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2019/04/25

弱点の自覚が非連続的な成長のカギ。2年越しで分かったエンジェルが語る言葉の真意

  • #対談
  • #シェアリングエコノミー

投資家と起業家。その関係性が公に出てくることは少ない。 今回は、メルペイ松本さん(@Ryo_mats)とaMi藤井さん(@yukafuji)に、投資家と起業家がどのような関係性なのか、さまざまな角度から話してもらった。

投資家は起業家のどこに注目し、なにに可能性を見出したのか。 起業家はどうやって投資家を選び。どのような支援を受けているのか。

その実情に迫る。

CONTENTS

起業家紹介

佐久間 今日は、aMiの藤井さんとメルペイの松本さんに来ていただきました。

松本さんには、藤井さんにエンジェル投資をされているサポーターということで本日は来ていただいています。

藤井さん、簡単にサービスの紹介をしていただけますか?

「人が幸せになる生態系をつくる」

藤井 私は、aMiというフォトグラファーさんのデータベースと予約サービスを運営しております。

もともとはAssociation of Media Internationalという頭文字で、フォトグラファーデータベースのサービスを運営していましたが、「私たちが媒体となって温かい気持ちをたくさんつくっていけるサービスにしたい」ということで、ai(愛)の間をM(媒体)が存在するという意味を込めてaMiに社名を変更しました。

佐久間 「温かいつながり」にこだわられていると伺ったのですが、それはなぜですか?

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藤井 私たちの会社は「人が幸せになる生態系をつくる」をビジョンにしています。

「人と人との温かいつながりを感じたとき、人は一番幸せなんじゃないか」と私は思っています。

佐久間 「温かいつながり」が、なぜプロの写真家さんのマッチングサービスにつながるのでしょうか。

藤井 それはどちらかと言うと、私が今まで経験してきた中で、フォトグラファー業界の負を解決したいと思ったからです。

時代が変わり個人でも働けるようになってきたことで、どこかに所属しなくてもフォトグラファーさんが活躍できる仕組みができてきていると感じています。

ただ、業界の構造上、まだまだ撮影会社が撮影業界の売上のほとんどを占めており、フォトグラファーさんがクリエイティブな仕事をできていないという状況です。

フォトグラファーさんはカメラさえあれば世界中どこでも活躍できるので、「腕さえあれば、どこでも活躍できる仕組みづくり」をしていきたいということで今の事業をやっています。

佐久間 とても綺麗なストーリーですね。(笑)

藤井 もう少し砕けた感じで話したかったのですが慣れていなくて(笑)。

きっかけは「awabar」

佐久間 松本さんをご存じの方は多いと思うのですが、簡単に自己紹介いただいてもよろしいですか?

松本 松本と申します。今、メルカリグループの金融事業であるメルペイでプロダクトをつくっています。

その前は3年ほど、メルカリの中で新規事業をつくるソウゾウという会社の代表として、メルカリのいろいろな新しいサービスをつくっていました。

もともとメルカリに入る前も、自分で会社をやっていたので、今までずっとプロダクトをつくってそれをベースに会社を経営することをしてきました。

佐久間 以前経営されていたDECOPIC(写真をデコってシェアできるスマートフォンアプリ)がきっかけで、藤井さんとお知り合いだったのですか?

松本 もともとは友人を介して会ったのですが、写真に関係するサービスにいくつも関わっていたので、写真の領域自体に興味がありました。

また、写真領域に加えて関わっていたメディア領域でも、テキストから写真や動画にトレンドがシフトしていたので、お客さまのニーズがどのように変化しているかを調べるために、写真領域にアンテナを張っていました。

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佐久間 お2人が出会われたきっかけはなんだったんですか?

松本 最初は共通の友人と一緒に、すでに酔っていた藤井さんとawabarで会いました。

その時、あまりに酔ってその場にいた亀山さん(DMM.comグループの会長)にも絡んだりしていて。(笑)

佐久間 ヤバいですね。(笑)

松本 そこで「知り合いが責任取れ」ということになり、友人と一緒にタクシーに押し込んで連れて帰ったのが最初のきっかけですね。

佐久間 とんでもない縁ですね。(笑)

藤井 もう、これは放送事故です。(笑)

佐久間 そういうとんでもない縁から、エンジェル投資、応援していこうという文脈になかなか繋がらないのですが(笑)、そこはどういう経緯だったのですか?

