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「社長直下の新体制で挑む」東芝テックのCVC投資~新規事業を創出するCVC推進部門における活用~

現在、あらゆる外部環境の変化によって、従来のPOSシステムを活用した店舗支援の領域を超える、新たなソリューション領域が拡大しています。この環境変化に対応すべく、東芝テックではスタートアップ企業と事業部門の連携を推進する「新規事業戦略部 CVC推進室」が立ち上がりました。今回は、東芝テックでCVC投資を担う鳥井様、吉村様にINITIALの果たす役割を伺いました。
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Interview Note
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会社名
東芝テック株式会社 新規事業戦略部 CVC推進室
導入の目的
  • スタートアップ企業と事業部門の連携を推進する
課題
  • スタートアップ企業に関する情報収集
効果
  • CVCによって長期的にスタートアップ企業と繋がることでイノベーションを起こす
  • 自ら投資先を探索するケースが多い事業会社のCVCにとって、INITIALは無くてはならないプロダクト
  • 東芝テックのスタンスをスタートアップ企業に理解していただくことは、共にイノベーションを起こし、世界を変えていく中で重要

CVCとM&Aは「時間軸の差」

貴部署、お二方それぞれのご職務のミッションや想いについて、お聞かせください。

鳥井様私は新規事業戦略部 CVC推進室室長として、東芝テックでのCVC投資全般を統括しています。東芝テックは、東芝グループ内で小売・流通業界へのソリューションを提供する企業です。昨今、ECの発達・労働力低下・共働き増加など、あらゆる外部環境の変化によって、従来のPOSシステムを活用した店舗支援以上に、小売店舗さまにおいては新たなDX化にむけたソリューション活用ニーズが拡大しています。

このような環境下において、東芝テックは組み込み型システムがメイン領域でしたが、自社ではカバーできないソフトウエアやクラウドを活用したソリューションなどへの事業領域の拡大が必要となってきています。そこで、新規事業戦略部 CVC推進室ではスタートアップ企業と事業部門を繋ぐことをミッションとして、投資活動を推進しています。

吉村様私は新規事業戦略部 CVC推進室で、主にHRテック分野を担当しています。ミッションは「投資案件を探索し、投資を実現すること」です。
具体的にはHRテックの市場調査、スタートアップ企業の動向調査・ソーシング活動・出資の検討などを担当しています。

昨今、小売業に求められる環境が劇的に変化しています。従来のPOSシステムによる効率化支援も続けていますが、労働集約型の小売業においては、今後、HRテックの活用は加速すると見ています。そこで、私たちと共にHRテックの活用を推進するスタートアップ企業の探索・投資を行っています。

他社の技術やビジネスモデルと、自社のビジネスを組み合わせることで、自社の可能性を拡げていくことは協業連携推進の醍醐味です。この想いは、CVC推進室前身のビジネスイノベーションセンターにおいて、アメリカを中心としたスタートアップ企業の探索や協業連携推進を担当していた頃から現在まで、一貫しています。

東芝テックにおけるCVCの立ち位置について、教えてください。

鳥井様大企業におけるCVCの目的の一つはM&Aです。投資する時点で必ず考えているわけではありませんが、共に様々な取り組みを進める中で双方にとっての良い結果になる場合には、M&Aを目指します。これがCVCの役割の一つであり、イノベーションを起こす上で一つの有効な形であると考えるからです。私自身、M&A部門も兼務しており、常に情報連携も行っています。

東芝テックでは、CVCとM&Aを「時間軸の差」と捉えています。M&Aは直近の売上に直結するイノベーションを起こす方法であることに対して、CVCはスタートアップ企業が成長した先の将来的な協業体制を見据えたものです。R&D(研究開発)とも比較されることが多いCVCは、長期的にスタートアップ企業と繋がることでイノベーションを起こす方法として位置づけています。
長期計画は基本的にR&Dチームが担います。短期計画においても新規事業プロジェクトを進める目的でそれぞれの役割を整備すべく、2021年4月に組織変更が行われました。つまり、組織変更により次の4つを同時に推進する体制が整ったと言えるのではないでしょうか。

(1)CVCは「コアより少し離れた事業領域×長期計画」
(2)R&Dは「コアに近い事業領域×長期計画」
(3)M&Aは「新しい事業領域×短期計画」
(4)新規事業プロジェクトは「事業領域を外れたところ×短期計画」

