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2021/06/01

GMOインターネット、新手法「株式交付」でスタートアップをM&A

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今週は「株式交付」という新しい手法によるM&Aなど2本のニュースを解説するとともに、コラムではスタートアップ業界注目業界としてFinTechをとりあげ、特に成長が著しい5つの分野を紹介する。


GMOインターネット(以下、GMO)は予約困難店に特化した飲食店予約管理サービスのOMAKASEを株式交付により買収すると発表した。本買収によりGMOはOMKASEの株式比率61.5%を取得し、対価としてOMAKASE1株に対してGMO株式3.677株と371円を割り当てる。

この買収で注目すべきはその手法。2021年3月の会社法改正と4月の税制改正を受け、「株式交付」によってスタートアップを対象に実施された初めてのM&A案件となった。

M&Aを成長戦略にできないと言われる日本企業。自前主義などの企業文化がその要因の1つだが、加えて制度面の不備が長らく指摘されてきた。そこで、M&A促進を目的に2021年春に会社法と税制が改正されている。

会社法の改正では株式を用いた買収手段の1つとして、「株式交付」が新たに可能となった。改正前の株式を対価とするM&Aでは被買収企業の株式を100%取得し、完全子会社化する株式交換と現物出資に限られていた。

一方、「株式交付」方式では、完全子会社化のみならず、子会社化する場合にも株式を対価とすることが可能になった。実際、今回のM&AでGMOがOMAKASEの株式61.5%を取得し、子会社化している。株式交付では子会社化が条件であるため、資本提携や株式を現金を組み合わせる混合対価M&Aなど手元資金の少ないスタートアップが買い手となりM&Aをする事例も生まれそうだ。

また従来の株式交換の場合、被買収企業の株主は買収企業の株式を取得した時点で見込み譲渡益分の納税が求められるという課題があった。これについても2021年4月の税制改正により被買収企業の株主が買収企業の株式を取得した場合でも将来、株式を譲渡する時点まで譲渡益課税を繰り延べることが認められた。被買収会社の株主の負担が軽減されるため、大企業が買い手となりスタートアップをM&Aする事例も増えるのではないか。

このように、M&A手段として株式交付が導入され、税制が改正されたことで、一定程度企業がM&Aをしやすくなったとは言えるだろう。だが一方で、株式と現金を組み合わせる「混合対価M&A」の場合、現金が買収額の20%以下でなければ、譲渡益課税の繰り延べが認められないなど海外諸国と比べるとハードルは引き続き高い。日本企業が成長のために積極的にM&A活用できるようになるためには、まだまだ制度面で見直しが必要な点も多い。

参考:ポーラ、33億円でM&A。CVC発のEXITは続くか

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