<Image type="full-column" src="//images.ctfassets.net/bdepgd648nl9/5UmdTRzk1DxXlFvEsffQrO/9d30d578e06775f4579de64875adfc68/20210601_briefings_01.png" />

<br>

<Image type="full-column" src="//images.ctfassets.net/bdepgd648nl9/6QadQeQUMKQo9ajR6YY2dA/16b768f7831d9f1fd996277c4d541662/20210601_briefing_02.png" />

GMOインターネット（以下、GMO）は予約困難店に特化した飲食店予約管理サービスのOMAKASEを株式交付により買収すると発表した。本買収によりGMOはOMKASEの株式比率61.5%を取得し、対価としてOMAKASE1株に対してGMO株式3.677株と371円を割り当てる。

この買収で注目すべきはその手法。2021年3月の会社法改正と4月の税制改正を受け、「株式交付」によってスタートアップを対象に実施された初めてのM&A案件となった。

<Image type="full-column" src="//images.ctfassets.net/bdepgd648nl9/4KSmR49conKJJLESeSzhZU/a9ba62f8bd7adf6c32f128bb0de94db1/20210601_briefing_09.png" />

M&Aを成長戦略にできないと言われる日本企業。自前主義などの企業文化がその要因の1つだが、加えて制度面の不備が長らく指摘されてきた。そこで、M&A促進を目的に2021年春に会社法と税制が改正されている。

会社法の改正では株式を用いた買収手段の1つとして、「株式交付」が新たに可能となった。改正前の株式を対価とするM&Aでは被買収企業の株式を100%取得し、完全子会社化する株式交換と現物出資に限られていた。

一方、「株式交付」方式では、__完全子会社化のみならず、子会社化する場合にも株式を対価とすることが可能__になった。実際、今回のM&AでGMOがOMAKASEの株式61.5%を取得し、子会社化している。株式交付では子会社化が条件であるため、資本提携や株式を現金を組み合わせる混合対価M&Aなど手元資金の少ないスタートアップが買い手となりM&Aをする事例も生まれそうだ。

また従来の株式交換の場合、被買収企業の株主は買収企業の株式を取得した時点で見込み譲渡益分の納税が求められるという課題があった。これについても2021年4月の税制改正により__被買収企業の株主が買収企業の株式を取得した場合でも将来、株式を譲渡する時点まで譲渡益課税を繰り延べることが認められた。__被買収会社の株主の負担が軽減されるため、大企業が買い手となりスタートアップをM&Aする事例も増えるのではないか。

このように、M&A手段として株式交付が導入され、税制が改正されたことで、一定程度企業がM&Aをしやすくなったとは言えるだろう。だが一方で、株式と現金を組み合わせる「混合対価M&A」の場合、__現金が買収額の20%以下でなければ、譲渡益課税の繰り延べが認められない__など海外諸国と比べるとハードルは引き続き高い。日本企業が成長のために積極的にM&A活用できるようになるためには、まだまだ制度面で見直しが必要な点も多い。

参考：[ポーラ、33億円でM&A。CVC発のEXITは続くか](https://initial.inc/articles/briefing20)



<Image type="full-column" src="//images.ctfassets.net/bdepgd648nl9/6lH835DSRGqTE2d0Ldphhw/c7f1fdc608911011b2968e8b7b2ca8b9/_______________Briefing_v_14_07.png" />

介護事業所向けSaaSを展開するRehab for JAPAN（以下、リハブ）は既存株主のキャピタルメディカ・ベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタルをはじめ、CYBERDYNE、小野薬品工業など9社から7億円を調達した。キャピタルメディカ・ベンチャーズは2018年、2019年に続いて追加出資しており、リハブの成長に対する期待の大きさがわかる。

![20210601 briefing 05](//images.ctfassets.net/bdepgd648nl9/4jHOPeMIcCRdUswIsE80kP/eafabe56955386b50683843b39bf0ad0/20210601_briefing_05.png)

>　出所：株式会社Rehab for JAPAN コーポレートサイト

介護市場向けソフトではすでにエス・エム・エスやカナミックネットワークなど上場企業もサービスを展開しているが、前者は介護事業所のバックオフィス運営の効率化に、後者は介護従事者間の情報共有の効率化にそれぞれ重点を置いている。

