたてます。

そのあとに、その仮説が本当に合っているのかどうかを確かめるために、ユーザーにインタビューして一次情報をたくさん集めるというのは、失敗から学んで変えた部分じゃないかなと思います。

「具体的にどのようにヒアリングしたらいいかが分からない」といった声を聞きますが、具体的にはどのような方法を取り入れているのですか。

堀井 特別、難しいことはしていませんが、僕の場合はテキストで「どういう状況のユーザーのどういう問題を解決するのか」という仮説をまとめて、その仮説を持っていそうな人を探しては、その人にひたすらインタビューをしていますね。

人の見つけ方はいろいろやりますが、友達から紹介してもらったりしています。

フリマアプリをつくったときは、ブログや当時流行っていたmixiで服を売っている人をみつけてはDMを送りまくりましたね。

既存サービスより10倍効率よく解決できるか

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ユーザーインタビューで表面的なことではなく、サービスづくりに役立つインサイトまで、どのようにして掘り下げていくのですか。

堀井 僕の場合は、「これはインタビューする方が抱える課題だ」と思った部分をとくに深堀りします。

深堀りしていくと、一見私からしたら不合理だと思うことも、相手はそれを課題とは思わず、何かしらの方法で解決している点が結構みつかります。

僕はその部分が自分の仮説と合致するとうれしいですし、それが生き甲斐になっていたりしますね。

たとえば、僕がフリマアプリをつくろうと思ったのも、ブログで服を売っているという人を見たのがきっかけです。

当時も、ヤフーオークションやモバオクといった、インターネット上でものを売るプラットフォームはありました。

ただ、もうちょっとマシに販売できるプラットフォームがあるのにそれらを使わず、ブログで服を売るのは普通に考えたらすごく不合理だし、ほかの人がやらない行為じゃないですか。

ただ、ブログで売っている人は、もっとマシな手段があっても環境や状況的に使えなかったり、そもそも本人の中ではブログで服を売ることが課題を解決する一番いい方法だと思って使っていたりします。

「客観的に見るととてつもなく不合理に見えても、本人はそうとは思っていないことを、既存のサービスより10倍効率よく解決できるか」、 という視点を持つようにしていますね。

つまり、ユーザーインタビューをする前に、ご自身の頭の中に課題とそれを解決するアプローチを高い解像度でイメージし、インタビューを通しそれをよりクリアにしていくと。

堀井 そうですね。自分の持った仮説が正しいかと、自分が考えた仮説通りでターゲットが実際に不合理なことをしているかが腹落ちできた後に、その解決方法を考えるって感じですね。

ただ、課題はその人の置かれている状況によって全然変わったりするので、それを踏まえた上で意味のあるインタビューをするのは難しいところですね。

たとえば、フリマアプリでも、傷がついて農協に卸せない野菜を売っている農家の方もいれば、着なくなった服をただ売っている方もいます。

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どちらも物を売りたいという課題は一緒ですが、状況が違うのでプロダクトの解決方法も変わります。

なので僕の場合は、ものを売りたいという課題があったとして、その人がどのような状況で売りたいのかを細かく見ています。

これが課題なんじゃないかと思う問題をざっくりと考え、ユーザーヒアリングを通して、よりクリアな課題に絞っていくイメージですか。

堀井 一番深くその課題を抱えている人がどういう人かを特定していく感じじゃないですかね。

大別すると、誰しも物を売りたいとかの思いは持っていると思いますが、その中でも課題が大きい人はどういう人なのかを、まず特定します。

なのでインタビューが終わった後も、「この人は多分すぐには使ってくれないだろうな」「この人は、こういう解決策を用意すればすぐ使ってくれるだろうな」みたいな感触はよく確かめていますね。

サービスを出すときは、「この状況のこの人の、この課題に対して響く」という確認がある程度できていて、「自分が作ったプロダクトをリリースすれば、この状況の人はまだ反応しないけど、この状況の人は間違いなく反応するだろう」という解像度の高い仮説をイメージした上で、プロダクトを出しています。

「本当にこのプロダクトを待っていたよ」と言ってくれる人を、高い解像度でイメージできている状態で出したいなと思いますね。

スケールするプロダクトを作るユーザー解像度

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どんどんペインを掘り下げてターゲットを絞ると、やるべきことがクリアになる一方で、対象となるパイが小さくなりませんか?

