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2020/09/14

SDGsで成長加速。IPOを目指すTrimのセーフボックス

スタートアップの最新トレンドがわかる週間企画「INITIAL Briefing」。 独自取材による注目スタートアップ紹介、資金調達など抑えておくべき3大ニュース解説、EXIT Reviewなどのコンテンツをお届けする。

注目スタートアップは、子育て関連サービスを展開するTrimを紹介。SDGsの取り組みとして注目が集まる事業領域と、「トイレのようにどこにでも当たり前にある社会インフラをつくりたい」と代表・長谷川氏が語る背景に迫る。

9月2週目のピックアップニュースでは、上場企業・スタートアップによる買収の新たな兆候について解説する。 また、直近のIPO動向や今後の注目IPO企業についても解説する。

CONTENTS

Trimが目指す、「母親が授乳室を探さなくていい世界」

注目スタートアップを紹介する、INITIALピックアップインタビュー。 今週紹介する企業は、子育て中の母親向けにサービスを展開するTrim社。代表の長谷川 裕介氏にインタビューを実施した。

Trimは、移動式個室型ベビーケアルーム「mamaro®(以下、mamaro)」と授乳室・おむつ交換台検索アプリ「Baby map®(以下、Baby map)」の開発・運営を行う。

Baby mapはTrim創業初期から手掛けている事業。全国2万室以上の授乳室やおむつ交換台の場所を検索できるアプリで、母親が乳幼児と出かける際に利用する。北米、欧州、アジアなど世界33ヵ国の情報も掲載しており、ダウンロード数は35万件以上だ。

アプリで授乳室の位置情報を提供するうち、新生児の数(年間約80〜90万人)に対して全国の授乳室(約2万室)が不足している課題に気づき、ハードウェアで授乳室のスペースを作成する発想に至った。

移動式個室型ベビーケアルーム「mamaro(ママロ)®」。工事不要かつ移設可能で、畳1畳分程度のスペースとなっている(写真:Trim社提供)

mamaroは、全国の区役所、市役所、商業施設、病院等に約190以上の設置実績がある。室内ではサイネージによりデジタル広告配信が可能となっており、利用者数は14万世帯以上だ。Baby mapとも連携しており、空き状況が常に確認できる。

本事業領域はSDGs(持続可能な開発目標) の取り組みとして注目が集まる。三井不動産グループとの共同プレスリリースでは、商業施設へのmamaro設置促進がSDGsの5つの目標に貢献すると言及されている。

mamaro_SDGs

(写真:Trim社プレスリリースより)

同社のユニークな点は、ターゲット層の子育て母親から直接利用料を取るのではなく、商業施設など主に設置企業の法人顧客から収益を上げるビジネスモデルだ。

成長の鍵を握るのは、mamaroの生産体制だ。現在は需要に対して、供給が追いついていない状態だ。資本業務提携先の大日本印刷が手配する工場を利用しており、今後は大量生産ができるよう生産体制を強化する予定だ。

主な株主は、デジタルガレージが母体のDGベンチャーズ、インキュベイトファンド、大日本印刷だ。2019年12月には株式投資型クラウドファンディング(FUNDINNO)も実施した。クラウドファンディングの実施理由は「お母さんへ感謝を贈りたいと思う誰もが参加できる投資手法が、弊社に合っていると感じたため」(長谷川氏)と話す。

「特定の会社だけと組むのではなく、公的な会社として幅広いスペースに導入したい」との思いから、商業施設の運営企業からはあえて出資を受けていない。

今後は、mamaro内でヘルスケア機能を拡充する予定だ。医療相談や、DV予防など子育て母親が「授乳室だけではなく、母子を守る”セーフボックス”として利用されることを目指す」と長谷川氏は語る。

最終的に目指す姿は、「Baby mapがなくても赤ちゃん連れで気軽にお出かけができるほど、ベビーケアルームがどこにでもある世界」(長谷川氏)。トイレのように「どこでも当たり前にある」社会インフラを目指す。

「All for mom. For all mom.」をミッションに掲げ、小さい子を育てる母親がより気軽にお出かけできる「子育て世代に優しい社会」の創出を目指すTrim。

「パブリックな(公的)な企業を目指すため、経済合理性は今後も追求していく」(長谷川氏)と語り、IPOを目指す旨を明言している。今後の成長に期待だ。

Trimについてもっと知るにはこちら

スタートアップによる買収増加の兆し。INITIALピックアップニュース3選

「INITIALピックアップニュース3選」では、資金調達など抑えておくべき3大ニュースを解説する。

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