一方のリハブは介護のサービス自体の効率化や最適化を目指している点で異なる。同社のサービスではこれまで蓄積した 6.6万人の高齢者のデータ（2021年5月時点）をもとに、要介護者それぞれに最適なリハビリ計画・メニューを自動的に提案する。これまで介護施設では、スタッフが経験に基づいて個別にリハビリ計画を立てる必要があったが、リハブのSaaSを利用すれば経験のないスタッフでも簡単にリハビリサービスを提供することができる。

リハブが運営するサービスは介護業界に特化したバーティカルSaaSである。人事や会計など業界を問わず特定業務に水平展開するホリゾンタルSaaSに比べると対象となる業種や事業の市場規模が成長率を左右する。

参考：[バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaS](https://initial.inc/articles/briefing21)

そこでリハブが対象とする介護市場を見てみると、すでに介護人材が大幅に不足している上、2020年に725万人だった要介護者の数は2040年には988万人に増加する見通しであり、業務効率化が急務となっている。課題が山積している上に市場拡大余地が大きいだけに、シェアを獲得できれば事業成長率がより高まりそうだ。

<Image type="full-column" src="//images.ctfassets.net/bdepgd648nl9/739zUPUZpoVnisxFdxmaNG/a61aebcfbeb518702e15abd16a4b3324/20210601_briefing_10.png" />

6月はスタートアップにおける注目分野のうち、FinTechを取り上げて最新の動向について解説する。

FinTechには2015年以降、多額の投資資金が集まっており、セクター別の資金調達として日本国内では毎年安定的に上位にランクインしている。2020年のFinTechスタートアップの調達額は約526億円と人工知能（660億円）、SaaS（556億円）に次ぐセクターとなっており、2020年の資金調達総額全体の1割強を占めた。（出所：INITIAL「Japan Startup Finance 2020」）

INITIALではFinTechを「金融を対象とする企業群のうち、テクノロジーを利用している企業」と定義する。日本国内では決済サービスのPaidy、仮想通貨の取引所を提供するリキッドグループがFinTech分野のユニコーン（未上場企業で評価額1,000億円以上）企業だ。2020年には、全自動の資産運用サービスを提供するウェルスナビが上場した。

世界でも多数のユニコーンが存在しており、デカコーン（未上場企業で評価額100億ドル以上）では決済サービスのStripeやKlarna、ブラジルのデジタルバンクNubank、インドのデジタル決済会社のOne97 Communicationsなどがあげられる。

一口にFinTechといえども、事業領域は多岐にわたる。現在資金調達が集まり、成長を遂げている代表的な5つの事業領域を紹介する。

<Image type="full-column" src="//images.ctfassets.net/bdepgd648nl9/1W4Cg1yYQ0FPUubxx781rA/9d8021ebe244fb8bac080a0c6662e7ba/20210601_briefing_07.png" />

FinTechで特に注目されるのが決済・送金、投資・融資、資産管理、仮想通貨、保険という5つの分野だ。

1つ目は決済・送金で、国内外で最も調達資金が集まっているのもこの領域だ。電子決済、モバイル決済、送金などがこの分野にあてはまる。

2つ目は投資・融資だ。資産運用のほか、クラウドファンディング、ソーシャルレンディングなどが対象になる。前述のウェルスナビや、Finatext、お金のデザインなどの企業が該当する。

3つ目は資産管理。個人の資金管理を行うBtoCのサービスが中心で、マネーフォワードのBtoC事業などがあてはまる。

4つ目は仮想通貨だ。取引所の企業が多く、2021年に上場した米Coinbase Globalや、国内のリキッドグループ、ビットフライヤーもこの領域にあたる。

5つ目は保険（InsurTech）で、既存の生命保険・損害保険をテクノロジーを用いてシンプルにするBtoCのサービスと、保険業界向けにSaaSを提供する企業などがある。

