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2019-06-20

「瞬間的な時価総額に意味はない」“淘汰されない”会社のあるべき姿

#対談#IoT#eコマース

起業家から経営者へ。企業のステージによって、トップに立つ人物が求められる役割も変わってくる。

100人を超える社員を抱え、BtoCとBtoB事業のどちらも行うFinatext (以下、フィナテキスト)。昨年は60億円を調達し、複数の海外拠点も構えるなど急成長を遂げている。

EY Innovative Startup 2019を受賞し、資金調達や海外展開も見据えるスマートショッピング。フィナテキストと同様にBtoC、BtoB事業に同時に取り組んでいる。

今回は前回の記事に続いて、フィナテキストの林さんに急成長する組織を作っていく上での注意点や、ぶつかった壁について、スマートショッピングの志賀さんと対談形式で語ってもらった。

CONTENTS

規模を拡大しても「熱」を保つ組織

スマートショッピング はどのようなサービスですか。

志賀 スマートショッピングは「スマートにショッピングする」というビジョンの元、BtoCとBtoBの2つのビジネスを行っています。

BtoCでは、日用品の最安値を知ることのできる価格比較サイトを一般消費者向けに提供しています。

BtoBでは、スマートマットという重さを量る体重計のようなIoTのプロダクトをつくっています。マットの上に載った物の残りが全体の20%を切るとアラートを出したり、自動的にアスクルさんやAmazonさんに発注してくれるプロダクトを提供しています。

キャプチャ

設定量まで上に載せた物がなくなると、自動的に最安価格を算出し、購入してくれるIoTマット「スマートマット」(出所:公式ページ)

志賀 フィナテキストは2年前と比べてかなり成長していますが、林さんの1日の時間の使い方は変わりましたか?

時間の使い方はそこまで決められていませんが、プロジェクトへの関わり方は変わりました。

2年前は「俺が一番のプロダクトオーナーだ」という思いがあったので、サービスのボタンの色から位置まで全て僕が見ていましたが、今はサポート役に近い割合ですね。壁打ち役になって、社内でうまく機能していないプロジェクトを率いるようになりました。

志賀 海外拠点にはよく行かれますか。

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志賀 隆之(しが たかゆき)/ 2005年、京都大学大学院情報学研究科を修了後、UBS証券会社投資銀行本部に入社。その後株式会社サイバーエージェントに移り、日米を拠点に広告事業・ソーシャルゲーム事業の立ち上げに参画。CyberAgent America, Inc.ではVice President、AMoAd International, Inc.ではPresident/CEOを歴任。2014年、株式会社スマートショッピングを設立。

行きますね。ロンドンはよく行きますし、ベトナムや台湾も定期的に行ったり、来てもらったりして、お互いに情報を正確にキャッチアップできるような体制を取っています。

やろうと思えば全てSlackやZoomを使ってできますが、僕は敢えてface to faceで会うことで、お互いの信頼関係を高めることが重要だと思っています。

志賀 対面することで「熱」を高めるんですね。

やっぱり熱を高めるには、直接会って言葉を交わすのが一番だと思っています。

志賀 30人から120人の規模になっていく中で、どんな壁に直面しましたか。

メンバーの状態を把握するのが難しいですね。ホールディングスでカンパニー制度を採用しているので、10人規模の会社と同じスタンスでやっていましたが、思った以上にメンバーについて分からなくなっています。

たとえば、「あいつとあいつが仲悪い。あいつは信用できる」といったレベルの話は、海外のメンバーに対してだと特に分かりづらいです。最初から投資銀行的に「こういうプロセスでこうやってね」とできますが、そうすると、やる側も「なんでこんなことをする必要があるんだ」と感じ、余計に間接コストが上がるので、そのバランスを取るのが難しいですね。

サービスが立ち上がるまでは「こんな感じで行こう」といったフワッとした感じでいけますが、ある程度立ち上がってくると、正確に組織や事業の実態を把握するハードルが高くなってくるイメージです。

志賀 その課題に対してどのように対処していますか?

徹底的に「見る」ようにしています。Slackで飛んでくるものをきちんと読んだり、現地に行ってヒアリングを定期的にするようにしたり。極力情報を早く、正確にキャッチできるように工夫しています。

ただ、今後はもう少しガバナンスを把握する必要があるので、本社からサポート要員を派遣していくつもりです。

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(写真:ami)

志賀 今の評価額になるまでに感じた、自分自身の変化や成長はありますか?

正直あまりないです。僕自身、評価額に対してこだわりはありません。

会社の規模による差異でいうと、10人ぐらいからグローバルを入れて120人ぐらいになったことで、事業の打ち手を集中する必要が出てきました。

10〜20人ぐらいのときは「面白いのは何でもやれ」という感じで、とりあえずやってみることも多かったですが、いまの規模になってくると、同じようにやるわけにはいかなくなりました。

収益を少し上げるビジネスをやっても効率があまりよくないので、大きい収益やスケールの大きいビジネスを作っていかないと、やる意味がなくなってきていて。

なので、スピ―ドが遅くはなっているつもりはないですが、事業を入念に準備するようになりました。

志賀 昔なら売上が1億とか10億で「やろう!」となっていたのが、「100億とか1,000億いかないと意味ないよね」に代わってきたのですね。

そうですね。ある程度大きいところを目指せる基盤ができてきたからこそ、入念になってきました。

もう1つ変わったことがあるとしたら、一貫性の部分です。前だったら、今日と明日で外に発信することが全然違うことも多いタイプの人間でしたが、今はそれをすると広報に怒られます。

志賀 人間的な特性も、企業のステージによって矯正されてくるものですか?

