マテリアルファイナンス特集記事Part2では、素材系スタートアップのKyuluxが設立5年で50億円の調達に成功した裏側に迫った。
Kyuluxは技術のブレークスルーの不確実性を踏まえ、投資家と長期のコミュニケーションを取ることで「投資家不足」の課題を乗り越えている。
この課題に別のアプローチで取り組むのが、設立13年で累計300億円を調達したSpiberと、味の素・東工大・VCが2017年に新会社として設立したつばめBHBだ。ステージは異なるが、どちらも「大企業連携」を軸に資金調達を行う戦略をとる。
2社の事例から、素材系スタートアップの「死の谷」を越えるヒントを探っていこう。
SpiberのシリーズB調達を成功に導いた、「人工クモ糸ドレス」
Spiberは、山形県鶴岡市で2007年に設立した慶應義塾大学発のスタートアップ。微生物を使った発酵プロセスによって「構造タンパク質素材」を開発・生成し、繊維化から紡糸、加工までを行う。
素材系スタートアップのビジネスモデルは、メーカーへの素材提供だけでなく、社外への技術ライセンスや最終製品の製造販売など、様々なパターンがある。
その中でSpiberは、人工クモ糸を利用した自動車シートのコンセプトモデルをトヨタ自動車と共同で発表するなど、自動車部品向けに素材供給を行う。また、2019年には構造タンパク質繊維を用いたTシャツを限定販売する等、toC向け製品の販売も手掛けている。
多様な事業展開を見せる一方、巨額のファイナンスでも注目を集めてきた。
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