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2019-12-25

スマホ決済市場に「オープン化戦略」で挑むスタートアップの勝算

# 【衝撃】ヤフー・LINE統合?# FinTech# Origami
# 【衝撃】ヤフー・LINE統合?# FinTech# Origami

昨今盛り上がるスマホ決済の流れが始まる前から、日本でいち早く同領域に取り組んでいるスタートアップがある。

スマホ決済サービスを運営している「Origami(オリガミ)」だ。

同社は、2018年9月にシリーズCで66.6億円を調達を発表している

INITIALの調査によれば、同社から公表されていないものの、その後ラウンドを登記簿より2回確認している。累計調達額は101億円にのぼるとみられ、弊社独自定義であるINITIALシリーズでは、INITIALシリーズEに相当する注目企業だ。

CONTENTS

金融プラットフォーム企業「Origami」

Origamiは2012年2月に設立。2015年にスマホ決済サービス「Origami Pay(オリガミ ペイ)」の提供を開始しており、QRコード決済の草分け的企業である。

2018年には中国の国際的な決済事業者である銀聯国際(UnionPay International)と資本業務提携を結び、国内の一部の銀聯QRの加盟店でもOrigami Payが使えるほか、今後はアジアや中東、北米を含めた世界展開も予定している。

LINE Payは微信支付(以下、WechatPay)、PayPayは支付宝(以下、Alipay)と提携を結んでおり、中国の上位スマホ決済3社が国内の決済業者と提携する構図ができている。

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(写真:TY Lim / Shutterstock.com)

2019年には「融資、投資、保険」などの新たな金融サービスを提供する100%子会社「Origami Financial Services(オリガミ ファイナンシャル サービス)」や、AIやビッグデータなどのデジタル技術・データ活用に特化した新規事業「Origami Technologies(オリガミ テクノロジーズ)」を相次いで立ち上げ、決済サービスから金融プラットフォームへの変化が感じられる。

しかし、他金融事業への参入はLINEなどの他社も既に参入しており、明確な差別化要因とはなっていない。

2019年11月にヤフーを展開するZホールディングスとLINEが統合を発表し、スマホ決済領域の勝敗はついたとの見方もある。

その中で、Origamiのようなスタートアップは、大企業が資本力を活かして参入してきた市場でどのような戦略をとるのか。

「Payの開放宣言」と銘打ち、決済サービスのオープン化戦略をとる同社の取り組みを紐解くことで、大企業とスタートアップの戦い方の違いが見えてくるかもしれない。

その全貌についてOrigami エバンジェリストの古見 幸生氏にきいた。

オープン化で目指すのは「決済のインフラ」

スマホ決済の領域で争いが激しくなっている中、どのようなポジションをとっていこうと考えていますか。

古見 私たちが目指すのは、企業が既にもっている顧客基盤を活用できる、インターネット上での決済インフラをつくることです。

古見 幸生(ふるみ・ゆきお)/ 人事総務 ディレクター Origami エバンジェリスト。大学卒業後、 AOLジャパンに参画。2004年、29番目の社員としてGoogle Japanへ参加。Google Partnersの前身制度であるGoogle Advertising Professionalsの統括管理を行う。その後、AppBankにて上級執行役員、関連子会社の代表取締役を務める。

もっとも他社と異なる部分は、オープンに対する考え方です。

例えば、オンライン地図サービスはサイトに地図を埋め込む機能はオープン化されており、誰でも自由に使えますが、「閲覧者がどのように地図を操作したか」などのデータは得られないことがほとんどです。

同様に多くの決済サービスでは、データを活用できるかわからないことが多い。

一方で、私たちはパートナー企業に、自社サービスの決済から得られる情報を利用できる形で提供しています。

自動車や金融など幅広い業界とパートナーシップを結べている理由も、このような「オープン化戦略」にあると考えています。

決済事業者の運営するアプリ内で必要な機能を完結させる思想とは違い、共創する戦略をとっています。

決済領域への参加ハードルを下げる「オープン化戦略」

同社のオープン化戦略の一端を担っているのが「Origami Network」だ。

「Origami Network」を利用することで、パートナー企業は決済のテクノロジーやセキュリティー、加盟店ネットワーク、金融機関口座などへの接続技術を無償で利用できる。

今後、企業独自のポイントを利用できる機能や、顧客管理(CRM)機能の提供をおこなっていく予定だという。必要に応じて企業間のデータ連携も戦略的に進めることも検討している。

Origami Networkの仕組みはすでに複数の企業に採用されており、各地域の信用金庫が提供する「しんきんPay」や、TOYOTAの「TOYOTA TS CUBIC Origami Pay」がそれに当たる。

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Origami Networkの仕組みは他のスマホ決済サービスとコンセプトが異なっていますが、どのような狙いがあるのでしょうか。

古見 ユーザーにとって快適なアプリ体験を考えたとき、一例として今まで使い分けていたサービスを1つにまとめて提供する方法が挙げられます。

店頭でのお支払いはもちろん、ネットでのチケット販売からタクシーの配車まで、すべて一つのアプリで完結できるというものです。

中国や東南アジアの決済サービスが目指している「スーパーアプリ」も、この世界観をつくろうとしています。

しかし、現実問題として既に数千万人のユーザーを抱えている企業は、自由にビジネス創出ができるかが明確でない限り、他社がつくる経済圏の中での協業は難しいでしょう。スマホ決済事業者との協業においても同様のはずです。