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東芝テック株式会社 新規事業戦略部 CVC推進室 室長 鳥井様

スタートアップ企業と大企業の情報ギャップ

INITIAL導入前の課題ついて、お聞かせください。

鳥井様CVCにおける最も大きな課題は「スタートアップ企業に関する情報収集」でした。なぜなら、一部の目立ったスタートアップ企業以外の情報収集は、紹介による個別手段に頼っていたからです。具体的には、前職の人脈を活用したリファラル、LP出資しているVCや銀行からの紹介などです。これらの個別手段のみでは、十分な情報を一度に探索することはできません。

また、スタートアップ企業と事業部門を繋ぐ役割として、次のような課題も抱えていました。まず企業文化やプロジェクトの進め方の違いを調整すること、もう一つは東芝テックの経営層へスタートアップ企業への理解を促すことです。この二つを同時に進めることは難しく、失敗の連続でした。

例えば、スタートアップ企業からのプレゼンで使われる一部の用語が東芝テックの経営層には耳慣れない言葉であり、理解が得られないこともありました。事業連携においては、東芝テックからスタートアップ企業への期待が大きく、営業紹介を大量に実施したところ、スタートアップ企業側で行き詰ったこともありました。

これらの経験から、私たちとスタートアップ企業の間で起こっているのは、主に「情報のギャップ」であることが見えてきました。そこで、社内セミナーや社内SNSを通じてコミュニケーションを図ることで、まずは仲間づくりを進め、情報のギャップを埋めるように努めました。CVC推進室の立ち上げ時には、経営層を集め、スタートアップ企業と東芝テックの言葉を両方取り入れながら、知識の目線合わせを進めることで、共通言語を見出していきました。

吉村様私はスタートアップ企業との協業における「スピード感のギャップ」においても苦労しました。スタートアップ企業は意思決定が早く、大企業は調整に時間がかかります。私自身、前職で事業立ち上げ経験があるため、新規事業立ち上がりの難しさはよく理解しているつもりです。スタートアップ企業と大企業、双方の目線が理解できるがゆえの「調整の難しさ」に直面しました。

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東芝テック株式会社 新規事業戦略部 CVC推進室 参事 吉村様

立ち上げ間もないCVCにとって、INITIALは強い味方

INITIALを「活用したとき/しないとき」の違いについて、お聞かせください。

吉村様INITIALがなければ現在、活用しているようなロングリストは作成できないと考えています。つまり「できる/できない」の二者択一ではないでしょうか。

投資案件を探索するにあたり、多くのスタートアップ企業の方にお会いしますが、一般に成約率は投資実績百社のうち一社以下といわれています。実務的には、INITIALのデータベースを軸としたロングリストを作成し、一社ずつ事業内容からファイナンスまで目を通したうえで、はじめて実際にお会いするという流れです。このように事前準備段階でのロングリスト作成は非常に重要です。もしINITIALがなければ、Google検索やカオスマップを活用した調査方法となり、膨大な時間と労力を投入することになります。

鳥井様 スクリーニングの際においてもスタートアップ企業の資金調達時期の見通しをたてるのに役立っています。「前回の資金調達の時期」「次の資金調達のタイミング」といった情報を私たちは求めている一方、スタートアップ企業のコーポレートサイトではIR情報が掲載されていないこともあるからです。 スタートアップ企業側からの出資相談ではなく、自分たちで探索するケースが多い事業会社のCVCにとって、INITIALは非常に有用です。

利用機能や具体的な利用シーンについて、お聞かせください。

鳥井様 今後の投資先検討している領域は、ロビイ活動も含め、経営層や関係者に早い段階で共有しています。そこで「ファイナンス(投資動向)レポート」「スタートアップ業界(SaaS業界)特化型レポート」「オリジナル記事コンテンツ」が役立っています。

実際、注目している領域としては、私たちの中核であるPOSシステムが担う決裁の周辺領域です。事業のバリューチェーンであるサプライチェーンや在庫管理のテクノロジー、ECに繋がるOMO関連のソリューション、現在も多くの「人」によって支えられているリアル店舗のDXを見据えたHRテックの動向(SaaS系)にも期待しています。