松本 まずは純粋に藤井さんが取り組んでいた写真領域に興味がありました。

aMiが最初に取り組んでいたウェディングフォト領域は、画一的だったり、進歩が遅い領域だったので、クラウド化してフォトグラファーさんをマッチングする事業は可能性があると思っていました。

あとは、藤井さんの壁打ちや相談に乗っている過程で根性を感じたのも投資にいたった理由です。

根性があればだいたい会社はつぶれないと思っているので、つぶれなさそうだと。

佐久間 メルカリグループで松本さんもいろいろな方を採用されていると思うのですが、どうやって根性のありそうな人かどうかを見抜くのですか?

松本 たとえば、ダメ出ししてもへこたれないとかですかね。

藤井さんもすごい頑固で、何度ダメ出しをしても「いやいや、私はこうしたい」と言って向かってくるんですよね。

それが良いか悪いかは別ですが、信念をずっと曲げないことは起業家として大事だと思います。

投資基準はたった1つ「弱みと強みを分かっているか」

佐久間 そもそも松本さんは、なぜエンジェル投資されているのですか?

松本 面白いからです。

普通に投資して金銭的なリターンを得たいなら、エンジェル投資よりも効率のいい方法はたくさんあると思います。

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それでもエンジェル投資をするのは、「自分でいろいろなことにチャレンジしたいし、知識も得たいけれど、体は1つしかないので、代わりに他の人に夢を託したい」からです。

佐久間 もう少し具体的に面白いポイントをうかがってもいいですか?

松本 たとえば僕の場合、そのとき興味のある領域の何社さんかに、半年や1年といったスパンで集中して投資することが多いです。

そうやって投資させていただくと、横断的にその領域の情報が入ってくるので、自分自身も業界のトレンドなどをキャッチアップができます。

あとは、起業家さんのいろいろなお話を伺ったり、悩み相談をうけると、だいたい悩みが共通しているので、そこに対して考え続けることで自分自身も経営について考えを練ることができます。

僕も会社を経営しているので、そういった経営について考えを深められることは、自分にとってもいい影響があると思っています。

佐久間 投資するにあたって、自分が興味ある「分野」以外に「人」という要素も関係してくるかと思うのですが、「人」についてはどういうところを見ているのですか?

松本 自分の強み弱みがはっきり分かっているかどうかですね。

もちろん、きっちりと戦略が立てられて、日々のPDCAを回せるロジカルさがあり、人を惹きつけられるようなコミュニケーション力がある人がいれば最高の起業家だと思います。

ただ、そういう人はそんなに多くはいないですし、完璧な人は僕が投資をしなくともパパッと調達をして大きくなると思うんですよね。

デコボコして然るべきで、ここがへこんでいると分かれば変えられると思うので。

佐久間 自分の弱みの部分をきちんと開示して仲間を集められるようなイメ―ジでしょうか。

松本 そうですね。

佐久間 藤井さんの強みと弱みは何ですか?

松本 一番は、「こうしたい!」という想いが強く、突き抜けていることです。悪くいえば頑固ですが、自分がやりたいという想いを強固に持っていることは起業家として重要だと思っています。

弱みは…。

藤井 いっぱい出てきそう!大丈夫かな…。(笑)

佐久間 まず泥酔するところですね。(笑)

松本 そうですね。(笑)

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藤井さんはプロダクトよりもフォトグラファーさんと会うといった、人とのコミュニケーションが好きなタイプです。

なので、何年も「プロダクトのブラッシュアップをするPM(プロダクトマネージャー)の方を入れて藤井さんはそこにタッチしないほうがいいよ」とずっと言い続けています。

誰かいい方がいらっしゃったら、ぜひ応募していただけると嬉しいです。

![SS 2019-04-25 16.30.20](https://www.wantedly.com/companies/famarry)

PMの方、入ってください。お願いします。

佐久間 (笑)今の松本さんのご意見に関して藤井さんはどんな感想ですか?

