「フリーランスには5つ段階があります。」
フリーランス実態調査 2018年版によると、フリーランスと呼ばれる人は1,119万人いると言われている。
「場所や時間を選ばない自由な働き方をしたい」「自分のスキルを生かした仕事をしたい」といった理由で、フリーランスに転身する人は増えている。
1人で仕事を行うイメージの強いフリーランスだが、フリーランスにも仕事内容によって実は5つの段階があり、段階によってチームを組むことも増えていく。
フリーランスとして段階を上げながら働く中で、小谷 CEOが感じた「プロジェクト単位で働く難しさ」を解決するサービスがTEAMKIT(チームキット)だ。
フリーランスのプロジェクト問題を解決する2つの方法と、その先に実現したい未来について話してもらった。
ポートフォリオと仲間集めに特化したサービス
TEAMKITはどのようなサービスですか。
TEAMKIT 小谷さん TEAMKITは、フリーランス向けのプロジェクトシェアプラットホームです。
フリーランスがプロジェクトをやる際に、仲間が必要になる場合があります。そのようなときに、プロジェクトごとにチームを組めるようにサポートしています。
TEAMKITでできることは2つあります。
1つ目は、自分のプロフィールページがつくれること。今までの実績や持っているスキル、取り組んできた仕事の変遷といった情報を一覧にまとめることできます。
他にも性格や価値観を表現できるキャッチコピーが書けたり、SNSやGitHub(ソフトウェア開発のプラットフォーム)、noteといったサービスとも簡単に連携できます。
今までもポートフォリオサイトはありましたが、フリーランスの業務の多様化が進んだことで、既存のサイトでは表現しきれなくなっていると思います。
人事や経理、PRをやっている人達に自分のポートフォリオを作れと言っても、難しいと思いませんか?
スキル以外の情報も含めて、一覧でまとめられるようになれば、そういった人たちの悩みも解決できると考えています。
ヒストリーと呼ばれる箇所に、今までの仕事の変遷をまとめることができる。(出所:公式ページ)
2つ目は、プロジェクトを一緒に取り組むメンバーの募集ができます。これをTEAMKITでは「Tent(テント)を立てる」と言っています。Tentには、プロジェクトの目的や概要、募集職種などがまとまっているので、効率的にメンバーの募集ができます。
フリーランスに存在する5段階のフェーズ
他の副業プラットフォームのサービスとの違いはなんですか。
対象にしているフリーランスの層が違います。フリーランスには5つフェーズがあると考えています。
(出所:TEAMKIT公式資料)
フェーズ1は、隙間ワーカーと言われる「フリーランスになりたくて、隙間時間で副業をしている」層、フェーズ2は「十分な量の仕事を獲れない、フリーランスになりたて」の層。
フェーズ3は「報酬の単価を上げたり、挑戦的な仕事をやりたいが見つけられない」層、フェーズ4は「仕事の相談を多くもらっているが、手いっぱいで仕事が回っていない」層です。
フェーズ5は「バイネームで仕事の依頼がきて安定している」層と定義しています。
これらの層の人数比はピラミッド型になっていて、フェーズ5の人は極少数なのが現状です。
クラウドワークスさんなどのクラウドアウトソーシングサービスは、主にフェーズ1や2の層をターゲットにしたサービスです。一方で、フェーズ3と4に提供されているサービスはまだ少なく、十分にニーズをカバーできていないため、ペインを抱えている人が多いのが現状です。
TEAMKITでは、フェーズ4の人が持っているプロジェクトを可視化し、フェーズ3の人たちがそこに参加してフリーランスのチームをつくれるようすることで、仕事の循環が起こることを目指しています。
なぜこれまでそういったサービスがなかったのですか。
フリーランスになってみないと、課題を感じにくいからだと思います。私も、フリーランスになって初めて、他のフリーランスが抱えている課題を知りました。