されると思います。恐らくソフトバンクの孫さんとかも、そういう部分は意識して変えていると思います。

ステージが上がると窮屈になってくる部分は増えますが、経営者としてのレベルもアップしていくんじゃないかと思っていて。

もともと「経営者」という言葉自体は嫌いでしたが、最近は意識せざるを得なくなってきました。

資金調達時の複数事業の説明

志賀 テクニカルな話になりますが、我々も今後資金調達をしようとしています。

その時に、BtoC・BtoB双方で事業をしていると、資金調達のときにバリエーションを下げる投資家の方もいらっしゃいます。

どちらかの事業を好んで、もう片方の事業はフォーカスされないパターンですね。林さんはどのように事業を説明されてきましたか。

どの事業に対しても点と点をつなげるように繋がりを説明できるかがカギだと思います。

説明をする段階で、事業ごとの繋がりをある程度抽象概念として持っていけるかが、成功するかの分かれ目になるんじゃないでしょうか。

あとは、会社のパーソナリティを定義するのがトップの役割なので、それを両面でやった方がいいと思っています。

僕は基本的に1on1のコミュニケーションや交渉がとても得意です。1回話せれば「フィナテキストってこんなことやっていていいね」と分かってもらえるのですが、逆に全体に向けての周知はとても苦手です。

なので、ホームページをもっと分かりやすく整えたり、1対Nの関係でも分かりやすく伝えられる仕組みを考えるのが今の課題です。

志賀 最近はTwitterでも色々発信されていますよね。

裏話ですが、Twitterでの発信を始めたのも、うちのエンジニアにフォロワーが1,600ぐらいいたりする社員がいて、そのときそいつに僕のフォロワーが100ぐらいだったのでマウント取られたんですよ。

「社長なのにこれはあり得ない」と言われて。

そこから、そこまで言われると負けたくなくなり、「僕のTwitterをフォローしてください」と懇願したりして、やっと2,000までいきました。今はそのエンジニアに、マウントし返したりしています(笑)。

志賀 将来的に自分たちのサービスがグローバルで影響力を持つことにこだわっていらっしゃると思いますが、評価額以外にどのような視点で考えていますか。

投資銀行上がりなので、最終的にはEPS(1株当たり利益)が重要だと思っています。

今マザーズに上場して瞬間風速で時価総額が上がっている会社も、利益を上げていけなければ最終的には淘汰されます。

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(写真:ami)

なので、僕は市場の変動に左右されない、安定的な収益の確保を目指していきたいです。

マーケットリスクを取りにいくより、その会社の事業が30年ぐらいのスパンで見ても、機能する企業をつくりたい。

永続的に収益を上げ続ける会社を作ろうとすると、日本だけでは厳しいのでグローバルで戦っています。

目指す未来

志賀 具体的に、5年後に今のサービスはこう使われているといったイメージはありますか。

業績的なイメージはありますが、toBにもサービスを提供しているので、まだ5年以内だとあまり具体的には描いていません。

市場はまだ日本がメインになると思っていますが、イギリスで2つ良いサービスができているので、それが跳ねたら面白いとは思っています。

志賀 市場の選定はどのようにされていますか?

「人」です。

もちろん中国・アメリカといった地理的要因も大事だと思いますが、それよりも「人」を大事にしています。良い人がいたら、そこで挑戦します。

ユーザベース(INITIALの親会社)でも「新規事業をやるかの基準はその人の熱量、以上」とおっしゃっていましたが、僕もそれが最重要だと思います。

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(写真:ami)

さすがにチェコでFintechと言われたら、相当売上が上がっていないと厳しいと思いますが、信頼できる人がいるかどうかがすべてだと思います。

インド、中国といった国の市場規模やトレンドといった、明らかに分かっている要素だけを見て市場を決めようとする企業も多いですが、僕は人の要素も軽く見てはいけないと思っています。

逆に、スマートショッピングさんはどのように考えているんですか?

志賀 市場規模と言語は大きい要素だと思うので、挑むならアメリカが最初ですね。あとは、東南アジアですかね。

アメリカは、かなりお金がかかります。僕のイメージ、ユーザベースさんがQuartzを買収した件もそうですが、アメリカや中国に本気で挑むならフルスイングが必要です。「ちょっとやるか」くらいの気持ちでは戦えません。

弊社の場合は、まだフルスイングする準備ができていないので、その周辺でヒットを打てるかどうかを検証している段階です。

志賀 プロダクトマーケットフィットを周りの地域でやるイメージですね。

そうです。

志賀さんは調達をされた後はどのように進めていく予定ですか。

志賀 まずは事業の加速に使いたいなと思っています。

BtoCもBtoBもやっているので、両方の事業を伸ばしていきたいです。

BtoCとBtoBの間にはシナジーがあると思っているので、「スマートにショッピングする」というビジョンを実現させて、買い物に関する不自由を無くしていきたいなと思います。

文:町田大地

#対談#IoT#eコマース

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