藤井 その通りですね。

PMが苦手でも、前に進まなければいけないので、自分で一生懸命勉強をして得意になりたいと思っていた時期もありました。

ただ、明らかに自分の得意領域が伸びているので、不足している部分は得意な人にやってもらうべく、今は採用にとにかく振り切ろうと思っています。2年間ぐらい松本さんに言われていたことを、やっと今実感しています。(笑)

自分の弱みを知ったら強みが伸びた

佐久間 松本さんから見て、この2年間で藤井さんが変わったところはどこですか?

松本 自己認識の部分はとても変わったと思います。自分の強いところを強いと認識できるようになったということは自信がついたことの裏返しじゃないでしょうか。

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以前はできていない部分に対して「こうした方がいいよ」と話しても、ただ頑固に向かってくることが多かったです。

ただ今は「私、そこできないです。自分の得意な方法はこれなので、こっちの方法でいきます」と変わってきているので、その部分はいい意味で変わったと思います。

佐久間 藤井さんにとって、変わったきっかけはありますか?

藤井 必死に事業をやっていたら、自然にそうなっていったというのはありますね。

とにかく会社を継続しなくてはいけない状況のなかで、いろんな打ち手をとにかく打ったり、ピボットをしたり、いろいろ試してきました。

そうやって、苦し紛れにいろいろなことをやっているうちに自分の得意領域が伸びたという感じです。

エンジェル投資家の価値は「起業家側に立てるかどうか」

佐久間 ちょっと話題を変えますが、なぜ松本さんに出資してほしいと思ったのですか?

藤井 私がシンガポールに住んでいたとき、ウェディングのフォト撮影プラットフォームをつくりたいと思っていたので、それについて松本さんに相談させていただいているうちに、「それなら最初出資してあげようか」というお話をいただきました。

松本さんご自身も、プロダクトをつくられた経験があるので、自分ができないことや知らないことをたくさん知っているだろうと考え、出資をお願いさせていただきました。

また、ハードシングスも経験されているからこそ、そこに対して共感がとてもあるなと感じたのも大きな要因です。常に応援してくれています。

佐久間 藤井さんが感じる松本さんのオススメポイントはどこですか?

藤井 オススメポイントはまず、人間力です。人として接していて心地のいい方です。

今までの経験や知識を惜しみなく共有してくれるという点もそうですし、人の紹介もしていただいたり、困ったときにいつも助けていただいています。

まさに”エンジェル”だと思います。

佐久間 という藤井さんのコメントに対して松本さんはどう思われますか?

松本 すごい答えづらいですが、「ありがとうございます」という感じですね。(笑)

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今、投資環境がとてもいいので、ベンチャーキャピタルさんもたくさん資金がありますし、お金を出したいという人も多いと思います。

じゃあ、エンジェル投資家のどんな部分に価値があるかと思ったときに、より起業家に近い立場に立てることが価値だと思っています。

会社の価値を上げるというポジションに立つと、多くの場合、起業家が辛くても「頑張れよ」しか言えないと思います。

なので、起業家の側に立って「本当にそれを頑張りたいの?IPO目指さないで、スモールビジネスとしてやっていくほうがハッピーじゃない?」や、「別に会社をたたみたかったらたたんでいいんだよ」と言うのが僕の役割かなと思っています。

佐久間 たしかにベンチャーキャピタリストの方からすると、そういったところはすごく言いにくいことですね。

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非連続な成長に必要なラストピース

佐久間 「ハードシングスの具体例を知りたい」という質問がきていますが、今までで一番ハードだったことはなんですか?

藤井 思ったより資金調達に時間がかかってしまい、お金がなくなりそうになったことですね。(笑)

佐久間 直近のハードシングスと言うか、課題として見えているものはありますか?

藤井 だいぶ事業が成長し、他企業と提携を進めていけば、連続性のある成長を見込めるようにはなったので、会社が死ぬことがない状態にはなったとは思います。

ただ、スタートアップとしては非連続の成長を目指したいと思っているので、それを起こすために次のフェーズに進む必要があると感じています。

そのためには採用がすべてだと思っているので、今はとにかくいい人、いいメンバーに出会えるように、頑張らなきゃいけないですね。

佐久間 松本さんの、藤井さんに対する直近の期待はなんですか?

