本記事では、市況の急回復を受けて変化が見られる2020年6月の新規上場(IPO)動向について解説する。
5月下旬から新規上場承認が再開し、承認を受けたのは11社。そのうち3〜4月に上場を取り消して再承認された企業は6社にものぼる。再承認企業の6社中5社が想定時価総額を下げ、中にはコパ・コーポレーションやロコガイドのように約3〜4割減少した企業もあった。
上場取消から再承認までのわずか2ヶ月で想定価格や新規調達額に起きた変化とその理由について、各社の事例をもとに解説する。また当初はマザーズ市場で上場予定だったSpeeeがJASDAQ市場を選択した理由や、売出株数の変化から読み解く投資家の評価についても解説する。
市況急回復でIPO再開。5月下旬から11社の上場承認、うち6社が再承認
前々回のExit Reviewでは、市況環境の悪化により2020年3月の新規上場中止企業が18社とリーマンショック以来過去最多になった件、また公募価格割れの企業が続出した件について言及した。2020年5月のマザーズ新規上場企業はなかった。
しかし、TOPIX・東証マザーズ市場は3月中旬に底を打ち、現在は回復基調にある。市況環境の急回復を経て、IPO市況にも変化の兆しが見られる。
約1ヶ月半の空白期間(4月7日から5月21日)を経て、新規上場承認が再開。10社の新規上場が承認された(2020年6月11日現在。テクニカル上場を除く)。
特筆すべきは、上場再承認企業が6社を占める点だ。
「新型コロナの影響による株式動向を総合的に勘案」し、3月に上場を取り消した企業は18社。そのうち6社が5月下旬以降に上場を再申請し、承認を得た。上場取消から再承認までの期間の差はわずか2ヶ月だ。
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