堀井 そこはけっこう難しいポイントで、フリマアプリを作った時がたまたまそうだったのですが、スケールするポイントとして、僕の場合は無消費(*1)のユーザーがどれだけいるのかを考えていました。

(*1)無消費とは 何らかの制約によって製品やサービスが使われていない状況のことです。

たとえば、お金持ちじゃないと使えなかったり、特別なスキルを持っていないと解決できなかった問題がそのプロダクトが出ることで誰でも簡単に解決できるようになったとします。

その時に、特別なスキルとかお金を持っていなかったので問題を解決できていなかったが、そのプロダクトによって解決できるようになる層がどれだけいるを考えます。

なので、おっしゃる通りで、突き詰めると「本当にニッチな人向けのサービス」にもなり得ますが、そこからさらに、そのプロダクトがいかにスケールするかを(無消費ユーザーの多さを分析することで)きちんと見るようにはしていますね。

具体例で言うと、僕がフリマアプリを出したとき、最初は女子大生や女子高生、ギリギリ20代の女性のOLさんしか使ってくれないと思ってリリースしたんですよ。

なぜなら、それが僕が知っている一番深いペインを持っている人たちだったからです。

ただ、蓋を開けてみると、ハンドメイド商品をつくって自分で売る人や、農協に卸せない農作物を売る農家の人、あと、男性にも想定以上に使っていただけました。

とてもニッチな課題を解決するものを作ったつもりが、実際は自分で思っていた以上に「ものを簡単にアプリで売りたい」というニーズの裾野が広かったです。

なので、最初のリリースポイントはニッチでもいいですが、同時に「無消費ユーザーがどれぐらいいて、どれぐらいスケールするものなのか」を合わせて確認するようにしています。

どうやってそれを確認するのですか。

堀井 プロダクトを出す前後で、どれだけ人数の人が課題を解決できるようになるかを推定し、その後、さらにどういう人にスケールするかを段階的によく考えて、テキストに落としたりしています。

もう少し具体的にいうと、「まずはここの人の明確なペインを解決して、それがこうやって広がっていくはずだ」という動的な変化の仮説を持ってスタートするイメージです。

あとは、プロダクトのライフサイクルを意識しています。

すごく感覚的な話で申し訳ないのですが、ユーザーインタビューしているときに、「課題として持っていそうそうだけど、最後の方で使ってくれるレイトマジョリティーの人だろうな」という感覚を持つときがあります。

なので、「全く使ってくれなくはないけど、市場が普及したときに使ってくれる人だな」という仮説も、自分の中である程度集めている気がしますね。

「ANGEL PORT」を作ったときのユーザー解像度

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今、興味があったり、解決したい課題はありますか。

堀井 今、解決中なものと、考えているものがあります。

解決中なものについて言うと、「ANGEL PORT」という、エンジェル投資家と起業家向けのマッチングのサービスをつくっています。

まだスタートアップのエコシステムに入れていない、これから起業を考えているという人たちが、エンジェル投資家を探したり、スタートアップの村社会に入るためのアクセスポイントになるようなサービスです。(笑)

「ANGEL PORT」を作った時は、どのくらいユーザーインタビューや、先ほどあったプロダクトのライフサイクルの感覚が見えてきてリリースするに至りましたか。

堀井 「ANGEL PORT」を始めたきっかけは2つあって、1つは自分がエンジェル投資を始めたときに、エンジェル投資家ってどうやって始めるのかがよく分からなかったことです。

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https://angl.jp/

もう1つは、FacebookやTwitterのDMで「投資してください」みたいなメッセージが来ても、送ってくるフォーマットがみなさんバラバラで分かりにくく、そこに自分自身がペインを感じていたので、フォーマットを整理したいと思ったことです。

起業家も、誰がエンジェル投資をしているかよく分かってなかったので、「エンジェル投資家」と検索して見つかった人に片っ端からDM送るみたいなことをしていたので、もう少しマシにできるだろうなと思ったのもあります。

ユーザーインタビューは、フリマアプリのときは自分にその課題がなかったので、100人ぐらいに会って話を聞きましたね。

ただ、エンジェル投資のほうは、自分もスタートアップの起業家で、エンジェル投資家でもあったので、それこそ、エンジェル投資家には有名な人に5~6人聞いて、スタートアップも自分に投資の相談を持ってきた人に逆に質問したりしていましたね。

なので、インタビューはそんなにしておらず、合計20人ぐらいだと思います。


ecbo株式会社 代表取締役社長 工藤 慎一さん

この後は対談形式で、ぜひ先輩起業家である堀井さんに工藤さんが感じている疑問を聞いていただければと思います。

工藤 はじめまして。ecboの工藤と申します。

僕らはコインロッカー代わりにスーツケースを町中のカフェに預けられる、ecbo cloakというサービスをやっております。

![Screen Shot 2019-04-25 at 19.00.29](https://ecbo.io/)