特に、私はメンバー集めに苦労しました。フリーランスというと1人で仕事をこなしていくイメージがあるかと思いますが、自分1人ではこなせない依頼を企業から受ける相談されることもあり、その場合エンジニアやデザイナーを探す必要があります。
スキルや人となりを調べ、対象になりそうな知り合い一人ひとりに連絡をし、条件やスケジュールが合致する人が見つかって、やっと動き出せます。
特定のスキルを活かして、高い質のアウトプットを提供するのが売りのフリーランスが、日程調整や人集めといった専門外の部分に労力を割かれている状態は、健全ではありません。
フェーズ1、2の方は多くの場合、タスクベースで仕事をしていますが、フェーズ3、4の方はプロジェクトベースで行うことが多いので、人探しに対するペインは大きいと思います。人探しが原因で、フェーズ3で止まってしまうこともあるのではないでしょうか。
人集めのカギになってくる、条件やスキル、人柄日程といった部分を簡単に可視化できれば、少ない労力でいいメンバーに巡り合える確率が増え、仕事の幅も広がります。
今までフリーランスに対して、企業は外注先のようなイメージでタスクごとに仕事を発注することも多く、「個人なので金額の安い外注先個人だから金額も安くなる」といった考え方が強かったと思います。もちろんそれによって、フリーランスの地位がある程度つくられてきた側面もあります。
タスク別発注という視点だけで見れば、スキルを元にマッチングさせるのが非常に分かりやすいですよね。なので、クラウドソーシングサービスもスキルごとのマッチングを重視した設計になっています。
ただタスク型は、発注側が発注先を選ぶ要素もスキルメインになってしまうため、差別化が難しく、価格競争になることも少なくありません。
それを考えたときに、タスクより上段のプロジェクトベースで仕事を捉え、スキルとして明確に表しにくい「経験や想い」といった部分も含めて、お互いに検討できるプラットフォームをつくりたいと思っています。
企業もTentを使って募集はできますか。
企業も、もちろん募集できます。
フリーランスのチームの募集だけでなく、企業からの募集もある。(出所:公式ページ)
これからの時代は以前にも増して、個人として働くことが多くなると思います。そうなったとき、「あなたと一緒に何かやりたい」といった、個人に紐づく関係値を企業側と築くことが必要になってくると感じます。
単なる受託関係ではなく、一緒にプロジェクトを回していく共創関係が重要になると思っていて。
TEAMKITでは、その部分を支援したいですし、共創関係を作るきっかけの1つとして、企業とフリーランスのチームを繋げるサポートもしていきたいです。
理想を実現する手段の1つ
フリーランスにこだわる理由は何ですか。
フリーランスを経験した人は分かると思いますが、自分がフリーランスになってみると社会の網の目から抜け落ちる感覚がありました。
たとえば、子どもを保育園に預けられない、クレジットカードをつくれない、不動産を借りられないなんてことが、当たり前のように起こります。
「これからは個人の時代だ」と言われている中、そんな社会の状態に問題意識をもったので起業しました。
フリーランスになった人のベースには、実現したいライフスタイルがあると思いますが、それに反して、今の社会はあまりにも働き方が固定的ですよね。
働き方や契約形態、企業の形は自分の理想のライフスタイルを実現する手法だと思っています。自分がいるフェーズごとに、その手法も最適化されていていいのではないでしょうか。
最適化する手段の1つとして、TEAMKITを使っていただき、1人でも多くの方に理想の働き方を追求してもらいたいです。
今後どのようなことを実現したいですか。
今後、フリーランスと会社員の境界が曖昧になっていくと思います。だからこそ、不安を感じずに個人が働ける世界を作りたいです。
未だに世の中の制度は、企業をベースに作られているので、社会のサポートからもれてしまうなんてことが起きてしまのではないでしょうか。
フリーランスで働く人のインフラをしっかり築いていく必要がありますし、それをつくるのが私たちのミッションの1つだと思います。
(写真:ami)