また近年では、BaaS（Banking as a Service）と呼ばれる、銀行が提供するサービスをクラウドで提供する動きも出てきている。

INITIALでは、領域ごとにスタートアップにタグを付与している。FinTechのタグをチェックすれば該当タグのスタートアップ、資金調達、提携・M&A、オリジナル記事を見ることができる。参考：[FinTechタグページ](https://initial.inc/tags/fintech)

--

次週の第2回では、FinTechスタートアップの注目ニュースとともにデジタルバンクのサービスを紹介する。

[第2回：ラテンアメリカで3兆円のFinTechスタートアップが誕生](https://initial.inc/articles/briefing32)

（文：平川凌、藤野理沙、編集：濵田尚子、デザイン：石丸 恵理）

株式会社OMAKASE

株式会社Rehab for JAPAN

20210601 briefing cover

GMOインターネット株式会社

資金調達記事

SaaS

FinTech

GMOインターネット、新手法「株式交付」でスタートアップをM&A

在宅勤務におけるハードルの1つが、物理面でオフィスと同様の仕事環境を構築できないという点だ。いち早く社員のテレワークを推進したGMOインターネットグループ（東京都渋谷区）が自社パートナー4000...

パロアルトインサイト CEO

東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻　教授

暦オタ・ガジェオタ・ミリオタ・時々謎のPro Picer

ユナイテッドアローズ 執行役員　CHRO

アニマルスピリッツ 代表パートナー

【連休で揃える】目利きが厳選。「在宅勤務ギア」ベストバイ


 成長企業の経営者が戦々恐々としている。

 震源地は、田端信太郎氏。Xで33万人のフォロワーを持つインフルエンサーだ。

 今年の春、「アクティビスト個人投資家YouTuber」として積極的...

株式会社クラフター 代表取締役

NewsPicks 副編集長

慶應ビジネススクール 教授

Next SaaS Media 「Primary」運営 アナリスト

東洋大学 教授

NCB Lab. 代表

【田端信太郎】モノ言う個人株主の「ド正論」が怖すぎる

25年前、世は「IT革命」「ITバブル」のもと、若手起業家が続々と名乗りを上げた。その一人が、GMOインターネットグループ・熊谷正寿会長兼社長だ。1991年に創業し、99年には独立系ネット企業と...

ＧＭＯインターネットグループ 代表取締役グループ代表 

IT・通信企業

ラトナ株式会社 代表取締役CEO

三菱総合研究所 研究理事 AI技術顧問

製造業 Financial Planning Div. Manager

【GMO熊谷】「第5次産業革命」後半戦は、ロボットで制す

「明日から会社の9割の従業員を、在宅勤務とする」GMOインターネットグループが、この判断を下したのは、1カ月以上も前の1月26日のことだった。しかも、国内社員4650人（世界では6000人）のう...

GMOアドマーケティング株式会社 代表取締役社長

NewsPicks NY支局長

【GMO熊谷】僕が、超速「4000人リモート化」で掴んだ秘訣

求人ビッグデータを提供しているフロッグは、新卒ナビサイトに掲載している企業の初任給を調査した。2026年卒の初任給の平均は……。

河村誠税理士事務所 税理士

HR企業 Sales

IT会社 ICS/OTセキュリティ　シニアディレクター

日本マクドナルド株式会社 Vice President, Chief Technology Officer(CTO)

中村商事 代表取締役専務

2026年卒の初任給調査 高水準をけん引する業種・企業はどこ？

J&J Tax FreeおよびGMOペイメントゲートウェイ（GMO-PG）は、訪日外国人旅行者向け免税制度の「リファンド方式」を見据え、返金プロセスをデジタル化する新サービスを構築へ。

トラベルボイス編集部 代表取締役社長/President

配信メディア

自動Pickロボット

来年始まる免税制度「リファンド方式」に向けて、免税店の精算業務を自動化する新サービス、J&J Tax FreeとGMOペイメントゲートウェイ

新型コロナの影響を最も顕著に受けているのが、渋谷のオフィスだ。IT企業が集積し「ビットバレー」と呼ばれる渋谷は、サイバーエージェントやミクシィ、GMOインターネットなどIT大手の本社があるほか、...

GMOインターネットグループ株式会社

企業概要