吉村様 国内外のスタートアップ企業のマーケットトレンド情報、これらをベースにした出資の相場観やシード・アーリーステージの中央値、価格の妥当性など、経営層への説明時に用いるファクト(第三者レポート)として活用しています。
具体的には、「ファイナンス(投資動向)レポート」に目を通しています。今後の投資先になり得る領域を見極めるべく「CVC虎の巻(他社のCVC関連の記事)」も参考にしています。将来の海外展開を見据えて、東南アジア・インドなど海外レポートからも情報収集しています。テーマを分析する上では「テーマ別投資先選定」も有用です。

有名なVC・CVCには、スタートアップ企業側から出資相談があるでしょう。他方、私たちは立ち上げ間もない環境で、現時点ではコネクションも少ない状況です。このような状況から判断すると、基本的にはこちら側からのプッシュ型に注力しつつ、リファラルと両軸で進めることが必要だと見ています。

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今後、INITIALに期待していることについて、お聞かせください。

吉村様 バリュエーションのために、ベンチマークしているスタートアップ企業のIPO時点のマルチプルを求めています。ネット検索では、ある程度の時間と労力を投入することになるため、INITIALの活用延長線上で情報収集できると非常に嬉しいです。

鳥井様 私も類似のスタートアップ企業の評価がしやすいPSRベースやIPO時点のマルチプルを求めています。また、日本のスタートアップだと海外の成功企業の事例を参考にする企業は多いので、アメリカ・カナダ・イスラエルなどの類似のスタートアップ企業情報が簡単に取得できるといいですね。

あと、スタートアップ企業側に対し、興味を持っている大企業が見えるような機能があればいいと思います。スタートアップ企業が資金調達する際に「どのような事業会社が自社に興味を示しているか」を事前に知っておくことで、より良いマッチングに繋がるのではないでしょうか。

「人間味をもった姿勢」が新規事業開発には大切

「新規事業開発の理想と現実」のギャップを埋めるために啓蒙されていることがあれば、教えてください。

鳥井様 大企業とスタートアップ企業が、お互いに公平な立場でそれぞれの情報を出し合う姿勢をつくることが大切です。相手には常にフェアに、同じミッションに向かって共に伴走できるタイプが活躍できると感じています。

既存事業の短期売上の向上に注力している方々に向けて「新規事業でイノベーションを起こしましょう」と上から目線で伝えてしまうと、決してよい印象は与えません。状況によっては、抵抗勢力の意識を醸成することに繋がります。
お互いの目線のギャップを埋めるには、相手の立場を理解しつつ「協力してください」という姿勢、つまり人間味をもったコミュニケーションを心掛けないと進みません。
スタートアップ企業との向き合い方も同じではないでしょうか。

今後の展望について、お聞かせください。

鳥井様 これからの小売業が求める店舗の形としては、リアルとオンラインが融合することで面白いUXに発展していくと見ています。そのような世界では、ユーザーの楽しい買い物体験を実現させる裏側のシステムが重要になってくるでしょう。東芝テックがスタートアップ企業と共に提供するソリューションによって、その裏側のシステムを支えていきたいです。

吉村様 「変わっていかなければならない」という危機感を抱いている小売業関係者は多いのではないでしょうか。私自身、かつて小売業界にいた頃から、その危機感を持ち続けています。
今後、発展が求められる小売業において、新しいマーケットを開拓し、ユーザーの購買体験を届けていくことができれば嬉しいです。

それでは最後に、ブランディングをはじめ社外への発信にまつわる想いについて、お聞かせください。

鳥井様 スタートアップ企業側は、大企業からの出資に不安を抱くことも少なくありません。なぜなら「経営に介入されるのでは」といった様々な不安要素があるからです。
大企業が取る行動として「いかに安心感を提供していくか」は大きなポイントになります。そこでまず私たちにできることは「東芝テックのスタンス」をオープンに知っていただくことだと考えています。
「東芝テックのスタンス」をスタートアップ企業に理解していただくことは、共にイノベーションを起こし、世界を変えていく中で非常に重要です。企業文化がフィットするスタートアップ企業と共に新しい事業をつくっていくことができれば嬉しいです。

また、CVC推進室が運営しているnoteや、CVC独自のコーポレートサイトを通じて、われわれのミッションや想いを知っていただければと思います。

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※本インタビューは、2021年5月に、COVID-19感染防止の対策として、オンラインにて行われました。また、写真撮影(2021年5月18日)は、最小人数で十分な距離を保つ形で行われました。
※画面デザインおよび機能名称は、インタビュー当時のものです。

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