人工知能によるメタデータ自動抽出技術等を開発する応用ソフトウェア会社。 社内知識やローカル情報を学習するハイブリッド対話ボット「ChatBrid」の開発。 C…
機械学習により顧客の声を分析するクラウドサービスや、学習済ディープラーニング等の人工知能ソフトウェアを開発・販売するメタデータ株式会社(所在地:東京都文京区、代表取締役社長:野村直之、以下 弊社)は、従来は加速度的に増す計算時間が実用上のネックとなっていた多対多の組み合わせ最適化を、超高速で一気に行うマッチングエンジン「xTech」(エックステック)を開発。実証評価を終え、本日、提供開始いたします。初納入案件は、マーケティング目的で、高実績ユーザ群と類似した多彩なユーザ群を発見する事例、ならびに、人事AI分野で、多数の社内人材と多数のプロジェクト間のマッチングを最適化する事例の2件です。今後Fintech分野で、融資の自動審査、予測やポートフォリオの最適化、異条件のシミュレーションなどで双方に大きな利益を生み出す応用用途向けに販売を拡大してまいります。
■背景
ビッグデータが溢れ、その活用のための分析が人手では追い付かず、人工知能的なソフトウェアを業務に組み込む問題意識が高まっています。特にディープラーニングが注目を浴びていますが、このような機械学習システムは、その精度がデータの量や質に大きく依存し、本番さながらの実験を行ってみるまでは、実用性が不明という欠点があります。成功/失敗、改善/改悪の原因分析が困難で追加投資、保守予算が見えず、またITベンダーとユーザ間の責任分界点が不明確な点が、特に、機密データをITベンダーに開示できない企業にとっては致命的な問題点となり得ます。これらの改善と平行して、明確なモデル、数学的な性質が解明済のアルゴリズムで、結果を予測、シミュレーションできる高速な問題解決手法が求められ始めました。例えば、人事AIの分野では、性格タイプ間の相性などの「柔らかい条件」に加えて、勤務日やTOEIC点数、通勤時間等の条件を勘案して、千人対千の仕事の間で、最適、最大数のマッチングを行うことを想定してみます。このとき、ディープラーニングなどの経験則を学ぶ機械学習アルゴリズムだけでは、使えない解を無駄に算出してしまう(例えば低スコアながら月水金okの人を火木土の仕事に割り振る)、という欠点がありました。
上記欠点を解決可能な手法(数学的な性質が解明済のアルゴリズム)として、従来から、2グループ間の最適、最大数のマッチングを行うアルゴリズムが知られていました。これには、1対多のレコメンデーション・アルゴリズムが何度繰り返しても全体最適が求まらない欠点をクリアできるという優位性があります。しかし、総当たりの組み合わせを逐一計算するため、参加者数が増えるにつれ、加速度的以上に計算時間が膨大となり、実用に耐えない、という問題点がありました。
■ xTechの機能と基本原理 ~マッチングのための属性・制約のモデル化
メタデータ株式会社の多対多のマッチングエンジンxTechは、従来の多対多マッチングエンジンの上記問題点を解決。マッチング成立数、すなわち左図では絶対的な制約をクリアした黒線のうち×を棄てて残した○の本数に比例するだけの圧倒的に小さな計算量で、殆どの場合に厳密な最適解に肉薄する高精度で最適、最大のマッチングを実現します。マッチングの度合い、スコアの評価には、両側参加者の属性を、様々なデータ型(集合型、整数型、浮動小数点型、日付時刻型・・・)に合わせてベクトル数値化し、相性の総合指数を瞬時に算出できるようにしています。
マーケティング目的の初期案件では、50種類以上の属性を備えた高実績ユーザ群と類似した多彩なユーザを、10倍以上の人数を発見するエンジンとして活用しています。これにより、数百万人の中から数千人の優良ターゲット、有望な潜在顧客をいくつかの異なる条件の下で発見する計算処理が、翌朝の営業開始までに完了するようになっています。
■ xTechの超高速性能の実験結果
実際に、xTech多対多マッチングエンジンで、マッチング成立数を2万、4万、6万、8万、10万と増やしていった際に、計算時間が、約1.3秒から約6.5秒となった結果を左下グラフに示します。右に置いた比較実験結果は、従来アルゴリズムで、参加者数を100から1000まで増やしたときに処理時間がほぼ一瞬から、700秒にまで急増し、万の単位では全く実用にならないことを示しています。10万の水準となると、6.5秒 vs 2週間という5桁以上の速度差となってまいります。
図 xTechの超高速性 ~成約(約定)数に比例 オープンソースの従来アルゴリズムで計算
→ http://www.metadata.co.jp/xtech.html
■応用用途、利用シーンについて
もともと、多対多のマッチングアルゴリズムは、数理工学、グラフ理論の教科書で「(集団)お見合いアルゴリズム」と呼ばれ、往年のTV番組、フィーリング・カップル5対5のような事例で、男女間の最適なマッチングをなるべく多く、一遍に求めることで知られていました。同質な、または異質な2グループの間で、様々な属性(男女なら年齢、身長、年収、学歴、趣味、勤務地、等等)の間の制約条件や相性さえ定義できれば、どんな分野のテーマ、問題解決にも適用することができます。
冒頭に記したFintechの分野では、例えば、過去の多種多様な融資成功案件(あるいは失敗案件)の属性と、新規案件の属性をマッチングさせ、「最近私が直接扱ったいくつかの案件とは似ていないが、過去、先輩が成功させた案件10万件のうちのあれとそっくりなので成功確率は高い」という機械知能ならでは大規模な比較計算が可能です。
EC分野では、同じ商品でも、有限の在庫をもち、売買条件や相性(消費者の好み)の異なるショップと買い手をマッチングさせたり、キャンペーンの対象者を決めたりすることへの応用が考えられます。満足度評価のアンケート実施の際に、有為な回答が期待できる、なるべく多彩な顧客群を選び出すことにも使えます。
人事AIの分野では、人と仕事のマッチングの最適化で、よりよい組み合わせを客観的、科学的に計算し、人間による最終判断のための最重要データとすることができます。また、「なぜうちの会社には求職者が多く集まらないのだろう?」と問い合わせてきた会社に対しては、「それでは、御社だけ時給を50円上げてみて、紹介数や質がどう変化するかシミュレーションしてみましょう」として、低コストでごく短時間に、人材紹介のコア業務である人材マッチングを仮条件でやり直してみたり、といったサービスが提供出来るようになります。
□ メタデータ株式会社について
メタデータ株式会社は、2005年12月にメタデータ活用技術、セマンティック技術(意味解析人工知能)を自社開発するソフトウェア会社として設立。以来、様々な人工知能エンジンを開発してまいりました。人間が人工知能(AI)を使いこなし、より創造性豊かな仕事と暮らしを目指す、両者が共存するビジョンの下、人間の得意な価値判断等の諸業務と人工知能の得意な作業を有機的に組み合わせた業務フローの再構築を支援します。テキスト・ビッグデータの分析と戦略的活用や、画像の監視・発見・分類を担うディープラーニングの学習請負、これらのAPI化や、API活用による新サービス、ビジネスモデルを考案・実証評価するコンサルティングサービスも提供しております。