松本 繰り返しになりますが、会社をつぶさずにもがき続けて、死なない自信をもてるところまでやりきったことが素晴らしいです。

あとは、非連続な成長を遂げるための経営チームをちゃんとつくれるかだと思います。

藤井さんは、とてもメンバー想いで、メンバーがハッピーになってほしいと思っているので、それと同じ目線で、もしくは彼女より経験豊富な方で、藤井さんがやっていることを巻き取って、「やりたいことだけやればいいよ」と言ってくれるようなCOOがいたら最高ですね。

COOとプロダクト責任者がいれば、一気に成長するんじゃないかなと思っています。

早く頑張ってください!

藤井 ありがとうございます。(笑)

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佐久間 例えば、COOで藤井さんの弱みを補完する人物像をもう少し具体的に表すとどんな人ですか?

藤井 手堅い人ですね。

私はざっくり方向性を決めて、強引に進めることは得意なので、それをもとにかたちをつくって、数字を見ながらPDCAを高速で回していけるような人だと思います。

佐久間 藤井さんは得意そうですけどね。

藤井 やらなくてはいけないことは分かるし、ある程度はできますが得意ではないです。

得意な人がやったほうが絶対にいいなと思っています。

私は、風呂敷を広げて、とにかくいろんな人と話しにいくことが得意なので、それを形にする人がいないとうまく事業の両輪が回らないんですよね。

佐久間 補完性ではなく、逆に共有したい価値観はありますか?

藤井 私のことをちゃんと好きでいてくれる人ですね。(笑)

スタートアップではハードシングスは絶対ありますし、そういった相手を信じられなくなりうる状況で、「私が言っていることはわけが分からない」と思われてしまうとすごく悪循環になると思っています。

何が起こっても一旦信じてくれたり、どうしたら伸びるかだけを考えてくれて、社内にマイナスな目を向けないことが大事だと思っているので、どんな時でもやりたいことを一緒にやろうよと肯定してくれる人がいいですね。

佐久間 いいですね。まさに松本さんのイメージですね。

松本さんは、aMiに入るかを悩んでいる人がいるとしたら、どういう声をかけますか?

松本 まず今の、「私のことを好きでいてくれる」という言葉に引かないでねということですね。(笑)

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スタートアップにおいて一番大事なことは推進力だと思うので、それが藤井さんにあるのは良いと思う。

逆に、推進力以外はあまりないですし、組織として欠けているところだらけなので、入っていただければ必ず活躍できる領域はあると思います。

後は相性だし、ちょっと酒癖もよくなってきたので。(笑)

食事に行ったりして、フィーリングがお互い合うかどうかを見極めて欲しいです。

佐久間 松本さんが藤井さんを愛しているポイントは何ですか?

松本 やっぱり人を惹きつける魅力だと思います。

あとは、臆さないところです。新しい人に会ったり、微妙な距離感の人と連絡を取るとき、多くの人は緊張したりするじゃないですか。

そういったことが全くないのは強みだと思います。(笑)

そういう性格もあって、毎年自分の誕生日会を自分で企画して、盛大にやったりしています。

藤井 それ、痛いじゃないですか。(笑)

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松本 それは良い場をつくっていると思っていて、そういうことをできる人って起業家に向いていると思うんですよね。

佐久間 まさに「温かいつながり」を実現していますね。

佐久間 最後にお二人からひと言ずつ感想をいただいてもいいですか?

藤井 伝えたいメッセージでもいいですか?

佐久間 はい。(笑)

藤井 今、フォトグラファーさんのプラットフォームをつくっている中で、フォトグラファーさんが活躍できる仕組みをつくるために事業提携をしながら仕事を増やしていっているので、そこをこれからも引き続きやっていきます。

そして、撮影したいと思った人が、リーズナブルに良いフォトグラファーに出会える場を今後もつくり続けていきたいなと思っています。

とても素敵な応援者と、メンバーに恵まれて会社の土台は整ってきたと思っているので、そこをさらに加速させていただけるいい仲間に出会えたらなと思っています。

松本 エンジェル投資家という立場で出ることはほとんど無いので緊張しました。

今日も藤井さんの面白さが出ていたと思いますが、この裏表のなさも彼女の魅力の1つだと思うので、「こいつ面白そう」と思ったらWantedlyから応募いただけると嬉しいです。

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