2週間前ぐらいに、サービスを開始して2年経ちました。

「2年続けられた」という思いがある一方で、最初思い描いていたビジョンには全然近付いていないと感じています。

2年が経った今のトラクションとしては、ローンチ当時に「だいたい半年後ぐらいにこれが達成できたらいいよね」と言っていたことを、2年経ってやっと達成できた、という状態です。

ビジョンありきではなく、課題ありきでの起業

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工藤 堀井さんが起業家として、フリルをやられていた際に、サービスを開始して2年目にはどんなことを考えていたのか。また、どんなビジョンを持って、どれだけビジョンに近付けられたか、というお話をお聞きしたいと思います。

堀井 2つ目のご質問について答えると、実は創業したときも、創業2年目ぐらいのときも、「こんな世界をつくりたい」というビジョンを実はあまり定義していませんでした。

1つだけあるとすると、創業当時から「人が本当に欲しがるものをつくる」というのは一応会社のビジョンにしていて、「どういう問題解決をするべきなのか」については社内でよく話すようにしていました。

プロダクトとしては、フリマアプリの「フリル」が一番大きくて、トラクション(一定数の顧客を掴む力)も大きかったですが、僕の中ではそれだけで会社を終わらせようとは思っていなくて、機会があれば、それ以外のプロダクトもどんどんつくりたいなとは思ってはいましたね。

工藤 なるほど。いろいろな事業構想、アイデアがあって、その中でまずフリルを始めたということですね。

堀井 おっしゃる通りです。あるユーザーがブログとかで服を売っていて、そこにある課題をもっとうまく解決できるんじゃないかと思ってつくったのが創業のきっかけですからね。

ビジョンありきで会社をつくったというよりは、課題ありきで会社をつくったという方が大きかったです。

工藤 仮定の話ですが、もし、フリルを創業時からで今でも続けていて、かつ、リソースも人もお金もあった場合、フリマアプリをつくった創業者としては、どんな機能や世界観があればよりいいと思いますか?

堀井 もともとフリルは、ものを簡単に売れるプラットフォームとして事業を展開していたんですけど、フリマアプリと関係ないような、もっと大きいイシューを解決するようなものをつくりたいだろうなと思います。

強い事業はメインで1つあるので、それに付随してまた大きくなる関連事業をどうつくるかみたいなジレンマはいくつかあって。

C to Cで物の売り買いをさせるサービスって、お金を稼ぐというのが大きいポイントで、もう1つあるとすれば、売って得たお金を再利用するというポイントがあります。

ラクマも楽天グループに買収された後、稼いだお金をまた別の決済に使える機能が実装されました。

今までは稼いだお金を現金化する人が多かったんですが、現金化しないままいろいろなプラットフォームで使える世界を実現したいと思っていました。

「売る」だけじゃなくて、「売ったお金を再利用する」ところに新しい価値をつくれるんじゃないかと。

フリマアプリの次の世界とグローバルチャレンジ

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工藤 もう1つ個人的な興味なんですけど、当時、フリマアプリがまだまだ周りになかった状態で、「海外でもチャレンジしたい」という思いはなかったんですか?

堀井 僕はなかったですね。チャレンジしたい気持ちが無かったわけではないんですけど、僕がフリマアプリつくったきっかけやフリマアプリに関する洞察って、日本のドメスティックなものにかなり紐付くものでしたので。

ものを売ったあとの配送や決済だったり、国民性に根付く仕組みがあってこそフリマアプリは日本で完成されたというイメージがありました。

なので、それをそっくりそのまま海外に持っていっても、同じようにスケールするとはとても思えませんでした。

グローバルでチャレンジしたい思いはありましたが、作ったフリマアプリをそのまま海外に持っていっても、うまくいかないだろうなという気持ちはありましたね。

もし、ほかの国でチャレンジするのであれば、同じ方法じゃなくて、ゼロイチで考える必要があったんだろうなと思います。

「今日だけは俺が日本で一番悔しい起業家のはず」

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工藤 話は変わりますが、すごく印象に残った堀井さんのTwitterがありまして。

メルカリさんが去年上場を承認された日に「今日だけは俺が日本で一番悔しい起業家のはず。」って堀井さんはツイートされていましたよね。

僕がもし同じような立場であれば、やっぱり悔しさを感じると思うんですよ。

創業者としては、自分たちで考えたサービスは成長していく子どもみたいなものじゃないですか。子どもが大きくなった姿を見たいのに、それを誰かに取られてしまったという感覚なんじゃないかと。

その当時、フリルに抱いていたパッションやエネルギーというのは、フリマアプリに向けられるものではないにせよ、まだ堀井さんの中にあると思っていて。

そのエネルギーというのは、どうやって生み出しているんですか?モチベーションの源泉は何ですか?