そういった大企業の決済領域への参加ハードルを、「Origami Network」は下げられる点がポイントになってきます。

(出所:Origami公式ページ)

Origami Networkは、他社のアプリに決済機能を提供しています。

それにより、A社のアプリにログインすればA社のお店で商品の支払いができ、さらにOrigamiのマークがついているお店なら、タクシーでもコンビニでも決済できる。

決済ではA社のポイントなども貯めたり、クーポンを使うことが実現できます。

日常でよく使うアプリに決済機能がつくと、クーポンを使う場合もワンストップで決済までおこなえるため、ユーザーは利便性を感じます。そうするとアプリへのロイヤリティも上がり、起動や使用頻度も増えるでしょう。

つまり外部の経済圏に参加することなく、決済機能をはじめとしたユーザーメリットの高いサービスを自社アプリに導入できるわけです。

クレジットカードでも例えば、A社をよく利用する人はポイントを貯めるためにA社のカードを使います。

そこにVISAやMasterのような統一規格がつくことで、発行母体が異なっていても世界中の提携店で支払いができるので便利になる。それによりユーザーの満足度が上がり、統一規格と共にクレジットカードは広まりました。

Origamiでも同様の現象が起こると考えています。

このように私たちが目指す世界は、決済事業者の運営するアプリで必要な機能をすべて完結させる思想とは根本的に違っているのです。

提携によりサービス拡大させる

Origami Networkのようなオープン化戦略をとっていることで、「パートナー企業と共同でサービスを広められる」ことができます。

大企業のように多額のマーケティング費用をかけるのではなく、提携しているパートナー企業と共同でサービスを広げることができるのです。

例えば金融機関が抱える課題として、「自行口座の休眠防止と活発化を図りたい」というテーマがあります。これまではあちこちにATMを設置することで、ユーザーがお金を下ろしやすくすること、などが対応策のひとつでした。

しかし、それだけでは口座の利用機会の増加もそこまで見込めませんし、ATMの維持費などがかかり、コストが大きい策でもあります。

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一方で自行の口座と紐付いたOrigamiの決済機能付きアプリであれば、決済のたびに金融機関口座が利用されるようになり、普段使いのたびに動く「生活と密につながった口座」となります。

これにより金融機関は自社で販売促進コストをかけてでも、決済にOrigamiを使う利用者を獲得する動機になる

新たに利用者を獲得することで、自行の口座価値も高めることができるからです。さらにそこから得られる顧客データによりユーザーニーズの理解も深まり、サービスの充実や新規開発にも繋げられるかもしれません。

決済機能を活かして自社サービスの価値を向上させる方法は、金融機関だけではなく小売店などでも成り立ちます。

Origamiとパートナー企業、ユーザーの3者によるエコサイクルをつくり、参加者全員がwin-win-winの形にすることに意味があるのです。

パートナー企業と目指す「データ活用」の未来

スマホ決済サービスは海外をみてもデータビジネスの色が強いですが、なぜ手数料ビジネスではないのでしょうか。

決済領域の手数料は下がっていく可能性が高いからです。

例えば、決済で使われるクレジットカードでは通常数%の手数料がかかります。このコストはユーザーの与信確認の際に必要となる、カード会社の専用回線の利用料のようなものです。

しかしインターネットが普及し情報通信のコストが下がったことで、電話が無料でかけられるようになりましたよね。

そしてその流れを受けて、ユーザーからの利用料課金型ではなく、ユーザーデータを利用した広告収益型のビジネスが生まれています。

決済事業の提供企業も今後の決済手数料の低下を見込んでいるため、集まったデータを元にしたビジネスモデルに取り組んでいるわけです。

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Origamiでもデータを活用して、新しいビジネスを企業とつくるといった可能性が考えられます。

例えば、地域の金融機関が提供するアプリがあるとします。そこにOrigami Networkを活用して自行の口座と紐付いた決済ができる場合を考えてください。

アプリを使って地域のお店で決済すれば、カード会社のような地域外の会社に決済手数料などを支払うことなく、地域のお金を地域の中で循環させることができます。また、地域内におけるお金の流れのデータを、自分たちのアプリやサービスを通して把握することもできます。

地方の金融機関がその地域のお金の流れを定量的に理解することで、お店への新しい形の融資を始めるなど、新たなビジネスをはじめられる可能性も高まるのではないでしょうか。

他にも、Origami Payでは、ユーザー情報を活かして、加盟店が再来店を促すためのCRMサービスをすでに提供しています。決済を行ったことのあるユーザーの中から、しばらく来店のない人だけを選択して、再来店促進クーポンを送るなどで簡単に販売促進をできます。

都市部のお店だけでなく、地域でも観光シーズンに改めての訪問を促すなど、顧客との接点を継続的に持つことで、店舗の売上向上のみならず地域全体の経済発展へつなげることもできます。

このように今後スマホ決済は、より多くのデータを得てさまざまな活用方法を生み出せるかの勝負になっていくでしょう。

「Origami Network」を通して、企業と連携してお互いに新しいビジネスを共創していける形をつくっていきたいです。

(聞き手・文:町田大地、編集:藤野理沙、写真:INITIAL)

# 【衝撃】ヤフー・LINE統合?# FinTech# Origami

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