堀井 僕のモチベーションの源泉には、2つの軸があるのかなと思っています。

僕はmixi(日記などの機能を含むSNSサイト)というサービスをたくさん使っていた世代ということもあり、「いろいろ人に影響力のあるプロダクトをつくりたい」と強く思っていました。数で言うと本当に何千万人とか、そのぐらいの人の問題を解決できるサービスをつくりたいなと。

その結果、「サービスがいろいろな人に使われて、良い影響力を与えられればいいな」という思いが、モチベーションの源泉として1つあります。

そしてもう1つ、悔しい思いをツイートしたことにも関連しますが、「起業家として成長したい」という気持ちもとても強くあるんですよ。

僕よりもっと先のステージに行った起業家の方たちを見て、自分も早くそういうふうになりたいなという気持ちですね。

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工藤 ベンチマークにされている起業家や偉人はいたりしますか?

堀井 国外でも大丈夫なら、ジャック・ドーシー(Square/Twitter CEO)ですかね。ジャック・ドーシーは、プロダクトにフォーカスした起業家としてすごく好きですね。

イーロン・マスクもいいんですけど、ジャック・ドーシーのほうが僕は好きです。

工藤 (笑)堀井さんの中で、イーロン・マスクとジャック・ドーシーはどう違うんですか。

堀井 それほど詳しいわけではないですけど、イーロン・マスクは大きい課題を解決しようとするアプローチがうまいのに対して、ジャック・ドーシーはもっとミクロの部分にフォーカスしているのかなと思います。

ジャック・ドーシーは「どういう状況の、どういうユーザーの、どういう課題を解決するか」にフォーカスしてプロダクトを発想するパターンの起業家ですよね。

僕自身が、このアプローチをすることが多いので、勝手に親近感が湧いているという感じかもしれないです。

工藤 たしかに、堀井さんはサービスをつくるにあたって、ユーザーヒアリングをとても重要視しているように感じます。

そしてそれは、「みんなが使ってくれるサービスをつくりたい」というエネルギーの源泉にも紐付いていると思います。

僕の想像ですが、いろいろな人にヒアリングをして、みんなが潜在的に欲しかったサービスを提供することで、喜びのフィードバックをもらえたという原体験があったんでしょうか?

堀井 やっぱり自分の頭の中にあるだけの課題を解決しようと思って、プロダクトを何回かつくったことがあるんですけど、そのときはほとんどユーザーが使ってくれなかったんですよ。

そうなると開発のリソースも無駄になるし、誰も必要としないものをつくったということですよね。

なので、「本当にある課題」と、「誰もが課題と認識できていなかったけど、本当は課題だったこと」を解決できるサービスを、無駄なく作れるようにしたいなと思ったのが大きな体験だったかもしれないですね。

共感できる人にアウトプットをしていきたい

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工藤 今日の堀井さんの話を聞いて、起業家とは「何か課題解決をするもの」という印象を受けましたが、それは世間が考える起業家像とは少し乖離している気がしています。

それに対して、「こうあるべきなんじゃないか」という堀井さんのメッセージがあればいただきたいです。

堀井 なるほど。(笑)それは、六本木ヒルズ的な起業家のイメージと乖離しているというイメージから来ているの?

工藤 起業家の本質は、社会課題を持続的に解決できるソリューションをどんどん生み出していける存在でいられるかどうかだと思うんです。

ただ一方で現在は、「ファイナンスをどう通すか」といったテクニック論が先行している印象もあるんです。そういう課題感が僕にはあるんですけど、それに対して堀井さんはどのように感じますか?

堀井 おっしゃることは何となく分かるんですけど、これは難しい問いですね。

起業家である以上、自分がどうなりたいとか、どういう世界をつくりたいとか、もちろん、お金持ちになりたいとか、有名になりたいとか、そういう理想を追うのは全く構わないと思います。

一方で、ファイナンスといった起業のテクニカル論が先行すると、手法ファーストになることへの懸念も重々理解はできます。

僕は、何か大きい課題を解決したり、今まで人が課題と認識できなかったような課題を解決するような起業家が増えていくといいなと思っています。

自分のやり方が100%正しいとは思いませんが、少しでも共感できる人がいるのであれば、やり方を教えてあげたり、自分はこうしているみたいなことをアウトプットしたいですね。

工藤 今日は、メンタリティに関するお話が多かったんですけど、テクニカルの話もぜひ教えていただけたらと思っています。

本日はありがとうございました!

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